MSGM クリエイティブ・ディレクターマッシモ・ジョルジェッティの頭の中 | Numero TOKYO - Part 2
Interview / Post

MSGM クリエイティブ・ディレクター
マッシモ・ジョルジェッティの頭の中

2016年3月、原宿にオープンした国内初の旗艦店でのイベントのため来日したクリエイティブ・ディレクターのマッシモ・ジョルジェッティ(Massimo Giorgeti)にインタビュー。

msgm massimogiorgeti
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MGSMのデザインの根幹にあるもの ──会計士の資格を持ち、またショップスタッフやDJとして活躍するなど、ユニークな経歴をお持ちですよね。これまでの経験は今にどう生かされていると思いますか? 「高校を卒業するとすぐ、ブティックでショップスタッフとして働いていたんだ。僕はブティックが大好きだからね。顧客の要望を聞き、彼らに似合う服を提案するという素晴らしい経験をさせてもらった。実際に服を見ること、触って素材感を確かめること、ショップ店員からアドバイスをもらったり、彼らとの会話を楽しむこと。これこそブティックで得られる最高の体験で、リアルファッションのすべてだと思うんだ。それから、音楽も僕の生活になくてはならないもの。サウンドからデザインの発想を広げていくこともあるし、コレクションを正しい方向に位置づけるためにも大好きな音楽が重要な役割を担っている」 ──様々な経歴を経て、ファッションデザイナーとしてのキャリアを選んだのはなぜ? 「建築デザインもコンテンポラリーアートも映画も好きだし、ファッションも常に身近な存在だった。2~3歳頃から母親ための服のデザインを考えてみたり、伯父の刺繍の会社で美しい刺繍を見るのが大好きだった。ティーンエイジャーの頃は毎週ニューススタンドで、ファッション誌を買うのが本当に楽しみだったんだ。ブティックで働き始めたことも自然な流れだった。この頃の経験を生かしながらとビジネス的なクリエイションに反映できることは、僕の大きなアドバンテージだと思っている」 ──デザインのインスピレーションとは? 「音楽はもちろん、デザイン活動にとって大きな意味を持つ。ただインスピレーションとなるものは他にも色々あって、例えばデザインのヒントを求めてヴィンテージの服や歴史を研究することもある。MSGMにヴィンテージライクなデザインの要素はあまり出さないようにしているけれど、ファッションの歴史から多くのことを学んでいる。それからコンテンポラリーアートを見たり、映画からヒントを得ることもある。すべては学びのプロセスなんだ。日々リサーチや体験を積み重ねていくことで、明日はもっといいアイデアを生み出すことができる」

Photos:Yuji Namba
Interview&Text:Etsuko Soeda
Edit:Mito Michie

Profile

マッシモ・ジョルジェッティ(Massimo Giorgeti)1977年イタリア・リミニ生まれ。高校で会計士の資格を取り、卒業するとリッチョーネにあるブティックでセールスパーソンを務めたり、ショールームで働くなどの経験を積む。音楽にも造詣が深く、インディーミュージックをこよなく愛するDJとして活躍した経験もある。またコンサルタントとしてのキャリアを積みながら、2004年からデザイン活動を開始、2009年に自身のブランドMSGMを立ち上げた。2015年4月からEMILIO PUCCIのクリエイティブ・ディレクターも務める。

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