KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭
アーウィン・オラフの新境地
世界最古のシャンパーニュメゾン、ルイナール(Ruinart)が2016年のコラボレーターに選出した世界的フォトグラファー、アーウィン・オラフ(Erwin Olaf)にインタビュー。
世界最古のシャンパーニュメゾン、ルイナール。18世紀から著名アーティストに、彼らの感性を生かして、メゾンを表現するコラボレーションを発表している。今年のコラボレーターは独自の視点で時代を表現する世界的フォトグラファー、アーウィン・オラフ。KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2016 にて、その作品を日本初公開すべく来日したオラフ氏にインタビュー。
1729年に創業の世界最古のシャンパーニュ・メゾン、ルイナール。シャルドネの個性を最大限に生かし、エレガントで洗練された最高級品質のシャンパーニュは「シャルドネの芸術」として愛されている。ルイナールはアートとの繋がりが深いことでも知られている。始まりは1896年、アール・ヌーヴォーを代表するチェコの画家、アルフォンス・ミュシャに広告を依頼。シャンパーニュを楽しむ女性が描かれた当時としては画期的なビジュアルは、注目の的に。
その後も気鋭のアーティストたちとルイナールの新たな魅力や世界観を創造するとともに、多くの才能を支援。2000年以降は毎年、時代を率いるアーティストとのコラボレーションを発表。また年間30以上もの世界の名だたるアートフェアにスポンサーシップを行い、アートシーンには欠かせないシャンパーニュメゾンとして名を馳せている。
2016年のコラボレーションアーティストは、オランダのフォトグラファー、アーウィン・オラフ。社会のタブーやジェンダーをテーマに、独特な世界観で表現。その静謐な表現はアート界のみならずファッション界からも注目されている。今回、ストーリー性を感じる絶妙なバランス感覚と光を操る創作手法が、ルイナールの世界観に通じると、コラボレーションに至った。アーウィン・オラフが選んだ制作舞台は、ユネスコ世界遺産に登録されたランスにあるルイナールのクレイエルセラー。ガリアローマ時代の白亜質の石切場跡にあり、地下深く全長8キロにも及ぶセラーは、成熟とわずかなな光だけが支配している。その神秘性に魅せられ、これまでの彼の作風と180℃違う「Light by Erwin Olaf for Ruinart」が生まれた。
「Light by Erwin Olaf for Ruinart」は、京都を舞台に開催される国際的な写真祭「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2016」(2016年4月23日~5月22日)内の展示会「Light by Erwin Olaf for Ruinart」にて日本初公開される。来日したアーウィン・オラフに今回の作品について聞いた
写真もシャンパーニュも輝くために闇が必要なんだ
──京都にいらしたことは?
「8〜9年前に一度来て、今回で2回目です。綿密で、さりげなく機微がある、そこが好きだな」
──独特な世界観のある作風で有名ですが、インスピレーションソースは?
「ストリートウオッチングが好きなんだ。ファッションを見ることもあるし、人々の表情や感情を見たり。例えば待ち合わせしている人。待っている間は電源オフになったように表情もニュートラルで、肩の力も落ちていたのに、待ち人が来たら、急に電源が入って表情が出て、体までシャンとする、そういった一連の人の動きを眺めていると、すごく面白いと思うんだ」
──KYOTOGRAPHIEようなアートフェアには参加されるだけではなく、個人的に見に行かれたりしますか?
「もちろんさ。写真をはじめ様々なアートからもインスピレーションを受けているよ。日本の写真やアートからも学ぶところがある。メタボリズムの未来都市展も、綿密で未来的でしかも挑発的で、インスパイアされたよ」
Interview & Text:Michie Mito