驚きに満ちた、小淵沢ウエルネスビューティの旅 | Numero TOKYO
Trip / Editor's Post

驚きに満ちた、小淵沢ウエルネスビューティの旅

現代の人々が目指す美しさのベースともいえる、人それぞれが本来持っている美しさの本質を引き出す、そんなコンセプトを持つウエルネスビューティの発信地が山梨・小淵沢にあるとの情報を耳にし、お邪魔しました。

小淵沢は山梨県北杜市に位置する、豊かな緑に満ちた高原。乗馬も盛んで“馬のまち”としても知られているそうです。新宿から電車で2時間弱と、思い立ったらすぐ動けるアクセスの良さも魅力。伺った日はこの地域では珍しく小雨模様でしたが、霧に包まれた幻想的なムードも癒される雰囲気でした。

時代を牽引する著名建築家による知的な環境

目的地は人と自然との調和を目指して、この恵まれた環境でものづくりを行うアルソアの本社。単なる化粧品会社ではなく、心、体、肌はつながっているという考えのもと、人間のトータルな美と健康を提案しています。今回、驚きポイントが満載だったのですが、まずは本社の建築から。

マリオ・ベリーニによるオフィス
マリオ・ベリーニによるオフィス

1998年に東京・渋谷から、ここ小淵沢に本社を移転。イタリア建築・デザイン界の巨匠、マリオ・ベリーニが手掛けています。マリオ・ベリーニはプロダクトデザイナーとしての、カッシーナの「キャブ チェア」(1977年)が有名ですが、最近ではB&Bイタリアとの名作ソファ「カマレオンダ」(1970年)をサステナブルに50年ぶりに復刻させたことも話題に。

本社内に設置されている「キャブチェア」
本社内に設置されている「キャブチェア」

建築ではパリのルーブル美術館のイスラム美術展示室をはじめ、日本では同じく小淵沢の「星野リゾート リゾナーレ 八ヶ岳」、五反田の「東京デザインセンター」なども担当。アルソアのオフィスはコアとなる円形の建築の左右に両サイドに別棟を設け、翼を広げる鳥のような構成になっています。

 

地中海建築様式のエアガーデン
地中海建築様式のエアガーデン

オフィス中央に設置されたコアルーム
オフィス中央に設置されたコアルーム

さらに水のエネルギーを生かした、コスメへのこだわりともリンクする設計になっており、イタリアデザインらしいコンテンポラリーモダンな表情が特徴的です。

永山祐子建築による女神の森 セントラルガーデン
永山祐子建築による女神の森 セントラルガーデン

また2016年には地域交流も踏まえた文化施設「女神の森 セントラルガーデン」もオープン。こちらはいま最も勢いのある女性建築家、永山祐子を起用。2020年ドバイ国際博覧会 日本館をはじめ、今後も2023年には外装デザインを手がけた「東急歌舞伎町タワー」、2025年大阪・関西万博のパナソニックのパビリオン「ノモの国」、2027年にはデザインアドバイザーを務める「TOKYO TOUCH 東京駅前常盤橋プロジェクト」と話題の建築デザインを続々と予定。

ここでは八ヶ岳の気候特性を意識した地熱、自然通風、伐採木などを利用した環境建築で、心の豊かさを伝えています。

ともに異なるアプローチでありながら、いずれも自然と融合するモダン建築のなかで日々新たな取り組みを発信できるとは羨ましい限りです。

美と健康を司るオーガニックな食へもアプローチ

こちらでは15年前に自社ファームを開墾し、じっくりと時間をかけ、研究を重ね、無農薬でたくさんの野菜を育てています。

野菜がいい状態で育つには、野菜自身の生命力が大切。よく虫が食べる野菜はおいしいと聞きますが、実は健康な野菜というのは見た目も驚くほどバランスよく、美しくきれい! その場で生のまま試食させていただきましたが、みずみずしく、自然の甘みを持つ味わいに感心してしまいました。

環境を配慮し、持続可能な循環の取り組みの一環として、発酵飲料「ジオリナ」の製造過程で出た野菜片を肥料として再び畑に戻し、新たな野菜を育てるのに利用しているそうです。

そして敷地内にあるオーガニック レストラン「奏樹 カフェ&ダイニング」の数量限定のランチでは、八ヶ岳の野菜料理や玄米をいただくことも可能。

野菜の旨みを存分に味わえ、彩りも美しく、心も満足できます。デザートのチーズケーキにも驚きが。こっくり濃厚なのに、植物性素材100%のヴィーガンケーキ! 三相乳化によりこの味わいを実現しているそうです。

こちらのヴィーガンケーキや人気の大豆チップスは「ビオクラ」ブランドとしてオンラインでも展開しており、私も早速夏の贈り物にも活用しています。

変わらぬ美しさの定義は50年前から

このウェルネスビューティなアルソアは、創始者が1972年、温泉からミネラルの力に着目し「アルソア クイーンシルバー」というインパクトのある黒い洗顔石鹸を考案したことに端を発します。

当時は高度経済成長で、化粧品公害による肌トラブルを抱える女性が多くいたそうで、「世界一美しい日本の女性たちの肌を取り戻したい」と、この黒い石鹸により“塗り重ねる”から、“洗う”ことの大切さを提唱。今では当たり前ともいえる美の価値観を50年前にすでに考えられていたというから驚きです。実際使い方を見せていただくと……丁寧な泡立てで、こんなにツノが立つほど!

洗顔後、モール水と呼ばれる植物性温泉水や雪蓮花や白鶴霊芝など独自の天然成分を使った、化粧水と美容液、時々クレイパックといたってシンプルなスキンケアのシステム。美しい肌の持ち主として知られる浅田真央さんや木村佳乃さんも愛用されていると聞けば納得です。

50年も前から現在主流になっている、人としての真の美しさの在り方に気づき、一貫して提唱し続けているとは本当に驚くばかり。美と健康への意識を五感で刺激された小淵沢の旅でした。

Profile

古泉洋子Hiroko Koizumi コントリビューティング・シニア・ファッション・エディター。『Harper's BAZAAR』『ELLE Japon』などのモード誌から女性誌、富裕層向け雑誌まで幅広い媒体での編集経験を持つ。『NumeroTOKYO』には2017年秋よりファッション・エディトリアル・ディレクターとして参加した後、2020年4月からフリーランスとしての個人発信を強め、本誌ではファッションを読み解く連載「読むモード」を寄稿。広告のファッションヴィジュアルのディレクションも行う。著書に『この服でもう一度輝く』(講談社)など。イタリアと育った街、金沢をこよなく愛する。
Instagram: @hiroko_giovanna_koizumi

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