【Editor’s Letter】Tシャツに、人柄が表れる。 | Numero TOKYO
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【Editor’s Letter】Tシャツに、人柄が表れる。

2023年5月26日(金)発売の『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2023年7・8月号に寄せて。編集長・田中杏子からのエディターズレター。

「たかがTシャツ、されどTシャツ」とまで言ってしまえるほど、なんてことのないアイテムなのに、そのサイズ感や素材感、グラフィックやデザイン、シルエット、スタイリングに至るまで、着ている人のオシャレ度数から果ては人柄までもがしっかりと表れる究極のアイテムがTシャツです。もう、本当に、何を選んでどう着ているかで、全てが露呈しジャッジされているような感覚に陥ります。「私はオシャレ好きです おもしろ好きです カッコいいの好きです カルチャー好きです」から「ファッション無頓着です オシャレに興味ありません」まで自己PRをしているのかというぐらい、自分自身が表現されてしまいます。あんなにカジュアルでシンプルなのに、どうしてこうも全てが表れてしまうのでしょうか。

(左)通常版 ¥890 (右)FANTASTICS 佐藤大樹 & 中島颯太がが表紙の特装版 ¥1000
(左)通常版 ¥890 (右)FANTASTICS 佐藤大樹 & 中島颯太がが表紙の特装版 ¥1000

Tシャツは、実はとっても玄人向けのアイテムなのです。コレクターズアイテムとも化しています。どこで見つけたの?と言わせてしまう “見たことのないTシャツ”に出合うと、そのTシャツを見つけて選んで持っているその人のアンテナにビビッと共振して、嫉妬心を覚えるほどです。そのくらい究極な「熟達」アイテムなのです。「あなたの“偏愛Tシャツコレクション”みせてください(本誌p.100〜)」では、まさにそんなTシャツをコレクションしている7人の方に、お宝Tシャツをご紹介いただきました。音楽T、アートT、映画T、アメリカ珍スポットT、セクシュアルモチーフT、メッセージT、細ボーダーT、『I Love Lucy』Tと、本当にこれでもか!というほどのコレクションにやられてしまいます。長年収集してきたTシャツの数とこわだりに羨望の視線を向け、惜しみない敬意を表します。ぜひご覧ください。

Tシャツには時代の空気やトレンドが詰まっています。思い返せば90年代には“ピタT”という呼称で一世を風靡した小さめサイズで袖や襟に別色のトリムが施された愛らしいピッタリフィットTシャツが登場しました。話題のK-POPアイドルたちは今でもピタッとしたトップスを着ていますが、今の主流はヒップホップやストリートカジュアルの流れから“ダボT”と呼ばれる大きめサイズのようです。そうそうY2Kの流れから“ロゴT”も多いですよね。時代とともに形状を変化させながら、Tシャツは常にファッションアイテムの中の人気上位にいます。

「Tシャツと私(p.092〜)」で4人のアクターにTシャツでのポートレート撮影をお願いしました。またTシャツについての思いも語っていただいています。インタビューからは、それぞれのこだわりポイントやフィーリングが読み解け、Tシャツを通して仕事観やライフスタイルまでが見えてきました。ファッションって面白いですね。

ところでTシャツの裾はボトムにインします? それともアウト? 袖はローリングアップするのか否か、アクセサリーはシルバーそれともゴールド? ボトムに何を合わせてどんな靴で仕上げますか。それによってTシャツスタイルが多様に変わります。そしてその全ては“バランス”でキマると思っています。私はといえば・・・まったくもって“Tシャツ番長”ではないですが、絵柄やサイズ感によってインしたりアウトしたり、デニムから綺麗めボトム、足元にはヒールやサンダル、スニーカーと組み合わせも分けています。毎夏、下ろし立てのTシャツを用意しますが、お気に入りは大切に扱って長く愛用しています。

さあ、とっておきのTシャツを着て、今年も素敵なサマーシーズンを過ごしたいですね。

お気に入りのマイ・ヴィンテージTシャツです。(上)左からアレッサンドロ・ミケーレ時代のグッチT、YOUからもらったステラ マッカートニーの猫T (中)左からグラフィックがお気に入りのバリーレセプション時のギフトT、セレーナ・ゴメス「Revival Tour 2016」のツアーT、小泉今日子KKPPあっかんべT (下)左からsacai x SADE T、森下璃子ちゃんのドロシー ヘンドリックスT、カラーとコラボしたお馴染みのラビトンT、シャネルクルーズコレクション・モンテカルロT

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FANTASTICS 佐藤大樹 & 中島颯太が
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Profile

田中杏子Ako Tanaka 編集長。ミラノに渡りファッションを学んだ後、雑誌や広告に携わる。帰国後はフリーのスタイリストとして『ELLE japon』『流行通信』などで編集、スタイリングに従事し『VOGUE JAPAN』の創刊メンバーとしてプロジェクトの立ち上げに参加。紙面でのスタイリングのほか広告キャンペーンのファッション・ディレクター、TV番組への出演など活動の幅を広げる。2005年『Numéro TOKYO』編集長に就任。著書に『AKO’S FASHION BOOK』(KKベストセラーズ社)がある。
Twitter: @akotanaka Instagram: @akoakotanaka

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