カラダは精神があってこそ。精神はカラダを受け入れてこそ。 | Numero TOKYO
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カラダは精神があってこそ。精神はカラダを受け入れてこそ。

2021年4月28日(水)発売の『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2021年6月号に寄せて。編集長・田中杏子からのエディターズ レター。

(左)通常盤カバー (右)新田真剣佑が表紙を飾った特装版カバー
(左)通常盤カバー (右)新田真剣佑が表紙を飾った特装版カバー

今号はカラダの話です。と一言で言ってもカラダは千差万別、十人十色です。それが個性でおもしろい。カラダを動かすのは脳、カラダの健康と密接に関わっているのが自律神経、そしてカラダを認知するのは個々の意識。カラダって、精神性が伴わないとただの器になってしまうと私は考えるのですが、カラダがないと何事も成し得ないのもまたしかり。たかがカラダ、されどカラダ。そんなカラダについて特集してみました。

まだ就学前の幼少期、カラダと魂は分離して別の器と交換できると考えていました。とはいえ、複雑な思考回路だったわけではなく、私(と考えている人)が「なんでこのカラダを選んだのかな。いつまでこのカラダにいるかな。カラダを変えることってできるのかな、どうやって変えるのかな。相手も同じことを思わないと変えられないのかな」 言語化するとこんな感じのことを鏡を前に自問自答していました。あの頃の私に「あなたは一生このカラダと生きていくんだよ」と言ったら、私はどうしただろう? 安心したかな? 諦めたかな? 受け入れたかな? それからほぼ50年。もちろん自分の心とカラダに折り合いをつけながら、満足しながら私は今もこの器(=カラダ)にいます。そして日々老いを受け入れています。

今回の特集内容を話し合うにあたって、山崎ナオコーラさんの『肉体のジェンダーを笑うな』(集英社)について会議中に何度か耳にしました。 カラダの性差が減った世界を描いたこの作品に未来への希望を感じたというのです。山崎ナオコーラさんには同じく作家の村田紗耶香さんと「身体をめぐることば」(p.94~)にて対談していただきました。「英語の小説だとheかsheを出さなくてはいけないけれど、日本語は人称がなくても書けるので、日本語は性別に縛られていない言語な気がします」と山崎ナオコーラさん。なんだか日本語の素晴らしさを実感した次第です。生きていく上で覚える違和感をそのまま雑誌『IWAKAN』で発信しているクリエイティブスタジオ「REING」のエド・オリバーさんとユリ・アボさんに「愛と体の自由な関係」(p.92〜)について語っていただきました。フレッシュな感性を持つしなやかな二人が『IWAKAN』を通して発信している内容は、現代社会の“違和感”そのもので刺激を受けました。性別からの解放に焦点を絞らず、自由にカラダを捉え直した特集になったと思います。

ROLAのライフスタイルブランド「Studio330」のウェアで楽しくボディ・メンテナンス。ワークアウトは週に1回、必ず時間をつくって早4年がたちます。
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さて、私のカラダの話に戻ります。週1回のトレーニングをサポーするトレーナーTさん(20代で若いです)に言われたことにハっとしました。「お腹とお尻の穴をきゅっと引き締めて過ごしていても肋骨が開いていると引き締めた内臓に蓋ができない状態で密度が薄く力が入らないんです。肋骨を閉めることで引き締めた内臓に蓋ができて良質かつ密度の濃い腹筋が使え、結果、姿勢も正しく腰痛や膝の痛みが起きないカラダになるんです。肋骨が開きがちな理由ってなんだと思いますか? それは呼吸の浅さが原因なんです。なぜ呼吸が浅くなるのか? それは自律神経が乱れているから。だから瞑想やメディテーションが大切なんです」。なるほど。これからはマインドフルネスの時代って鑑定士や整体師、気功の先生が異口同音に言ってました。カラダと精神は切っても切れない関係です。自分のカラダを受け入れることは、すこやかな精神への第一歩。そういう視点でカラダに迫っています。

Numéro TOKYO編集長 田中杏子

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