天ぷらの〆につるりといただく
「日本橋 蕎ノ字」の二八蕎麦
今月のディッシュvol.98は「蕎麦ニューウェーヴ」をテーマに、おすすめの3軒をご紹介。
いま注目は、新しい蕎麦の楽しみ方。蕎麦×ソムリエセレクトワイン、シャンパンのマリアージュ、洋の食材を合わせたオリジナル酒肴に、〆の蕎麦etc…オールドスクールからモードなスタイルまで、粋な東京蕎麦店をご紹介。
玉取茸、島田人参、もり蕎麦 コース¥8,900から
日本橋 蕎ノ字
旬の食材を使った天ぷらと〆の絶品蕎麦
静岡天ぷらと蕎麦のお店である。天ぷらの〆に、天茶や天丼ではなく、蕎麦をいただけるのが「蕎の字」流。これまで静岡県島田市で営業してきたが、「江戸前天ぷらの聖地で修業させていただくつもり」と、東京・人形町へ移転。店主の鈴木利幸さんは、もともと静岡の蕎麦屋の息子さん。蕎麦はお手のものだが、もっとお客さまに楽しんでほしいと、天ぷらと蕎麦のお店をオープンした。野菜の名産地を多く抱え、農家の意識も高い静岡では、おいしい野菜がたくさん取れる。この野菜と、駿河湾で揚がる新鮮な魚介類が天ぷらの主役。江戸前の天ぷらは基本的に野菜を揚げないが、ここでは、ぎゅっと旨味の詰まった玉取椎茸や、甘味を存分に感じられる島田人参、ほかにも多くの旬野菜が登場。野菜好きにはたまらない。コーンサラダ油と香ばしい胡麻油をブレンドし、衣はあくまでも軽く。食材の味わいがぐっと引き立つ。〆に待っているのは、「もり」もしくは「かけ」。お客さまの来店時間に合わせて、店主が打つ二八蕎麦だ。「天ぷらを召し上がった後なので、喉越しの良さを大切にした蕎麦に仕立てています」。蕎麦はその時期のおいしいものを仕入れる。写真は、栃木・益子の香り高い蕎麦を使ったもの。羅臼昆布と鰹節で取った蕎麦つゆは、かつおの香りが立ち、甘さと旨味のバランスが見事だ。旬の食材の天ぷらを味わった後の絶品蕎麦。至福の取り合わせだろう。
住所/東京都中央区日本橋人形町2-22-11
TEL/03-5643-1566
営業時間/11:45〜14:00、17:30〜21:00
定休日/月、第2・3日(その他不定休あり)
Photo : Masahiro Goda
Text : Mika Kitamura
Edit : Yuuka Shiomi