あなたの知らないユートピアへ vol.13 映画の作品世界に引きずり込まれるシーンはココ！
世の中には、まだまだ体験したことのない快楽の世界がある。その世界にたどり着くには与えられた「数値」を意識するだけ!? あなたはどの楽園に行ってみる？ 映画評論家の森直人が選ぶ、映画の世界に没入できる決定的シーンは。（『ヌメロ・トウキョウ（Numero TOKYO）』2020年4月号掲載）
『インセプション』（2010）
パリの街の地面が覆い被さる 30分10秒
鬼才クリストファー・ノーラン監督の画期的傑作。「夢の世界」が舞台となり、それが複雑な建築のように緻密な多層構造で設計されている。最初に度肝を抜かれるのはパリのシーン。産業スパイのコブ（レオナルド・ディカプリオ）と学生アリアドネ（エレン・ペイジ）がいる夢の階層で、街の地面がまるで津波のようにせり上がって巨大な壁のようになる（30分10秒時点）。この衝撃を皮切りに“ノーランの頭の中”を巡るようなめくるめく大冒険が展開！
『インターステラー』（2014）
宇宙空間をワープして隣の銀河の惑星に接近
66分06秒
ノーラン作品からもう一本。荒廃した近未来の地球を離れ、NASAの飛行士4名が宇宙船に乗り込み希望の星を探す。そのために彼らが通り抜けるのが土星近くにある「ワームホール」だ。これは時空を超越させて、別の銀河系にワープさせる回路。主人公クーパー（マシュー・マコノヒー）たちはまず“水の惑星”に向かい（66分06秒時点）、以降はブラックホールや四次元超立方体空間へも歩みを進める。最新の物理学的考証に基づいた破格の映像体験！
監督：クリストファー・ノーラン
出演：マシュー・マコノヒー、アン・ハサウェイ
© 2014 Warner Bros. Entertainment, Inc. and Paramount Pictures. All Rights Reserved.
『メリー・ポピンズ リターンズ』（2018）
メリーさんたちを取り囲みアニメの花が舞う
42分56秒
ディズニーのミュージカル映画、1964年の『メリー・ポピンズ』は実写とアニメーションの合成パートが有名で、いま観てもサイケデリックな陶酔をもたらす。この名作を大切に踏まえ、レトロな2Dアニメにこだわったリメイク版も素敵な出来。魔法使いのメリー・ポピンズ（エミリー・ブラント）が器を回転させるとアニメの花がわーっと舞い上がり（42分56秒時点）……さあ、不思議な世界の始まり！ カラフルな二次元と三次元の融合はトリップ度満点。
ディズニーデラックスで配信中
監督：ロブ・マーシャル
出演：エミリー・ブラント、リン=マニュエル・ミランダ
© 2020 Disney
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