Art / Post
その名が忘れ去られて20年余り。知られざる色彩に、世界中が思わず息をのんだ―。83歳にして写真界に“衝撃の再デビュー”を飾った伝説の写真家ソール・ライター。日本で初めての展覧会を前に、その数奇な運命と孤高の感性をひもといてみよう。
Black and White
モノクロームの初期作品に光る独自の感性
画家を志して訪れたニューヨークで、写真の才能を開花させたソール・ライター。1940〜50年代にかけて路上で撮影された作品には、ありふれた日常の中できらめく一瞬を捉える独自の視点と、繊細な感性の発露が見て取れる。
Fashion
ファッション・フォトグラファーとしての華やかなる日々
他に先駆けて撮影されたカラー作品がアートディレクターのヘンリー・ウルフの目に留まり、ウルフがADを務める『ハーパーズ・バザー』に起用。以降、1950〜70年代にかけて『エル』『ヴォーグ』などファッション写真の第一線で活躍した。
Color
忘れられた存在として見つめ続けた色彩の衝撃
1981年、商業写真から退いたライターは写真家として忘れられた存在に。転機は2006年、シュタイデル社から刊行された初の作品集『Early Color』。知られざるカラー写真の先駆者として世界的賞賛を集めたそのとき、彼はすでに83歳になっていた。
写真家、ソール・ライターが写した世界
モノクローム、ファッション、カラー写真…。今は亡き伝説の写真家、ソール・ライターが切り取る世界へ。(「ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)」2017年6月合併号掲載)
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Edit : Keita Fukasawa
Profile
ソール・ライター(Saul Leiter)
1923年、米ペンシルベニア州ピッツバーグ生まれ。46年、画家を志してニューヨークへ。50〜70年代にかけて『ハーパーズ・バザー』『エル』『ヴォーグ(英国版)』などでファッションフォトグラファーとして活躍するも、81年に商業写真の世界から退く。2006年、シュタイデル社から初の写真集『Early Color』が出版され、一躍脚光を浴びる。カラー写真の先駆者として評価が高まるなか、13年に死去(享年89)。