山本耕史が切り開いた未来
「今までのことは全部、この結婚のため」
山本耕史(Koji Yamamoto)俳優。0歳のモデルデビュー以来、舞台やドラマなどでずっと活躍を続ける俳優、山本耕史。プライベートでは、昨年電撃入籍をして世間を驚かせた。長いキャリアの中で、役者としてひたすら前に進み続ける原動力とは? 役者として、一人の男としてのターニングポイントを聞いた。
(Numéro TOKYO 2016年5月号掲載)
──山本さんは物心ついた頃から芸能界にいらっしゃって。初めてお芝居をしたときのことを覚えていますか。
「台詞をしゃべっている実感を覚えているのは小2のとき。初ドラマは小4。当時はお仕事という感覚はなかったですね。俳優をやっていると自覚したのが、21歳のときに出演したブロードウェーミュージカル『RENT』でした。伝説のロックミュージカルで日本初演。動きも台詞も芝居も全部あって、自分の体の細胞をフルに使って動く。あまりにも鮮烈な体験で、その後、他の舞台をやっても理想と違いすぎて、しばらくつらい時期がありました」
──それは『RENT』という作品が強烈で完成度が高かったから?
「どちらかというと未完成。だから永遠に進化していけるんです。他の完成した作品は、はみ出せない。でも『RENT』には奥行きがあり、未来がある。当時、そんな作品は他になかった。仕事で、自分の体を使って発揮できる場所があることを知ったんです。その前に小5で『レ・ミゼラブル』のガブローシュをやりましたが、大人たちに可愛がられて楽しかった記憶ばかり」
──大きな影響を受けた人物は?
「やはり『RENT』を作ったジョナサン・ラーソン。初めて『RENT』に関わった人は、国内外を問わず皆そんな思いでいるんじゃないかな。『RENT』の呪縛なのか、作品の理想と自分の理想がそぐわないという時期がその後10年以上あったかなあ」
──その状態をどうやって突破できたのですか。
「今でも突破していません。もう40歳になるし、突破できないまま死んじゃうんだろうなと思います。おそらく、既に『RENT』以上のものに出演しているとも思う。ただ僕の中では『RENT』が消化不良なまま」
Photos:Yasuyuki Ishii
Stylist:Tomomi Okano
Hair & Makeup:Kazuhiko Nishioka
Interview & Text:Maki Miura
Edit:Saori Asaka