Culture / Post
綾野剛の決意「日本の作品をもっと世界に届けていきたい」
Numero TOKYO 79号 きっかけは“コレ”でした vol.52 米倉涼子
──経験を積んで器用になっていく分だけ、こなせてしまう部分も増えてきたんでしょうね。
「作品を作るというのは前に進んでいくことだから、迷いを抱えていても立ち止まれない。そして、毎回取り組む世界や役柄が変わっていく分だけ、新しいことができているような気持ちになって、その迷いをごまかすこともできてしまう。でもふと、それは違うんだと思い直す…。そんな停滞した気持ちがありました。それを吹き飛ばしてくれたのが、今回のモントリオール映画祭だった。自分がどうあるべきかよりも、作品そのもののあり方を考えながら、役者としてやっていきたいと思いました」
──新たな決意が生まれたんですね。その思いを胸に、これから何を変えていきたいと思っているのですか?
「革命を起こしたいわけではないので、何かを変えようとは思っていないんです。変わるのは自分自身。今の自分の信念に従って進んでいく姿勢を見ていただきたい。そして、少しずつ周りを巻き込んでいけたらいいなと思っています。僕の同世代にもいい役者が大勢いるし、役者が力を発揮できる環境が守られていけば、作品自体のクオリティもさらに向上していくはず。僕はそういう良い環境をつくっていく輪の中の一人でありたい。そうやって、日本生まれの作品をもっともっと広い世界で見ていただける機会を増やしていけたら幸せです」
Photo:Akihito Igarashi Styling:Kazuhiro Sawataishi
Hair & Makeup:Yoko Imura Interview & Text:Subaru Kawachi
Edit:Saori Asaka