──経験を積んで器用になっていく分だけ、こなせてしまう部分も増えてきたんでしょうね。
「作品を作るというのは前に進んでいくことだから、迷いを抱えていても立ち止まれない。そして、毎回取り組む世界や役柄が変わっていく分だけ、新しいことができているような気持ちになって、その迷いをごまかすこともできてしまう。でもふと、それは違うんだと思い直す…。そんな停滞した気持ちがありました。それを吹き飛ばしてくれたのが、今回のモントリオール映画祭だった。自分がどうあるべきかよりも、作品そのもののあり方を考えながら、役者としてやっていきたいと思いました」