──綾野さんは、着実にキャリアを重ねてきた実力派という印象が強いので、ちょっと意外な発言です。その11年分の迷いとは?
「デビュー当時の俳優としてのファーストステップは、勘で勝負といった感じで役に挑み続けていました。若い僕に本気でぶつかってきてくれる大人たちとの出会いにも恵まれて、次第にあんな作品に出てみたい、こんな役がやりたいという欲も出てきて。そうしてさまざまな役に巡り合えてきたんです。4、5年目からは怒濤の変化の中で、目まぐるしい日々でした。評価もいただけましたが、とにかくアウトプットし続けていて」