Culture / Post
綾野剛の決意「日本の作品をもっと世界に届けていきたい」
Numero TOKYO 79号 きっかけは“コレ”でした vol.52 米倉涼子
──綾野さんは、着実にキャリアを重ねてきた実力派という印象が強いので、ちょっと意外な発言です。その11年分の迷いとは?
「デビュー当時の俳優としてのファーストステップは、勘で勝負といった感じで役に挑み続けていました。若い僕に本気でぶつかってきてくれる大人たちとの出会いにも恵まれて、次第にあんな作品に出てみたい、こんな役がやりたいという欲も出てきて。そうしてさまざまな役に巡り合えてきたんです。4、5年目からは怒濤の変化の中で、目まぐるしい日々でした。評価もいただけましたが、とにかくアウトプットし続けていて」
──そうやって走り続ける間に、何か心境の変化が?
「自分の中から出し続ける状況ばかりが続いていて、その次のアクションというものが見えづらくなってきていたというのが正直なところです。僕は当初から、どこの畑にも属していない役者でありたかったから、あらゆるジャンルに取り組んでいこうと意識していました。そして役者が飛躍できる場所をもっと作っていきたいといつしか考えるようになってきた。でもそういう初期衝動が次第に薄れてきて、将来像や進むべき道を見失い、それが迷いになっていたんです」