綾野剛の決意「日本の作品をもっと世界に届けていきたい」
──この秋スタートしたドラマ『すべてがFになる』(フジテレビ系毎週火曜21時~)は、綾野さんにとって民放連続ドラマ初主演作品であり、なおかつ武井咲さんとのW主演。原作が人気ミステリー小説ということも相まって、話題ずくめのスタートになりましたね。
「僕も撮影前に原作を読ませていただいたのですが、『このドラマは現場で取り組んでみないとわからない』というのが率直な感想。というのも、ストーリーを追ううちに『こんな展開が待っているんだろうな』と察しがつくような小説ではないんです。それだけに、この作品の映像化そのものがチャレンジなのかもしれないし、出来上がった作品はドラマにおける新風になるのではないかと期待しています。ストーリーに関しては、情報量がとても多いので、見てくださる方々を捉えて離さない工夫をしていきたい。それも一つの目標です。いつもは大抵、作品に流れている匂いや空気感のようなものを手応えとして感じることが多くて、それが演じる上での手がかりになるんですが、この作品は限りなく無臭に近い。台本を手に役と向き合っていると、真っ白なところに閉じ込められているような感覚になっていくというか。だから、まずは体当たりで演じるのみ。現場主義に徹しています」
──綾野さん演じるのは、工学部建築学科の准教授で天才肌の研究者、犀川創平。犀川のパーソナリティについては、何か自分なりのイメージや役作りのアイデアがあったんですか?
「天才という言葉が付くと、どうしてもクールなキャラクターという先入観が強くなるものだけど、犀川に関しては、もっと人間らしいところを出していきたいという思いがありました。時にチャーミングであり、時に温かくて。あまり理屈っぽくない人物に仕立て上げたいと目論んでいます。自分の頭の中には現場に出てやってみたいアイデアもいろいろあったので、今それらを演技に落とし込んでいるところです」