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ティモシー・シャラメ主演で伝説の名作がついに映画化『DUNE/デューン 砂の惑星』

壮大なスケールを持つあまり完全な映像化は不可能と言われ続けてきた小説「デューン/砂の惑星」が、異次元の天才と称されるドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の手によってついにその世界観を再現。究極の映画体験とされる「Filmed For IMAX®」に認定された世界初の作品『DUNE/デューン 砂の惑星』をぜひ劇場で。

伝説のSF超大作企画が圧巻の映像美で実現!
鬼才ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の完全勝利。オールスター俳優たちの夢の競演も見逃せない!

ついに難攻不落の巨大プロジェクトが見事に“攻略”された! 博覧強記の米国のカリスマ作家、フランク・ハーバート(1920年生~1986年没)が1965年に発表したSF大河小説の金字塔『DUNE/デューン 砂の惑星』の映画化である。

全6作からなる壮大な『デューン』シリーズ(さらに原作者の息子、ブライアン・ハーバートが書き継いでいった関連作もある)のうち、『砂の惑星』は最初の作品。ジョージ・ルーカスの『スター・ウォーズ』サーガ(1977年~2019年)や宮崎駿の『風の谷のナウシカ』(1984年)に多大な影響を与えたことでも知られる偉大な原作だが、オリジナルの映像化はハードルが異常に高く、なかなか満足に実現しないことで長らく伝説となっていた。

まずアレハンドロ・ホドロフスキーが超大作の構想を広げて挑んだものの頓挫に終わり(製作中止に至る過程は2013年の『ホドロフスキーのDUNE』というドキュメンタリーにまとめられている)、リドリー・スコットは降板。その代打として雇われたデヴィッド・リンチは『デューン 砂の惑星』 (1984年)という形にしたものの、原作との相性が微妙すぎて珍作の域に着地した。2000年と2003年にはアメリカでテレビのミニシリーズが放映されたりもしたが、劇場映画としては名うての鬼才監督たちが撃沈していった呪いの鬼門だったのだ。

ところが今回、そのジンクスをぶち破ったのがドゥニ・ヴィルヌーヴ監督である。『メッセージ』(2016年)や『ブレードランナー2049』(2017年)といった難易度の高いSF作品をこなしてきた彼は、ハイブロウな知性とエンタメの突破力を兼ね備えた現代映画界の超優等生。しかもかねてから『DUNE/デューン 砂の惑星』の映画化が夢だとよく語っていた。そんな彼が脚本・製作も兼任することにより、とうとう本気の大傑作が立ち上がってきた。まだ第一部(原作の前半部)の段階だが、これは掛け値無しに素晴らしい映画化だ。

物語は遠い未来、西暦10191年。主人公はアトレイデス家の後継者である青年ポール(ティモシー・シャラメ)。民衆の良きリーダーとしてこの地を治める父親のレイ・アトレイデス公爵(オスカー・アイザック)、勇敢な母親のレディ・ジェシカ(レベッカ・ファーガソン)と共に幸福な日々を送っていたが、宇宙帝国の皇帝からの意向により、一家は砂漠に覆われた苛酷な環境の惑星アラキス──通称「砂の惑星」デューンへ移住することになる。

だがこの赴任命令は罠であった。今までデューンを独裁的に統治してきた凶暴なハルコンネン家が皇帝と共謀し、人気のあるアトレイデスの一族を滅亡させようとしているのだ。一夜にして命を狙われる身となったポールだが、やがて宇宙の未来を占う巨大な宿命に覚醒していく──。

まず冒頭から圧倒的な映像美に溜め息が出る。彩度を落とし、リアルなデザートカラーを基調としたパレット使いは、決して派手ではないからこそ絵画的強度が際立つ。撮影のグリーグ・フレイザーはIMAX上映を前提としたIMAX認証デジタルカメラを使用し、驚異的な解像度の高さによる繊細な描写と、アクションやスペクタクルのド迫力を同時に実現。惑星デューンでは灼熱の乾いた砂漠の中に巨大なサンドワーム(砂虫)が出現し、砂嵐が巻き起こる。そこに先住民フレメンたちが姿を見せる光景は『アラビアのロレンス』(1962年/監督:デヴィッド・リーン)の進化形のようだ。ヴィルヌーヴ組はVFXに頼りすぎない撮影法を模索し、ハンガリー、ヨルダン、アブダビ、ノルウェーでの大規模なロケーション撮影が行われた。

そしてキャストの凄さ。単に「豪華」というだけではなく、ハリウッドの枠すら超えた世界最強と呼べるスタメン──真の実力で光り輝く精鋭たちを集めた夢のオールスター・キャストがそろった。

銀河系間の権力闘争に巻き込まれ、救世主としての使命に目覚めていく主人公の若者、ポール・アトレイデス役には、あのティモシー・シャラメ。1995年生まれ──Z世代のトップランナーでもある彼が、満を持してハリウッド大作の主演を務める。『君の名前で僕を呼んで』(2017年/監督:ルカ・グァダニーノ)や『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019年/監督:グレタ・ガーウィグ)など、よく「王子様」のイメージで語られる彼だが、今回のポール役はその最初の集大成になるのではないか。『スター・ウォーズ』サーガにおけるルーク・スカイウォーカー的な立ち位置ともいえる役柄(もっともハーバートの小説こそが元祖なのだが)ながら、高貴な美のなかに憂いや陰り、繊細さを湛えた面持ちや佇まいが生きる。

また『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015年/監督:J・J・エイブラムス)からの続三部作でポー・ダメロン役を務めたオスカー・アイザックが、ポールの父であるアトレイデス家の領主、レト公爵を演じる。もともと原作小説の熱心なファンだったアイザックは、この大役に挑むに当たり黒澤明映画の三船敏郎なども参考にしたという。そしてポールの母である聖なる戦士レディ・ジェシカ役には、レベッカ・ファーガソン。人気アクションシリーズ『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(2015年/監督:クリストファー・マッカリー)からイルサ・ファウスト役を務め、さらにミュージカル映画『グレイテスト・ショーマン』(2017年/監督:マイケル・グレイシー)のオペラ歌手ジェニー・リンド役がよく知られている。今回、息子と揺るがぬ絆を結ぶキーパーソンとして作品を牽引する存在だ。

アトレイデス家の武術指南役ガーニイ・ハレック役はジョシュ・ブローリン。ヴィルヌーヴ組には『ボーダーライン』(2015年)で参加済みの彼だが、最近ではMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)で、アベンジャーズの宿敵サノスを演じたことが有名。今回は若きポールを全力でサポートする腹心であり、ティモシー・シャラメと彼のコンビネーションは牛若丸と弁慶のよう。またポールが兄のように慕うダンカン・アイダホ役は、DCユニバースでアクアマン役を務めたジェイソン・モモアが務める。


さらに砂の惑星の先住民族、フレメンの美しき戦士チャニ役にはゼンデイヤ。『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019年/監督:ジョン・ワッツ)のヒロインMJ役で大きく注目された彼女だが、今回はポールの予知夢の中に繰り返し登場する重要なキャラクター。まさしく次世代を担う新星にふさわしい役どころだ。

そのほかレディ・ジェシカも所属する女性集団「ベネ・ゲセリット」の教母ガイウス・ヘレネ・モヒアム役に扮するシャーロット・ランプリングをはじめ、ハビエル・バルデム、ステラン・スカルスガルド、チャン・チェンなど、ヨーロッパやアジア圏から映画ファンにはおなじみの実力者たちが集結している。マーベルにDC、『スター・ウォーズ』に『ミッション:インポッシブル』、そして尖鋭的なアート系映画からもメンバーが寄り集まった。

音楽は名匠ハンス・ジマー。やはり長年の原作ファンである彼は、物語の中の広大な砂漠にあらためて身を置き、夢見るような気持ちで曲を作り上げていったという。

まさにこの映画は「総力戦」。ドリームチームのアンサンブルプレーを堪能する愉楽に満ちているのだ。この空前絶後の映画体験を味わい尽くすためにも、特にIMAXでの鑑賞をおすすめしたい!

『DUNE/デューン 砂の惑星』

監督/ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演/ティモシー・シャラメ、レベッカ・ファーガソン、オスカー・アイザック、ゼンデイヤ、シャーロット・ランプリング、ステラン・スカルスガルド
10月15日(金)より、全国公開
wwws.warnerbros.co.jp/dune-movie

©2020 Legendary and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved
配給/ワーナー・ブラザース映画

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Text:Naoto Mori Edit:Sayaka Ito

Profile

森 直人Naoto Mori 映画評論家、ライター。1971年、和歌山県生まれ。著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)、編著に『ゼロ年代+の映画』(河出書房新社)ほか。『週刊文春』『朝日新聞』『TV Bros.』『シネマトゥデイ』などでも定期的に執筆中。 YouTube配信番組『活弁シネマ倶楽部』でMC担当中。

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