カンヌもオスカーも受賞! 究極のブラック・ムービー『ブラック・クランズマン』 | Numero TOKYO
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カンヌもオスカーも受賞! 究極のブラック・ムービー『ブラック・クランズマン』

デンゼル・ワシントンの息子、ジョン・デヴィッド・ワシントンを主役に迎え、相棒役には『スター・ウォーズ』シリーズ新3部作でカイロ・レン役を演じたアダム・ドライバーと旬のキャストが揃う、鬼才スパイク・リー監督の最新映画『ブラック・クランズマン』が3月22日(金)に公開される。

黒人刑事が白人至上主義の過激派団体KKKに潜入捜査!?

ブラック・ムービーの帝王、スパイク・リー監督。『ドゥ・ザ・ライト・シング』(1989年)や『マルコムX』(1992年)など、映画におけるブラック・パワーの旗手として新しい道を切り開いてきたベテランの鬼才が、トランプ政権下でレイシズム(人種差別問題)が加熱する現状に向けた野心作を発表した。それが驚きの実話をもとにした『ブラック・クランズマン』だ。

原作は元刑事のロン・ストールワースが自身の体験を綴ったノンフィクション小説。1979年、アメリカコロラド州コロラドスプリングスの警察署に唯一の黒人刑事として務めていた彼が、なんと白人至上主義の過激派団体“KKK”(クー・クラックス・クラン)に潜入捜査した時の回想録だ。

物語はアフリカ系アメリカ人の青年ロン(ジョン・デヴィッド・ワシントン)が警察署の門を叩くところから始まる。晴れて新人刑事になった彼は、一つのとんでもない捜査アイデアを思いつく。正式な会員としてカルト団体“KKK”の内部に入り込み、彼らの悪事を暴くというものだ。

とはいえ、もちろん黒人が“KKK”に近づけるわけがない。そこでパートナーに指名されたのが、同じ部署のユダヤ系白人刑事フリップ・ジマーマン(アダム・ドライバー)。電話ではロンが対応し、現場にはフリップがロンのふりをして出向く。二人一役で挑むこの危険な作戦、果たしてそのゆくえはいかに……!?

主人公ロン役のジョン・デヴィッド・ワシントンは、あの名優デンゼル・ワシントンの息子。相棒となるフリップ役には『スター・ウォーズ』新シリーズや『パターソン』(2016年)などで人気絶頂のアダム・ドライバー。さらにロンが心惹かれるブラックパンサー党幹部の美女パトリス役には、『スパイダーマン:ホームカミング』(2017年)で注目を集めたローラ・ハリアーが扮するなど、旬の豪華キャストが揃う。

彼らの好演を得て、内容はスパイク・リー監督の独壇場だ。実話を膨らませる形で、古典的名画とされる『風と共に去りぬ』(1939年)や『國民の創生』(1915年)を、白人優位と黒人差別の視座から再検証したりも。終盤にはエピローグ的に最近のドキュメント映像を挿入し、いまだに不寛容がはびこる米国並びに世界への強烈なメッセージを叩きつける。

パワフルな社会派ながら娯楽映画としても一級品。製作は『ゲット・アウト』(2017年)の監督であるジョーダン・ピールが務めた。まさにブラック・パワーの精鋭による究極のマスターピース。昨年の第71回カンヌ国際映画祭では、『万引き家族』のパルムドールに次ぐグランプリ(第二席)を受賞。今年の第91回米アカデミー賞では6部門ノミネートされ、脚色賞を獲得。受賞コメントの締めは“Let’s Do the right thing!!”だ。

『ブラック・クランズマン』

監督・脚本/スパイク・リー 
出演/ジョン・デヴィッド・ワシントン、アダム・ドライバー、ローラ・ハリアー、トファー・グレイス、アレック・ボールドウィン
2019年3月22日(金)より、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
URL/https://bkm-movie.jp/

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Text:Naoto Mori Edit:Sayaka Ito

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