村上春樹×韓国の巨匠が鮮烈なコラボレーション。映画『バーニング 劇場版』
韓国の名匠イ・チャンドン監督が、村上春樹の80年代の短編を映画化した『バーニング』が、2019年2月1日(金)より公開。原作の世界観を踏襲したサスペンスでありながら、韓国の現代の若者の姿を描き出すなど、映画オリジナルの展開で観る人を魅了する。
カンヌの批評家採点で歴代最高点を記録した噂の青春ミステリー映画が全貌を現す!
なんて鮮烈な青春映画。韓国を代表する巨匠、イ・チャンドン監督の『ポエトリー アグネスの詩』から8年ぶりとなる待望の新作。彼が今年デビュー40周年となる世界的な人気作家、村上春樹の異色短篇『納屋を焼く』(1983年初出)を、いまの韓国の格差社会にアジャストして大胆に脚色。完全版148分(NHKで95分の短縮版を放送済み)の新しい傑作が誕生した!運送会社のアルバイトをしているジョンス(ユ・アイン)は、街角で美しくなった幼なじみのヘミ(チョン・ジョンソ)に再会。ヘミがアフリカ旅行で留守の間、自宅にいるという猫の世話を頼まれる。やがて帰国したヘミは青年ベン(スティーヴン・ユァン)を連れていた。洗練された佇まいで裕福な暮らしを送る正体不明の男。ある時、ベンはジョンスに自分の秘められた“趣味”を打ち明ける――。
男女三人の揺れ動く関係性と、次第に高まる緊張感。韓国の現代社会で浮遊する若者たちの姿と心理的な駆け引きをミステリータッチで描き出す。
メインキャスト陣も注目だ。骨太かつ繊細な魅力を見せる主人公ジョンス役のユ・アイン。ヒロインのヘミ役には、これが長編映画デビューとなる新人女優チョン・ジョンソ。そしてベン役――米作家F・スコット・フィッツジェラルドの小説『グレート・ギャツビー』の若くして富を得た主人公に喩えられるこの謎めいた青年役には、米国のテレビシリーズ『ウォーキング・デッド』で知られるスティーヴン・ユァン。
ハリウッドスターでもある彼がミステリアスで優雅な存在感を怪しげな色気と共に発揮する。彼ら三人が田舎の玄関先でパーティをする中盤は、原作のメインパートを踏襲した見せ場。ジャズと大麻の甘く気怠い時間の頽廃美は強烈なインパクトを残す。
本作はアカデミー賞外国語映画部門の韓国代表に選出。また第71回カンヌ国際映画祭では、批評家による得点が過去最高点をマーク。各国の有力ジャーナリスト10人による星取表で4.0満点中、平均点3.8という驚異の評価を叩き出し、国際映画批評家連盟賞を受賞。『万引き家族』のパルムドール受賞を脅かしたとされる一本――これは見逃すわけにいかない!
『バーニング 劇場版』
監督/イ・チャンドン
原作/村上春樹『蛍・納屋を焼く・その他の短編』(新潮文庫)
出演/ユ・アイン、スティーブン・ユァン、チョン・ジョンソ
2019年2月1日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開
URL/http://burning-movie.jp/
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Text:Naoto Mori Edit:Sayaka Ito