悲しみも温かい笑いへ。新しい家族映画『鈴木家の嘘』 | Numero TOKYO
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悲しみも温かい笑いへ。新しい家族映画『鈴木家の嘘』

母の笑顔を守るため、父と娘が一世一代の嘘をつく……。岸部一徳、原日出子、加瀬亮ら名優たちが集った、家族の再生をあたたかなユーモアで包み込む映画『鈴木家の嘘』が11月16日(金)より公開される。

東京国際映画祭でW受賞! 悲しみを乗り越え、再生に向かう姿をユーモラスに綴る家族の物語

この映画は衝撃的なシーンから始まる。あまりにも突然に訪れた鈴木家の長男・浩一(加瀬亮)の死。自らこの世を去った息子の姿を目の当たりにした母・悠子(原日出子)。彼女は激しいショックのため、浩一の死を含む数日間の記憶を失ってしまう。 遺された父・幸男(岸部一徳)と長女・富美(木竜麻生)は、母を安心させるため咄嗟に嘘をつく。ひきこもりだった浩一は、憧れていた革命家チェ・ゲバラの故郷であるアルゼンチンに行き、母の弟・博(大森南朋)の仕事を手伝っているのだと……。

家族の死という巨大な喪失感を抱えつつ、再生に向けて必死に奮闘する父と娘の姿をユーモラスに描く。答えの出ない悪戦苦闘の中で、次第に替えの効かない不思議な関係性――家族の絆が浮かび上がる。

監督はこれが長編デビュー作となる野尻克己。橋口亮輔監督の『恋人たち』や石井裕也監督の『舟を編む』、大森立嗣監督の『セトウツミ』など、名立たる人気監督たちの作品で助監督を務めてきた彼が、満を持しての初監督作を発表した。

実体験をベースに脚本も監督自ら手がけたオリジナル。自死遺族たちが集まるグリーフケアのシーンなどにはドキュメンタルな生々しさが漂うが、同時に端正なフィクションを志した作劇と演出にはホームドラマの伝統を感じさせる。

日本を代表する実力派キャストが揃い踏みするなか、ワークショップを経て抜擢され、瀬々敬久監督『菊とギロチン』でもヒロインを務めた新星・木竜麻生の瑞々しい存在感が光る。今年行われた第31回東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門では作品賞に加え、注目の若手キャストに贈られる東京ジェムストーン賞を獲得した。

『鈴木家の嘘』

監督・脚本/野尻克己
出演/岸部一徳、原日出子、木竜麻生、加瀬亮、岸本加世子、大森南朋
2018年11月16日(金)より、新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国公開
URL/http://suzukikenouso.com/

©️松竹ブロードキャスティング

Text:Naoto Mori Edit:Sayaka Ito

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