伝説のウィンブルドン決勝戦。興奮の闘いが映画化!
1980年、歴史に刻まれたウィンブルドン決勝戦、美しき王者ボルグVS悪童マッケンロー。 彼らが自らの人生のすべてを注ぎ込んだ3時間55分の名勝負と、そこに至るまでの驚愕の道のりが映画に。世界で絶賛されている。
テニス界伝説のW天才プレイヤーの頂上決戦――時代の熱狂と、美しき魂の共振
『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』や『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』など、今年は実話を題材にしたスポーツ映画の傑作が続出している。そこにまた一本、必見作が加わった。かつて絶大な人気と熱狂を誇った二人の天才テニスプレイヤー、ビヨン・ボルグとジョン・マッケンローのライバル関係を描く『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』だ。
1980年、テニス史上屈指の名試合として知られる伝説のウィンブルドン決勝戦が、この映画のクライマックスとなる。いつもクールでエレガント、冷静沈着な「氷の男」ボルグ(当時世界ランク1位)と、ワイルドで粗暴な立ち振る舞いで物議を醸し出し、悪童の異名を取った「炎の男」マッケンロー(当時世界ランク2位)。
対照的なキャラの二人だが、しかしその裏には常人では計り知れない“天才の秘密”があった。特にボルグの内なる獣性を掘り下げつつ、根っこでは実は似た者同士であった彼らの魂の共振を探り当てる。
1970年代後半に絶対王者へと登りつめたボルグ時代から、80年代を席捲するマッケンロー時代へ。その端境期を伝える当時のファッション、ロック音楽なども印象的だ。そして本物の実力者だけが知ることのできる、天才同士の美しき聖域を頂上決戦のコートに凝縮する。
肉体ひとつでシンプルに渡り合う主演ふたりが素晴らしい。
ボルグ役はスウェーデン出身のスベリル・グドナソン。内面への深い憑依も含めた、本物への激似ぶりには驚かされる。マッケンロー役はハリウッド大作『トランスフォーマー』(2007年)の主演でブレイク以降、『ニンフォマニアック』(2013年)など多彩な作品への出演が続くシャイア・ラブーフ。私生活でもお騒がせ事件が続く暴れん坊将軍ラブーフはまさにハマリ役。彼はマッケンローの天才性をモーツァルトに喩えている。
監督はドキュメンタリー出身のヤヌス・メッツ。長編ドラマ作品は今回がデビュー作となるが、W天才の人物像や試合の臨場感を簡潔かつリアルに伝える演出は、エンタメ的にもシンプル・イズ・ベスト。ローマ映画祭やマカオ国際映画祭など数多くの観客賞を受賞している。
『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』
監督/ヤヌス・メッツ
出演/スベリル・グドナソン、シャイア・ラブーフ、ステラン・スカルスガルド
2018年8月31日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国順次公開
URL/http://gaga.ne.jp/borg-mcenroe/
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Text:Naoto Mori Edit:Sayaka Ito