ポール・トーマス・アンダーソン監督の究極のラブストーリー『ファントム・スレッド』 | Numero TOKYO
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ポール・トーマス・アンダーソン監督の究極のラブストーリー『ファントム・スレッド』

『ブギー・ナイツ』(1997)『マグノリア』(99)『パンチドランク・ラブ』(2002)『ザ・マスター』(12)などで多くの熱狂的ファンを獲得した鬼才ポール・トーマス・アンダーソン監督。彼の待望の新作『ファントム・スレッド』が公開される。

名優ダニエル・デイ=ルイスと天才監督の、至高のコラボレーション

これを最後に俳優業の引退を表明している名優、ダニエル・デイ=ルイス。彼が『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』以来、10年ぶり二度目のタッグとなる天才監督ポール・トーマス・アンダーソンと組んだ重厚な人間ドラマだ。

舞台は1950年代のロンドン。完璧な美の求道者として、英国の高級婦人ファッション界の中心に君臨するオートクチュールの仕立屋レイノルズ(ダニエル・デイ=ルイス)。彼は自身の理想にマッチする究極のモデルを探していた。そして見つけたのはウェイトレスのアルマ(演じるのはルクセンブルグ出身の注目の新進女優、ヴィッキー・クリープス)。レイノルズは彼女を新たなミューズに迎えるが、しかしアルマの愛の希求は、孤高の精神を持つ彼の心を激しくかき乱していく。

規律正しい生活の中で自分の世界をストイックに追い求めていく男と、血の通った関係を望む女。壮絶な男女の愛の駆け引き、パワーゲームを描いた心理戦が展開し、全編エレガンスと異常な緊張感が同居する。

撮影監督もアンダーソン自身が手掛け、絢爛豪華な衣装の数々を艶やかな映像美へと焼きつける。音楽は4本目のアンダーソン作品となる、レディオヘッドのジョニー・グリーンウッド。鉄壁の布陣により至高の映画世界が構築された傑作だ。

『ファントム・スレッド』
監督・脚本/ポール・トーマス・アンダーソン 
出演/ダニエル・デイ=ルイス、ヴィッキー・クリープス、レスリー・マンヴィル
5/26(土)より、シネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMA、新宿武蔵野館ほか全国公開
URL/http://www.phantomthread.jp/

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Text:Naoto Mori Edit:Sayaka Ito

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