「Chim↑Pom展」を堪能の土曜日【#私の土曜日16:00】
先週土曜日、「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」を開催中の森美術館へ。
結成17周年を迎える卯城竜太さん、林靖高さん、エリイちゃん、岡田将孝さん、稲岡求さん、水野俊紀さんの6名のメンバーで構成される Chim↑ Pom(チンポム)。常に社会問題を提起をしながら社会との摩擦が生まれるギリギリを狙い、実際に社会問題になることもありながら、そのすべてを作品と化してしまうすごいエネルギッシュかつラディカルなアーティスト・コレクティブ。初期から近年までの代表作と今展覧会のために制作された新作とあわせて一挙に紹介する初の本格的回顧展です。
「サンキューセレブプロジェクト アイムボカン」(2007年)
セレブのボランティア精神とギャルカルチャーに習ってカンボジアへ赴き、完全なる自己責任のもと地雷撤去を促進させるべく生まれた作品。カンボジアの民とともに語るギャル、エリイ。隣には地雷で片腕を無くしたエリイの肖像が飾られている。カンボジアに埋められた地雷は、人の体をもぎ取るだけで死には至らせない。常に犠牲者は一般市民なのだというのを表現した衝撃的な作品。
(写真左)《パビリオン》(2013/2022年) (右)《ノン・バーナブル》(2017/2022年)
広島の原爆ドーム上空に飛行機雲で「ピカッ」という文字を描き平和への無関心を視覚化させるという作品《ヒロシマの空をピカっとさせる》(2009年)が、広島市民から「不快だった」という声があがり事前告知の不徹底を被爆者団体に謝罪。のち時間をかけて交流を深め、広島関連の作品を多く製作。左はたくさんの折り鶴で作られたパビリオンと、実際に折り鶴を折るコーナーも。右は私が折った折り鶴です。折り紙は使用済みのものを再利用していました。
《スーパーラット ハッピースブリング》(2022年)
新宿に彷徨うネズミを捕獲し、その剥製を「ポケットモンスター」のキャラクター「ピカチュウ」に模して黄色く着色した作品《スーパーラット》が、黄金色に進化。殺鼠剤を使って駆除をするも、毒への耐性を遺伝化させ都市圏で増え続けるネズミを、駆除業者の間ではスーパーラットと呼んでいるそうです。人間との共存を続けるスーパーラットたちは、放射能汚染後を生きる私たちの姿でもあり、自分たち自身も耐性を遺伝化させ進化しているのだろうかを同時に問う作品でもあります。
展覧会最後のパートは、卵子を凍結し人工授精によって出産したエリイの経験を元に作られた作品が出迎えてくれます。エリイ本人が紡いだ言葉が本人の朗読で流れ、その音を後にミュージアムショップへ。ショップは「金三昧」(かねざんまい)と称して、展覧会のセクションの一つとして組み込まれています。
「WE ARE SUPER RAT」と書かれたTシャツ
エリイが「新潮」に連載していた『OH MY GOD』に書き下ろしを加えた書籍『はい、こんにちは』を購入。
『はい、こんにちは』は、彼女の奥底にひたひたと流れる芸術家エリイ節が存分に味わえる一冊です。うん。やっぱこの人芸術家だわ。
「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」
会期/2022年2月18日(金)~5月29日(日) 会期中無休
会場/森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
https://www.mori.art.museum/jp/
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