
常夏の国、タイのバンコクに行くならリゾート気分を味わえる高級ホテルでおこもりステイも満喫したいし、有名観光地やトレンドスポットもチェックしたいところ。そんな欲張りな旅のスタイルを叶えてくれるのが、バンコクの中心部ラチャダムリに位置する「アナンタラ・サイアム・バンコク・ホテル」。タイ発祥のラグジュアリーホテルで、今年約5,000万米ドルを投じた大規模な改装を終えたばかりということで、今回招待を受けて取材旅へ。タイ文化と最先端のウェルネス、そして美食が交差するバンコクの新たな滞在体験をご紹介。
世界に50軒以上を展開するタイ発祥のラグジュアリーホテル

アナンタラは、2001年に設立されたタイ発祥のラグジュアリーブランド。世界で640軒以上のホテルを運営するマイナー・ホテルズのフラッグシップかつ最上級のブランドで、現在ではアジア、ヨーロッパ、アフリカ、中東、インド洋などに50軒以上のホテル&リゾートを展開している。

アナンタラは同じブランドでも都市型ホテルから、ビーチリゾート、広大な砂漠やジャングルまで、そのレパートリーは多彩だ。しかし、滞在する土地の自然環境や歴史文化を、建築やデザイン、そしてサービスに深く取り入れる点は共通する。

2030年には長野県に「アナンタラ軽井沢リトリート」として日本へも初上陸予定だ。全51室のスイートとヴィラ、温泉、本格ダイニングを備える予定で、タイのホスピタリティが日本の自然とどう融合するのか、今から期待が高まる。
また、アナンタラは「カペラ」や「パティーナ」なども名を連ねる、世界最大の独立系ホテルアライアンスである「グローバル・ホテル・アライアンス(GHA)」にも加盟。ロイヤリティプログラム「Minor DISCOVERY」を通じて独自の特典も享受できる。
バンコク屈指の繁華街に隣接する「アナンタラ・サイアム・バンコク・ホテル」

そんなアナンタラ・ブランドのバンコクにおける旗艦ホテルが「アナンタラ・サイアム・バンコク・ホテル」だ。BTS(スカイトレイン)のラチャダムリ駅からすぐ近くにあり、周辺には「エラワン祠」をはじめ、「セントラルワールド」、「ゲイソーンヴィレッジ」、「サイアム・パラゴン」といった大型商業施設が徒歩圏内にそろう。

通りを挟んだ向かいには、ゴルフコースを擁する「ロイヤル・バンコク・スポーツクラブ」が広がる。少し足を延ばせば「ルンピニ公園」にも歩いてアクセスでき、周辺は緑も豊か。街中でショッピングや観光を楽しみ、疲れたらすぐにホテルへと戻る、そんな気ままなアーバンリゾートステイが叶うのもこの立地ならではだろう。

ホテルは1983年にペニンシュラとして開業後、リージェント、フォーシーズンズを経て、2015年にアナンタラへと受け継がれた。建物は世界的建築家ジョージ・ウィンバリー氏が手掛けており、タイの文化遺産や芸術的伝統をたたえる手描きの壁画や意匠、チーク材やシルクなどの上質な素材を用いた設えなど、随所に職人技が息づいている。

そのタイムレスな魅力から、これまで各国の首脳や文化人に愛されてきた。なかでも目を奪われるのが、ロビーに広がる手描きの壁画。タイの巨匠パイブーン・スワンナクット氏がチャクリー王朝200周年を記念して描いたもので、「タイの伝統的な世界観における天界」が19枚のパネルにわたって精緻に表現されている。

総額5,000万米ドルを投じた今回の全面改装に際しては、氏の逝去後、氏の娘も携わり、細部に至るまで丁寧に保存・修復が行われ、同壁画は完成した。

また、緑豊かなトロピカルガーデンや、ダイニングに隣接する中庭構造も目を見張る。錦鯉が泳ぐ池を配した落ち着いた中庭があり、週末には緑豊かなこの中庭でライブ演奏を聴きながら、エレガントなブランチを楽しむこともできる。
都市型リゾートの真骨頂。喧騒を忘れさせる緑豊かなヴィラとスイート

今回の大改装で、全335室に及ぶ客室とスイートも全面的にリニューアルされた。なかでも、バンコクの中心部にありながら、屋外の自然を独り占めできるような緑に包まれたプライベートな時間を楽しめるのが「ガーデン・プール・ヴィラ」と「ガーデン・プール・スイート」だ。緑豊かなトロピカルガーデンに囲まれ、プライベートプールを備えた空間は、屋内外がシームレスに繋がり、都会の隠れ家と呼ぶにふさわしい。

また、タイの「シルク王」ジム・トンプソンとのパートナーシップによる「ジム・トンプソン・エクスプローラー・スイート」も独自の存在感を放つ。磨き上げられたチーク材の床や彩色パネル、厳選されたアート作品が配され、タイの遺産とモダンな洗練が融合している。室内にはタイならではの調度品も飾られ、空間に歴史の深みを感じるはずだ。

72平米の広さを持つ「サイアム・スイート」は、タイの伝統意匠を取り入れたインテリアと、深いバスタブを備えた大理石のバスルームが、旅の疲れを優しく解きほぐす。チーク材や手仕事のディテール、上質なシルクをアクセントに取り入れ、モダンでありながらタイらしさを色濃く感じさせる空間だ。

エグゼクティブルームやスイート宿泊者は、「カサラ・エグゼクティブラウンジ」も利用できるのだが、パーソナルなサービスが素晴らしい。朝食やアフタヌーンティー、夕方のカクテルタイムが用意されている他、旅程に合わせた旅のサポートや提案もしてくれる。

さらに、スイート宿泊者は1日あたり2着までのランドリーまたはプレスサービスが無料。そして円高かつスイート宿泊でも、まだまだ手が届く価格帯なのがバンコクの素晴らしいところだ。
食の都を牽引するダイニングと「Asia’s 50 Best Bars」選出のバー

ホテル内には日本料理、イタリアン、南米&ニッケイフュージョン、カフェベーカリー、ロビーラウンジなど9つの多彩なレストランとバーが名を連ねる。なかでもまず訪れるべきは、タイ料理の「スパイス・マーケット」だ。

昔ながらのタイのスパイス店を模した店内で、エグゼクティブ・タイシェフのアッカウィン・ピトラチャート氏が手掛ける、タイ各地の郷土料理に現代的なアレンジを加えた一皿が味わえる。

ココナッツの粉やタマリンドジャムなどをバイチャプルー(ハイゴショウ)の葉で包んで味わう前菜「ミャンカム」や、ココナッツミルクにタイの香辛料「ガランガル(カー)」が香る「トムカー」、文旦とホタテを合わせたサラダなど、南国食材とスパイスの複雑な重なり合いが堪能できる。

シグネチャーである白身魚の揚げ物は、エアリーな食感にキャラメリゼしたナンプラーのソースがアクセントになり、魚嫌いをも虜にするほどのおいしさだ。

バンコク最古級の、ニューヨークスタイルのステーキハウスとして知られる「マディソン・ステーキ・アベニュー」も、ぜひ訪れたい一軒だ。最高級のUS和牛やオーストラリア産アンガス牛のほか、タイ産の食材を取り入れたグリル料理を、重厚な空間で堪能できる。

特にローカルから人気なのが、ランチコース。シャルキュトリーや生牡蠣、シーフード、サラダやパンなどを含む前菜ビュッフェに、アペタイザーとメインディッシュが選べて1,420タイバーツ(2026年10月27日のレートで約6,638円)とアフォーダブル。しかもメインはもちろん、前菜ビュッフェのクオリティが一つひとつ高い。

そしてこのホテルで外せないのが、中庭に隣接する「アクア・バー(AQUA Bar)」だ。「Asia’s 50 Best Bars 2026」に選出されるなど、アジアのバーシーンで高い評価を得ている。

ビバレッジマネージャーのライアン・デラ・ヴェガ氏が手がけるのは、アヒルのクイル(Quill)が魔法の庭園を巡る物語をテーマにしたカクテルメニュー「Potions of the Garden」。クイルの旅の各章を、全8種のシグネチャーカクテルで表現する。

おすすめは、パロサントという香木の煙と抹茶の香りを纏わせ、仕上げにクリスピーなアヒルの皮を添えた「Off the Duck’s Back(オフ・ザ・ダックス・バック)」。大胆な素材の組み合わせと物語性のあるプレゼンテーション、そして池のほとりで夜風を感じながら傾けるカクテルは、バンコクの夜を一層記憶に残るものにしてくれるはずだ。
タイの伝統と最新技術が融合したホリスティック・ウェルネス

数々の賞に輝く「アナンタラ・スパ」もまた、今回の改装で全面的に生まれ変わった。タイの伝統的なヒーリングに着想を得たトリートメントが特徴で、竹の棒を使ったマッサージにストレッチを組み合わせる「ソウル・オブ・サイアム」や、タイ古式と独自のブレンドオイルを取り入れたアロマティックの東西のテクニックをミックスした「アナンタラ・シグネチャー・マッサージ」が、旅の疲れを解きほぐす。

スパの隣には、25mのテラスプールがあり、バンコクの中心部に居ながらにして、リゾート気分を存分に味わえる。さらに今回の改修で、ドリンクや軽食を楽しめる「ザ・ガーデン・テラス」が新たにオープン。地中海料理やタイ料理、軽食、トロピカルドリンクをプールサイドで思い思いに楽しめる。

フィットネス環境もバンコク最高峰の設備だ。「サイアム・スポーツ・クラブ」には、Technogym(テクノジム)の最新機器やピラティススタジオを備え、屋外にはムエタイリングがあり、ファンクショナルトレーニングといったアクティビティも開催。シャワールームにはスチームルームや遠赤外線サウナ、水風呂やアイスファウンテンまでそろう。ホテルを満喫するだけでも忙しいほど、設備が充実している。

タイならではの意匠と心温まるおもてなし、驚きに満ちた食のプレゼンテーション、そして最先端のウェルネス体験が詰まった「アナンタラ・サイアム・バンコク・ホテル」。ひとり旅はもちろん、友人やパートナー、ファミリー旅など、どんなニーズにも応える懐の深いバンコクのデスティネーションとして、次回の旅の拠点にしてみては。
アナンタラ サイアム バンコク ホテル(Anantara Siam Bangkok Hotel)
住所/155 Rajadamri Road, Lumphini, Pathum Wan, Bangkok 10330 Thailand
TEL/+6621268866
URL/www.anantara.com/ja/siam-bangkok
取材協力:マイナー・ホテルズ
Photos & Text: Riho Nakamori
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