活況を呈する日本のアートシーンで、いま注目のアーティストを紹介する連載。今月は、古今東西の装飾を探究し、装飾が持つ力について考察する現代美術作家の京森康平。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2026年11月号掲載)
自らを飾り、編集する〝装飾の力〞が導くヴィジョン

古来より人間は、魔を祓い安寧を願うために身を装い、場を飾ってきた。その様式を超えて、京森康平は装飾が持つ力や人の認識への働きかけについて考察する。
過疎地で酪農を営む家に生まれ、そこから距離を取るようにファッションやデザインの世界へ。古今東西の装飾の美しさや強さを探究するうち、アートの道へ歩みを進めた。その道のりを振り返るなかで「それは自分の過去に新しい価値を与え、別の姿へと変えていく『自己装飾』だったのではないか」という気づきに至り、2025年には「decorative man」と題した個展を開催する。

しかし「過去を物語化することで、かえって自分自身を固定してしまう感覚があった。これも自己を装飾する行為なのではないか。現在は、自己や過去をどのように捉え直し、書き換えていくのかという『自己編集』の問題へと関心が広がっています」
装飾を介して自身と世界の認識を再構築する。人類と装飾の関係に、新たな展望を問う試みに期待したい。「装飾は、まだ価値として成立していないものの価値を感じさせることもできるのではないか。装飾を人の認識に働きかけ、まだ存在しない価値を社会の中に立ち上げる可能性を探っていきたいです」
Select & Text : Keita Fukasawa Edit:Miyu Kadota
