こんにちは! ワインブロガーのヒマワインです。
フランスと並び、ワインといえば、という国のひとつであるイタリア。イタリアワインはときに「沼」とも言われ、ハマる人が多い産地として知られます。沼にハマるところまでいかずとも、イタリア料理を食べる際に、料理に合うワインをパッと選べたら嬉しいですよね。
というわけで今回は、本連載でお馴染みの沼田英之ソムリエにイタリアワインの“新しい基本”を教えてもらいます。さっそくいってみましょう!

もともとは別の国! イタリアワインの魅力は「多様性」
ヒマワイン(以下、ヒマ)「今回のテーマは“イタリアワイン”。イタリアワインのいいところって、どこでしょう?」
沼田店長(以下、店長)「ズバリ『多様性』です。イタリアは、19世紀後半に統一されるまで、独立した国家や教会領など『別の国』でした。だからこそ、州ごとに、まるで別の国に来たような味わいの違いがある。そこが最高に楽しいんです」
ヒマ「ワイン好きのなかでも、イタリアワインしか飲まない人ってけっこう多いですが、そのあたりが理由かもしれませんね!」
店長 「今回は“イタリアでしか飲めないワイン”をお教えしたいと思います。たとえばフランスワインは、世界で同じ品種で似たようなワインが造られていますが、イタリアワインの個性は唯一無二ですから」
ヒマ「しかも州ごとにくっきりとした個性の違いがある、と」
店長 「その通りです! イタリア料理を食べに行く際、カルパッチョならこれ、メインがお肉ならこれ……というふうに選べるようになると思いますので、ぜひご覧ください」
1. イカのフリットと! 世界NO.1スパークリング「プロセッコ」

ヒマ「1本目は、ヴェネツィアのある北イタリアのヴェネト州から。イタリアを代表するスパークリングワイン『プロセッコ』ですね」

店長「世界でいちばん飲まれている、といわれるスパークリングです。年間で6億本ほど売れています」
ヒマ「シャンパンでもカバでもなく、世界で一番飲まれているのはプロセッコなんだ! たしかに、イタリアに旅行すると、夕方くらいからみんなプロセッコのグラスを持ち始めるイメージですね」
店長「これはちょっと上級なプロセッコですが、シャンパンがボトルのなかで二次発酵を行うのに対し、プロセッコはタンクのなかで二次発酵を行う『マルティノッティ方式』を採用しているため、価格を抑えられるんです。探せば1,000円台、2,000円台のものも見つけられますよ」
ヒマ「プロセッコというと、レモンのようなフレッシュさと白桃のような果実味が魅力ですが、料理を合わせるならば?」
店長「ここはやっぱり、イタリアの前菜の定番『イカのフリット』でいきたいですね」
ヒマ「カラマリフリットってやつですね。レモンをキュッと搾って! 最高ですね。リーズナブルで飲みやすくて、乾杯にピッタリ。“プロセッコ”という名前は、覚えておいて損なしです」
店長「ボトルに『BRUT』と書いてあるのはドライなタイプ、『EXTRA DRY』と書いてあるのは少し甘みを残したタイプなのも覚えておくといいですよ!」
2. イタリアのシャブリ!? ピエモンテの「アルネイス」

ヒマ「2本目は、北イタリアのピエモンテ州。海に面していない州ですね」
店長「イタリアには20州ありますが、海に面していないのは5州だけ。しかも、北に集中しているんです」

ヒマ「日本でいう埼玉県や山梨県的な“海なし州”は5州だけなんですね」
店長「ほかは全部海に面しているので、イタリアの白は、基本的に海の幸と合わせるものが多いんです。アルネイスはピエモンテを代表する白ぶどうで、この“テッレ・アルフィエーリ”は最近イタリアの格付け最上位の『DOCG』として認められた産地なんです」
ヒマ「アルネイスは、ときに“紅茶のような”と形容される香りの良い品種ですよね」
店長「少しナッティなニュアンスもあるので、“ホワイトアーモンド”なんて表現もしますね。だからこそ、合わせるのは砕いたアーモンドを散らしたサラダなんかがいい。ホワイトバルサミコを合わせても、おいしいと思います。フランスでいえば、シャブリの代わりになるようなさわやかな白ですね」
ヒマ「アルネイスもイタリア以外……っていうかピエモンテ以外ではほぼ見かけない品種です。まさに、イタリアらしい白ですね!」
3. 究極の食中酒! フリウリの「オレンジワイン」

ヒマ「3本目は、北イタリアの東の端、フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州。ちょっとマニアックな話をすると、オレンジワインで有名な州ですよね」
店長「はい、世界的にオレンジワインが流行るきっかけを作ったのが、フリウリの造り手たちなんです」

ヒマ「えっ、そうなんですか!」
店長「白ぶどうを皮ごと漬け込んで造るワインをオレンジワインと呼びますが、そもそも白ぶどうを使っているので、本来は『白ワイン』なんですよ。フリウリの伝統的な造りで白ワインを仕込むとこの色になる。それがいつしか“オレンジワイン”と呼ばれるようになり、世界中でブームを巻き起こしたんです」
ヒマ「ラディコンとかグラヴネルとかっていう造り手がとくに有名ですよね」
店長「このワインの生産者は、それら先駆者たちの弟子にあたる人物で、いわば第二世代。フリウリのオレンジワイン品種としてはリボッラ・ジャッラ、フリウラーノ、マルヴァジアといった品種が有名ですが、このワインはフリウラーノを使っています」
ヒマ「オレンジワイン最大の謎と個人的に思っているんですが、なぜか『オレンジ』のニュアンスがあるわけなんですよ、オレンジ使ってないのに(笑)。このワインもオレンジっぽさが明確にありますね」
店長「あとは日本の梨のようなニュアンスもあるし、ゆずっぽさもある。茄子の煮浸しを柚子とポン酢で合わせた一品に合わせたら最高でしょうね。日本料理で多く使われるお砂糖はワインに合わせるのが意外と難しいのですが、オレンジワインは砂糖ともよく合います」
ヒマ「へえ、そういうもんですか」
店長「どことなくみりんっぽさがありますからね。肉じゃがなんかもいいでしょうね」
ヒマ「なんならポン酢っぽさまで感じる、とことんまで食事に合いそうなワイン。ホームパーティのお持たせにしたら最高っていうタイプです」
4. 鉄板産地の赤! シチリアの「チェラスオーロ・ディ・ヴィットーリア」

ヒマ「4本目は、南のシチリア島へ。個人的に、シチリアは『世界で一番ハズレの少ない産地』と呼んでいます(笑)」
店長「日照時間が非常に長く、乾燥した気候。そしてワインに適した火山性土壌。それらを背景としたオーガニック栽培といった要素が絡み合い、とにかくブドウが健全。だからこそ造られるワインも安いものから高いものまで、どれも品質が揃うんです」

ヒマ「そんなシチリアのワインで選んだのは?」
店長「ネロ・ダーヴォラとフラッパートのブレンドを選んでみました。どちらもシチリアを代表する赤ワイン品種です」
ヒマ「とくにネロ・ダーヴォラは有名ですよね。濃いワインのイメージです」
店長「そこに、優しいロゼ色のようなフラッパートをブレンドしたのが、“チェラスオーロ・ディ・ヴィットーリア”。シチリアで唯一のDOCGで、シチリアの南東部でしか造られていません」
ヒマ「非常に濃い紫色で、ブルーベリーのような濃密な果実味がありますね!」
店長「スミレのような華やかさがあって、渋みもしっかりしています。合わせるなら、炭火で焼いた肉に、塩だけ振ってかぶり付く。これが最高です」
ヒマ「ソースをかけずとも、このワインがソースがわりになってくれそう。みなさん、肉を喰らうならシチリアの“ネロ・ダーヴォラ”です!」
5. 照り焼きピザと!? ウンブリアの「サグランティーノ」

ヒマ「5本目は、イタリアの真ん中、ウンブリア州のワインですね。品種は“サグランティーノ”。どんなぶどうですか?」

店長「ウンブリアはイタリア中部から南部の州のなかで唯一、海に面していない州なんですが、それもあってか力強いワインが多いです。このサグランティーノはイタリアでいちばん力強い赤と言ってもいいんじゃないでしょうか。熟成してこそ力を発揮する品種です」
ヒマ「これは2018年と、ほどよく熟成していますね」
店長「もともと熟成期間が長くて、発売されるまでにも時間がかかるワイン。いまがちょうどいい頃だと思います」
ヒマ「飲んでみると色が濃くて渋みもしっかり……でも明るくて、太陽を感じるワインですね。サグランティーノ、あまり馴染みのない品種ですがおいしいじゃないですか!」
店長「力強いワインですが、必ずしも濃厚というわけではない。だからこそ、カプレーゼとだって合わせられます。とくに甘みの強いトマトと合わせたら最高です。あとは……ズバリ、照り焼きピザですね」
ヒマ「照り焼きピザ! たしかに、少し焦げたチキンの香ばしさと、サグランティーノの太陽のニュアンスが共鳴しそうです」
6. 干しブドウで造る至高の1杯。ヴェネトの「アマローネ」

ヒマ「6本目は、ふたたびヴェネト州から」
店長「もともとは甘口ワインを作るためにブドウを干していたんですが、発酵を止め忘れて奇跡的に生まれたのがこの辛口の“アマローネ”なんです。ブドウの旨味がぎゅっと凝縮された、すごく贅沢な味わいが魅力ですよ」
ヒマ「干してから搾るなんて、よく考えましたよね(笑)。とんでもない手間がかかることを考えると、約5,500円という価格がむしろ安価に感じられるから不思議です」
店長「通常のぶどうよりも乾燥させた分だけ糖度が凝縮するため、濃厚なワインになるのが特徴。このワインもアルコール度数は15%あります」
ヒマ「涼しい産地なら12〜13%程度ですから、かなり濃いってことですね」
店長「味わいは熟したドライフルーツのようなニュアンスのなかに、コーヒーのような香ばしさや深みも感じます。合わせるなら、煮込み料理ですね。ヴェネトでは馬肉の煮込みなどが名物ですが、スパイスと共に煮込んだ肉料理は最高の相性です」
ヒマ「イタリアは州によって名物料理も多種多彩。そこに現地のワインを合わせるの、とても楽しそうです!」
7. お好み焼きとマリアージュ!? エミリア・ロマーニャの「ランブルスコ」

ヒマ「最後は、北部エミリア・ロマーニャ州の赤いスパークリング、ランブルスコですね」
店長「エミリア・ロマーニャは、バルサミコ酢の産地。パルミジャーノ・レッジャーノの産地でもあります。この州といえば、なんといってもランブルスコなんです」

ヒマ「『赤の泡』自体がまずもって世界的にレア。ランブルスコはイタリアンレストランの『サイゼリヤ』に行くとついボトルで頼んでしまいがちなことで、ワイン好きの間では有名です(笑)」
店長「一般の方には赤のスパークリングってあまり馴染みがないかもしれませんが、おいしいんですよね」
ヒマ「少し甘さがあって、フルーティーで、すごく“ぶどう”を感じるんですよね、変な言い方ですけど。スパークリングぶどうジュースっていう雰囲気がある」
店長「もちろんバルサミコ酢や生ハムには合うのですが、私が強く推したいのがお好み焼きや、たこ焼き、焼きそばとのペアリング。要は『お好み焼きソース』との組み合わせです。ソースを指につけてなめて、ランブルスコを飲んだら、僕の言っていることがわかると思います。試しにやってみますか」
ヒマ「えっ……なにこれ。ソースの甘じょっぱくてスパイシーなニュアンスがランブルスコの泡に包まれたのち、シームレスにワインの果実味へと変換されていく……これはすごい!」
店長「そうなんですよ。私は休日にランチでお好み焼きを食べる際は、必ずランブルスコの栓を抜きます」
ヒマ「ハムカツにソースをたっぷりかけたり、ちょっと酸味を足す意味で紅生姜天もよさそう。このボトルを持って『串カツ田中』に行きたい(笑)」
州ごとの個性を、手頃な1本で味わおう
ヒマ「いやー、楽しかった。まるでイタリアを旅しているような気分で飲むことができました」
店長「これぞ、冒頭に申し上げた多様性です。土着品種の数がものすごく多く、それぞれに味わいに個性がある。他の国では真似できないものも多くあります」
ヒマ「今回はイタリアワインの定番である『バローロ』『キャンティ』『フランチャコルタ』なんかは登場しませんでしたが、それでもなおこれだけ主役級のワインがあるのがすごい」
店長「そして、個性はあれど、どれもなぜか『イタリアワインっぽさ』は共通してある。さらには価格も手ごろなものが多いのもイタリアワインの魅力です」
ヒマ「イタリアワインしか飲まない人が多いと冒頭に申し上げましたが、イタリアワイン沼にハマったら、イタリアワイン以外に飲むヒマがなくなるっていうことがよくわかりました」
店長「私はイタリアに留学していたのですが、夕方になるとホストファミリーの家族が食卓に集まり、ワインを抜栓し、夕食を楽しむ姿に深く感銘を受けたんです。ワインは料理と合わせてこそのもの。その基本を思い出させてくれるのも、またイタリアワインの大きな魅力なんです」
ヒマ「読者のみなさんも、この記事を参考に、ぜひ料理とイタリアワインの組み合わせを楽しんでください!」
ワインマーケット パーティ
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営業時間/11:00〜20:00
TEL/03-5424-2580
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