絨毯の上で南蛮船と飛行機が交差する、コア・ポア個展@KOTARO NUKAGA(六本木) | Numero TOKYO
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絨毯の上で南蛮船と飛行機が交差する、コア・ポア個展@KOTARO NUKAGA(六本木)

コア・ポア「Points of Entry」展示風景
コア・ポア「Points of Entry」展示風景

KOTARO NUKAGA(六本木)で、アメリカ・ロサンゼルスを拠点とするアーティスト、コア・ポアによる個展「Points of Entry」が開催される。会期は9月26日から11月8日まで。本展では、オリエント絨毯の構造を絵具で描き起こし、様々な地域の伝統的な文様やモチーフを同じ画面に重ねていく『Poly Painting』シリーズの新作を発表する。

コア・ポア
コア・ポア

1987年イギリス・エクセターに生まれたポアは、2009年にペルシア・サファヴィー朝のアルダビール絨毯と出会って以来、絨毯という様式を用いた制作を続けてきた。早くから国際的な注目を集め、アメリカの「Forbes」誌が各分野の30歳未満の30人を選ぶ「30 Under 30」のアート&スタイル部門に、15年と17年に選出。東京都庭園美術館やカナダのAga Khan Museumなど、各国の美術館で作品を発表しており、KOTARO NUKAGAでは24年の二人展「Myth In Motion」以来の紹介となる。

イギリスとイランにルーツをもつポアは、しばしば「どこの出身か」と問われてきた自身の個人的な体験を原動力に、ペルシャ絨毯や日本の浮世絵といった、地理や時代を横断する視覚言語に取り組んできた。

コア・ポア『Golden Compass』2026
コア・ポア『Golden Compass』2026

今回発表する『Poly Painting』シリーズでは、絨毯を「一つの文化に属するもの」としてではなく、複数の文化が交差する場として捉える。絵具を削って下の層を露出させ、失われた部分には推測をもとに新たな図像を描き加えるという手法も特徴の一つ。これまで絨毯が断片的な資料から復元され、歴史として語られてきたように、ポアの作品も「残っているもの」と「想像によって補われたもの」を一つの画面に共存させている。

本展では、船、鉄道、車、飛行機という4つの交通手段を軸にした作品群を発表する。南蛮船や蒸気機関車、人力車、初期の自動車、旅客機など、異なる時代のイメージを一つの画面に描き、人や物、文化が国境を越えて移動してきた歴史を映し出す。

そこに描かれるのは、日本人が描いた西洋の人々と、西洋の画家が描いた日本のイメージ。互いの文化がどのように見つめられ、描かれ、受け取られてきたのかを示すとともに、ポアは日本の鎖国と開国の歴史を、現代における移民や国境をめぐる問題へと接続する。

コア・ポア『Round-Trip』2026
コア・ポア『Round-Trip』2026

ポアにとって絨毯は、「家」であると同時に、持ち運ぶことのできる「移動」の象徴でもある。文様が交易や移住を通じて各地を行き来し、変化してきた歴史に着目し、作品を囲む縁取りにも、船には青海波、鉄道には麻の葉と星文、車には七宝つなぎ、飛行機には雲文と、それぞれのモチーフに対応する文様を描いている。

また今回の制作では、欠損していたり画質が低かったりする歴史資料のイメージを補完するため、初めてAIを用いた。最終的な画面は作家自身の手で描かれているが、事実の断片と想像による補完を組み合わせる制作プロセスは、残された資料から過去の出来事を読み解く行為とも重なる。

ポアが捉える「移動」の軌跡を、絵画を通してたどることができる展覧会をお見逃しなく。

コア・ポア「Points of Entry」展示風景
コア・ポア「Points of Entry」展示風景

コア・ポア「Points of Entry」
会期/2026年9月26日(土)〜11月8日(日)
会場/KOTARO NUKAGA(六本木)
住所/東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル2F
時間/11:30〜18:00
休廊/日・月曜(11月8日は開廊)、祝
URL/https://kotaronukaga.com/exhibition/points-of-entry/

Text:Hinako Yano

 

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