新生オールセインツを手掛ける気鋭アーロン・エッシュ。今のロンドンの感性を次世代へPROMOTION
ロンドン発の「オールセインツ(AllSaints)」が、新章を迎えた。クリエイティブ・ディレクターに就任したのは、気鋭のデザイナー、アーロン・エッシュ(Aaron Esh)。
13歳の頃にはオールセインツのTシャツを着ていたという彼にとって、ブランドは身近な存在だった。就任後初となる2026-27年秋冬コレクションでは、ブランドのDNAを現代的な視点から再解釈。オールセインツとエッシュは、ともに多様なカルチャーが息づくイーストロンドンをルーツに持つ。新生オールセインツにどのようなヴィジョンを描いているのか、エッシュに話を聞いた。

学生時代に”人気者にしてくれた”ブランドを自ら手がけることに
──オールセインツのクリエイティブ・ディレクターに就任された率直なお気持ちをお聞かせください。オファーを受けたことを、どのように感じましたか?
「自分がオールセインツのような、ロンドンカルチャーに深く根付いたブランドで働くことになるなんて、今でも驚いています。オールセインツのCEOであるピーター・ウッドに初めて会ったのは、数年前のブリティッシュ・ファッション・アワード(The Fashion Awards)※でした。最初はメンターシップとして始まった関係が、より実質的なものへと発展していきました。彼の信頼とサポートには、心から感謝しています。これは僕にとって初めての大きな仕事でもあるので、プレッシャーもありましたが、すでに多くのことを学んでいます」
※ブリティッシュ・ファッション・カウンシル(BFC)が主催する、世界のファッション界における功績を称える式典
──オールセインツとの最初の出合いや記憶はどのようなものでしたか?
「僕自身が13歳くらいの頃に、オールセインツのTシャツを着ていた写真があります。当時は、オールセインツを着ていることがとてもクールだったんです。学校にもオールセインツのブーツを履いて行っていましたし、そのブーツが僕を人気者にしてくれたと思っています(笑)。当時のオールセインツにはエネルギーと気取らないアティチュードがありました。スタイルアイコンであるケイト・モスやピート・ドハーティといった存在も含め、その時代のカルチャーを語るうえで欠かせないものでした。そのエネルギーは、今も存在していると思っています。クリエイティブ・ディレクターとして、その感覚をしっかりと持ち続けたいですね」
“フィット”を見直して、新しい表情を提案

──オールセインツも、ご自身のブランドである「アーロン エッシュ」も、イーストロンドンがルーツにあります。同じ街から生まれたブランドとして、どのような共通点や親和性を感じていますか?
「僕にとって、イーストロンドンはずっと原点です。ここに肩を並べられる場所は、ほかにはありません。街のエネルギーは両ブランドにもはっきりと表れていて、服そのものが洗練されているかどうかが本質なのではなく、“誰がその服を着て、どのように着こなすか”が大切だと思っています。僕の就任は、“ファッションが値段よりも感性やアティチュードを重視する方向へと変わりつつあるタイミング”の一部だと捉えています。お客さまに直接語りかけ、実際にその服を着てもらうための大きな機会があることを、うれしく思っています」
──2026-27年秋冬では、ブランドのアイデンティティやアーカイブを現代的に再解釈されています。特に魅力を感じた要素や受け継ぎたいと思った点は何でしたか?
「アーカイブに目を通しましたが、コレクションの大半が新たなデザインを加えたものです。すべてのアイテムのフィットを見直し、パターンを直しました。実際に服を着たときに、その違いを感じられると思います。オールセインツには、ウォッシュドレザー、スキニージーンズ、スタッズ付きのベルトといった、長く愛されるスタイルがあります。アイコニックなアイテムをそのまま再現するのは、ノスタルジックになりすぎると感じました。その代わりに、そうしたアイテムが今ならどのような表情になるのかを考え、同じエネルギーを持ちながらも、違う形で表現しています」
──Tシャツ、デニム、レザージャケットといったベーシックアイテムを再構築されました。「オールセインツらしさ」を生み出すために、どのようなことを意識しましたか?
「まず、すべてのアイテムを実際にモデルに着てもらいフィットを確認しました。データ上のスケッチをそのまま工場に送るようなことはしていません。仕事の進め方を大きく変えてくれたデザインチームを、本当に誇りに思っています。僕自身も床に膝をついて、自分の手で生地にピンを打つこともありました。フィットはアイテムによってさまざまですが、例えばジーンズに関しては、僕が完璧だと思えるフィットに仕上がりました。今後コレクションを重ねても変えるべきではないと思えるほど、自信があります。オールセインツに戻ってくれば、同じジーンズを新しいウォッシュで買え、履きつぶしてしまったら、まったく同じものをもう一度買えるような定番アイテムにしたいと思っています」
多くの学びと気付きをもたらすケイティ・イングランドとの協業

──これまでもスタイリストのケイティ・イングランド※との協業を続けていますが、オールセインツでのファーストコレクションを彼女とともに作るなかで、新たな発見はありましたか?
「ケイティと仕事をすることは、博士課程で学んでいるような感覚です。彼女が持つ経験を考えると、オールセインツに参加してもらうことはとても重要でした。彼女は、僕にこの仕事を引き受けるべきだと背中を押してくれた一人でもあります。仕事の進め方について考える手助けもしてくれました。例えば、モデルのフィッティングで使う照明のような、ごく普通のことについてもです。その多くが、僕にとっては大きな気付きになっています。僕たちの関係は服だけにとどまらないもので、彼女には本当に感謝しています」
※アレキサンダー・マックイーンの右腕として、初期からクリエイションに深く携わったことで知られるイギリス人スタイリスト。リカルド・ティッシ時代のジバンシィでもショーやキャンペーンを手がけ、『デイズド・アンド・コンフューズド』『アナザー・マガジン』のファッション・ディレクターを歴任。夫はプライマル・スクリームのフロントマンであるボビー・ギレスピー、息子はキャンペービジュアルにも登場するモデルのラックス・ギレスピー
──アーロンさんが感じる「オールセインツらしさ」とは?
「大切なのは、服に自分の振る舞いや個性を決めさせないことです。そこにはさりげなさがあり、それぞれのアイテムの素材や構造には、ハイとローの両方からのインスピレーションが混ざり合っています。オールセインツの人物像は、フォーマルでも、カジュアルでもなく、その中間のどこかに存在しているんです」
その人らしい“キャラクター”が作る新しいオールセインツ

──今回のキャンペーンには、年齢や職業、バックグラウンドの異なるさまざまな人々が登場します。アーロンさんが大切にする“その人自身のキャラクター”とは、どのようなものなのでしょうか?
「キャラクターという言葉には、本当に多くの意味があります。スタイルであったり、会話であったり、エネルギーであったり、見た目であったり。定義するのは難しいものです。このキャンペーンは、まさにそのことを物語っていると思います。一人の人物、一つの提案、あるいは特定の着こなし方を示すものではありません。キャストを見て僕がワクワクしたのは、とても民主的に感じられたからです。ロンドンのどのパブに入ってきても、自然に思えるような感覚がありました。個性とはこうあるべきだと、僕は決めつけたくないのです」

──ご自身のブランドでもミューズに据えてきたモデルのキキ・ウィレムスとラックス・ギレスピーを今回のオールセインツのビジュアルに起用しています。二人にどのような魅力を感じていますか?
「アーロン エッシュの世界観と、オールセインツを結びつけたいと思っていました。最初に業界の仲間たちにコレクションを見せ始めたとき、何度か『アーロン エッシュのように見える』と言われました。正直驚きましたし、意図していたことではなかったんです。キキやラックスとの仕事も、同じように直感的なものでした。キキはもちろんスーパーモデルですが、大切な友人でもあります。思いやりがあり、とても率直なユーモアのセンスを持っている。ラックスも同じで、ロンドンのファッションシーンにおいても重要な存在。必ずしも特定のルックが重要なわけではありません。彼らが持つエネルギーは、その佇まいや写真に写る姿を通して伝わるのだと思います」
ブランドの歴史は、今のカルチャーとつながってこそ面白くなる

──今回はコレクションだけでなく、ロゴやヴィジュアル、エディトリアル、音楽など、オールセインツを取り巻く世界そのものを刷新しています。現在、ファッションブランドがカルチャーと関わることには、どのような意味があると考えていますか?
「今回の就任の中でもとても楽しみにしていたことの一つでした。協業を続けるジェイミー・リード(※1)とともに、ブランドが受け継いできたシンボルを紐解き、オールセインツを象徴するラムスカル(※2)のマークとして改めて確立するために取り組んでいます。ブランドの歴史と向き合う場合、現代のカルチャーでとつながることで面白くなる。服を越えたところに、ブランドとしてインパクトを生み出すために作り上げるべき世界があると考えます」
※1 ロンドンを拠点とするクリエイティブ・ディレクター。『デイズド』のアートディレクター、『i-D』のクリエイティブ・ディレクターを歴任し、「ジバンシィ」「サンローラン」をはじめとするブランドや数々の雑誌でヴィジュアルを手がける。アーロン・エッシュの長年のコラボレーター
※2 牡羊の頭蓋骨をモチーフにした、オールセインツを30年以上にわたり象徴してきたシンボル
──これからオールセインツをどのようなブランドへと育てていきたいと考えていますか?
「僕は、オールセインツがカルチャーでも商業的な面でも、世界を代表するブランドの一つになっていくと本気で考えています。それは決して非現実的な夢ではありません。僕たちのヴィジョンに人々がどのように反応するのか、このブランドがイギリスでも海外でも、改めて支持されていく姿を見ることを、とても楽しみにしています。一番楽しみにしているのは、自分が手がけた服を着た人たちが街を歩いている姿を見ること。結局、すべてはそこに尽きます」
──最後に、日本にいるオールセインツのファン、また今回初めてブランドを知る方へ、メッセージをお願いします。
「日本は本当に刺激的な国で、さまざまな影響や歴史が混ざり合って、ロンドンととてもよく似ていると思います。このコレクションをたくさんの人々に触れてもらえる場所が、日本各地にあることをとても光栄に思っています。身に付ける方々が自信と高揚感を持ってファッションと向き合うきっかけになることを願っています」
Text & Edit:Mami Osugi


