無数の物語が行き交う東京の風景。この街は、誰かにとって刺激であり、憧れであり、居場所でもある。今回、個性あふれる日本人モデルたちとともに、モードなフィルターを通してその魅力を切り取った。彼女たちにとって東京とはどんな存在なのか。それぞれが描く姿を通して、見慣れた日常を見つめ直す。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2026年10月号掲載)

ジャケット¥2,156,000シャツ¥757,900 ドレス¥1,787,500 イヤリング¥184,800 シューズ¥271,700 (すべて予定価格)/Chanel(シャネル カスタマー ケア センター)
「昼は毛虫、夜は蝶になりなさい」──そんなガブリエル・シャネルの言葉から着想を得たシャネルは、昼も夜も眠らない東京のように、機能と幻想、日常と非日常を軽やかに行き来する。赤いチューリップ柄を全面にあしらったセットアップにオーバーシャツを合わせ、メゾンを象徴するスーツに実用性と自由なムードを吹き込んだ。

ドレス¥698,500 (参考価格) サングラス¥73,700/ともにLouis Vuitton (ルイ・ヴィトン クライアントサービス)
自然が持つ豊かなテクスチャーをモードへと昇華したルイ・ヴィトン。アースカラーのニットドレスは、ゆるやかに身体をなぞるシルエットとふっくらとした編み地が穏やかな温もりを宿し、都会に暮らす私たちの感性をやさしく解きほぐしてくれる。肩や袖口にあしらわれた立体的なディテールは、自然の有機的な美しさを現代的に表現した。
What is Tokyo?
“あらゆる挑戦の可能性を秘めた、世界への入り口”
Kiko Arai from Osaka

アウター¥844,800ドレス¥727,100 ブーツ¥378,400 (参考価格)/すべてAlaïa(リシュモン ジャパン アライア)
新たな一歩を踏み出す、その瞬間を包み込むようなアライアのルック。クリエイティブ・ディレクターのピーター・ミュリエが最後に手掛けたコレクションは、メゾンへの敬意と自身の5年間の軌跡を、純粋なフォルムへと結実させた。ミニマルな造形と、風を受けて翼のように広がるシルエットが、世界へ羽ばたく自由な意志を後押しするよう。

ドレス¥620,400 シューズ¥223,300(ともに予定価格)/Loewe(ロエベ ジャパン クライアントサービス )タイツ/スタイリスト私物
池尻大橋にオープンしたソウル発のミュージックバー「Kompakt Record Bar TOKYO(コンパクト レコード バー)」は、新たなコミュニティを育む東京のカルチャーハブ。必要なのは、一杯のカクテルと、一枚のレコード、そして遊び心あふれる一着。ロエベのルックは、アシンメトリーなフォルムと大胆なチェック柄で、装う楽しさを思い出させてくれる。

ドレス¥470,800 ベルト¥179,300 グローブ¥291,500(参考価格)ブーツ¥506,000/すべてGivenchyby Sarah Burton(ジバンシィ ジャパン)
48年にわたり愛されてきた「ハンズ 渋谷店」が、まもなくその歴史に幕を下ろす。街角に掲げられたグリーンの看板に呼応するように、真っ赤なジバンシィのルックが移りゆく東京の風景に鮮やかな記憶を刻んだ。身体の輪郭に沿って再構成されたテーラリングと流れるようなシルエットが、凛とした佇まいを引き立てる。
What is Tokyo?
“離れたくとも離れられない、好奇心と刺激に満ちた故郷”
Hikari Mori from Tokyo

ジャケット¥679,800 パンツ¥291,500/ともにSaint Laurent by Anthony Vaccarello(サンローラン クライアントサービス)
好奇心に満ちて、影響の受けやすい東京だからこそ味わえる、独特なリズムが街並みにも現れていると感じるという森星。再開発によって少しずつ姿を消す歩道橋から、そんな東京の姿を見つめる。端正なサンローランのタキシードは、どんなに変化する時代の中でも色褪せることのないエレガンスを体現。構築的なテーラリングとしなやかにくびれたウエストが、ジェンダーの枠を超えた気品あるスタイルを映し出す。


ジャケット¥970,000 シャツ¥220,000 スカート¥10,000,000 (すべて参考価格) シューズ¥180,000/すべてDior (クリスチャン ディオール)
この街は、”かわいい”をいつだって肯定してくれる。ディオールを象徴する「バー」ジャケットはニットで仕立てられ、ふわりと広がる袖口が心ときめくアクセントに。花びらのように広がるフリルに、ポルカドットやスカラップ刺繍をちりばめたスカートは、メゾンが愛してきたフェミニニティをモダンに咲かせる。

〈新井貴子〉ドレス 参考商品 トップ¥75,900パンツ 参考商品 ソックス¥8,910 シューズ¥111,100 〈一宮桜子〉ドレス サロペット ともに参考商品 トップ¥83,600 ハーネス¥94,600 ブーツ¥212,300/すべてNoir Kei Ninomiya(コム デ ギャルソン)
「DARK BLOOMING」をテーマにした、ノワール ケイ ニノミヤ。ブラックのフレームから咲き誇る無数の花々が、ダークネスの中に宿る生命力と希望を幻想的に描き出す。鳥かごのような骨組みのドレスを彩る赤いフローラルモチーフと漆黒のユリが、ブランドならではの儚く力強い世界観を完成させた。

アウター¥971,300 レギンス¥136,400 (参考価格) シューズ¥203,500/すべてBalenciaga(バレンシアガ クライアントサービス) サングラス/スタイリスト私物
平均年齢73歳、最年長80歳のスタッフが働くお茶屋「G-CHA & Ba-CHA(ジーチャバーチャ)」が渋谷の中心地にオープン。そんなポジティブなムードに寄り添うように、ヴィヴィッドピンクが映えるアウターを纏う。バレンシアガらしい肩を落としたオーバーサイズシルエットとシャープなレギンス使いが、自由なマインドを体現する。


ミニドレス¥726,000 シューズ¥143,000 ピアス¥69,300 (すべて予定価格)/Celine(セリーヌ ジャパン) タイツ/スタイリスト私物
丸みを帯びたショルダーから、絞られたウエスト、裾へと広がる美しいシルエット。セリーヌが描くミニマルなブラックドレスは、都会を生きる女性のしなやかな強さを映し出す。止まることを知らない渋谷センター街を、颯爽と駆け抜けて。
What is Tokyo?
“生まれ育った、心から落ち着けるホーム”
Serena Motola from Tokyo

トップ¥46,200 パンツ¥185,900/ともにComme des Garçons(コム デ ギャルソン)
「海外から帰ってくるたびに安心する街」と語るモトーラ世理奈にとって、東京の日常は何よりも愛おしい風景。世界でも珍しいほど街中に点在する自動販売機や、クレープを頬張る何気ない時間もそのひとつ。エアリーな素材に大胆なカッティングを施したコム デ ギャルソンのトップは風を受けるたびにひらりと揺れ動き、肩の力を抜いて過ごすひとときにそっと寄り添う。

トップ¥176,000 下に重ねたトップ¥158,400 スカート¥715,000パンツ¥220,000 ソックス¥187,000シューズ¥258,500 (すべて予定価格)/Prada(プラダ クライアントサービス)
日替わりで提供される、限定メニューが売りの「覆麺 智」。オープン当時は覆面姿でラーメンを提供していたが、今はマスクを脱ぎ、特別な日だけその姿を見せる。そんな店内でIOが纏うのは、レイヤリングすることで女性の多面性を描いたプラダのルック。異なるカラーや素材を重ねた奥行きのある装いが、ミニマルでありながら内に秘めた複雑な魅力引き出す。
What is Tokyo?
“友達が自然と集まる、一番落ち着く地元”
Lala Takahashi from Tokyo, Shibuya

トップ¥108,900 腰に巻いたシャツ¥90,200ショートパンツ¥71,500/すべてKenzo(ケンゾーパリ ジャパン) シューズ/スタイリスト私物
夜通しプレイができる「シブヤボウリング」へ。全面を彩る花柄の刺繍がグラフィカルな存在感をもたらし、色鮮やかなカラーリングが高揚感を後押ししてくれる。チェックシャツはラフに腰へ巻いて、スタイリングに軽やかな躍動感を添えて。

ボウタイ付きのブラウス¥137,500 パンツ¥132,000 シューズ¥176,000/すべてSacai(サカイ)
異なる要素を自在に掛け合わせ、唯一無二のスタイルを生み出すサカイ。ボウリングやビリヤード、卓球、ダーツなどさまざまな遊びが交差する渋谷のアミューズメントスポットで、その自由なクリエイションがひときわ映える。ジャケットのディテールをあしらったボウタイがドッキングされたブラウスは、今季を象徴する構築的な一着。首元で大きく結んだり、ユニークなハイブリッドスタイルで纏ったりと、着こなし次第でさまざまな表情を楽しめる。

アウター¥385,000タイツ¥14,300 (参考価格)シューズ¥99,000/すべてUndercover(アンダーカバー)
渋谷のランドマーク「109」を背に、高橋ららがアンダーカバーを纏う。コンフィなムードをまとったコクーンシルエットのアウターは、柔らかな曲線を描きながらも芯のある美しさを感じさせる。足元には潔く真っ赤なタイツを合わせて、モードなスパイスを効かせて。

ジャケット¥484,000 トップ¥231,000 スカート¥231,000 ピアス¥176,000/すべてGucci(グッチ クライアントサービス)
個性豊かなアイテムが所狭しと並ぶヴィンテージショップ「LeeLoo(リールー)」で、ひときわ存在感を放つホワイトルック。デムナが手掛ける初のランウェイショーとして注目を集めたグッチは、身体の造形美を際立たせるミニマルなシルエットで、新たな女性像を提示した。タイトなジャケットとスカートのシャープな装いに、フェミニンなリボンが優雅な余韻をもたらす。
What is Tokyo?
“進化し続ける街であり、自分自身もアップデートできる場所”
Sakurako Ichimiya from Osaka, Higashi Osaka

ドレス¥1,789,700シューズ¥271,700(ともに予定価格、9月上旬発売予定) チョーカー¥127,600ソックス¥36,300/すべてFendi(フェンディ ジャパン)
進化を続ける東京という街とともに、自身もアップデートを重ねる一宮桜子。そんな彼女が纏ったのは、マリア・グラツィア・キウリにとって原点への帰還となった、フェンディでのデビューコレクション。クラシックなシャツカラーをチョーカーへと昇華し、繊細なフリンジや煌めくスパンコールを添えることで、メゾンの伝統に新たなリズムを吹き込んだ。

ドレス 参考商品 ボディピース¥990,000/ともにIssey Miyake(イッセイ ミヤケ)シューズ/モデル私物
日本全国の名品が揃う、食とカルチャーのセレクトショップ「寄」には、お洒落な大人たちが集うとウワサ。日本の美意識が交差するこの場所で森星が纏ったのは、着物を再解釈したような真っ白なドレス。越前和紙と京都の漆、そして3Dプリント技術が融合したボディピースは、伝統を未来へと更新する、新しいクラフツマンシップの象徴だ。

ドレス ハットブレスレット すべて参考商品 シューズ¥187,000/すべてBottega Veneta(ボッテガ・ヴェネタ ジャパン)
昭和の記憶を宿すのんべい横丁を舞台に、構築性と柔らかさを両立させたボッテガ・ヴェネタのルックが時代を超えた存在感を際立たせる。メゾンの卓越したクラフツマンシップによって生まれた、ファーの質感を精巧に表現したドレスとハットは、まるで守られているような安心感。豊かなテクスチャーを相棒に、モダンな気配を香らせて。

ドレス¥418,000 シューズ¥203,500/ともにFerragamo(フェラガモ・ジャパン)
海を越え、多様な文化が行き交う物語を紡いだフェラガモ。カリブ海を着想源に、船員服を現代的に再解釈した。ボディに大胆なカッティングを施し、あえてボタンを留めずに内側のディテールを覗かせたブラックドレスは、クラシカルなテーラリングにさりげないひねりをプラスする。

サロペットスカート¥627,000 パンツ¥456,500 ハット¥165,000(すべて予定価格)/Miu Miu(ミュウミュウ クライアントサービス)
ノスタルジックな魅力あふれるネオカラオケバー「心酔」。昭和の空気感と現代の感性が溶け合う空間へ、小粋でプレイフルな装いで。身体そのものの美しさに立ち返り、服を纏う意味を静かに問いかけたミュウミュウが提案するサロペットスカートは、潔い肌見せと端正なテーラリングが印象的。今夜は、とびきりチャーミングな夜遊びを。
What is Tokyo?
“自分を変化させてくれる街”
IO from Saitama, Tokorozawa

ドレス¥583,000シューズ¥110,000/ともにJil Sander(ジルサンダージャパン)タイツ/スタイリスト私物
新しい自分を受け入れてくれる東京の包容力と呼応するように、空気をはらむジル サンダーのドレスが、変化することの美しさをやさしく包み込む。直線ではなく曲線がもたらす豊かさを追求した今季は、静謐なピュアネスに、しなやかな抑揚を添えた。風をも味方につけて、東京タワーの光がきらめく夜の街へ。

ドレス¥404,800 シューズ¥88,000 剣モチーフのアクセサリー¥242,000/すべてAnrealage(アンリアレイジ)
毎シーズン、革新的なクリエイションで驚きをもたらすアンリアレイジ。今季は、日本が世界に誇るSFアニメ『攻殻機動隊』の世界観をモードへと昇華。滲むような花柄には、目には映らない曖昧な存在が映し出される。物語を想起させる剣モチーフのアクセサリーを振りかざせば、東京の街が自分だけの舞台に。

ビスチェ スカート グローブ すべて参考商品/Tomo Koizumi(トモ コイズミ)シューズ/スタイリスト私物
トモ コイズミが描き出す、花が咲き誇るようなドラマティックな世界。幾重にもなるライムイエローのフリルとカーキグリーンのドラマティックなカラーリングのラッフルが動くたびに揺れ、装いに生命力を吹き込む。煌めくスパンコールのグローブがラグジュアリーな華やぎを添える。

すべて受注生産/Ryunosukeokazaki(リュウノスケオカザキ)
東京から世界へ、その名を広げるリュウノスケ オカザキ。そんな彼が手がけた彫刻的なドレスは、もはやファッションの概念を超え、アートピースのような存在感を放つ。放射状に伸びる立体パーツが身体を取り囲み、花柄のロマンティシズムに実験的なエネルギーを宿す。

〈一宮桜子〉コートドレス¥209,000 シューズ¥42,900〈モトーラ世理奈〉ジャケット¥209,000シューズ¥59,400/すべてChika Kisada(チカ キサダ)
甘さを異なるニュアンスで描く、二つのルック。ペールピンクのドレスは、花びらを重ねたような柔らかい素材と肩からアームにかけて施されたチュールが愛らしい表情を演出。ブラックのコートドレスは、フレアシルエットとチュール使いでクールな佇まいに軽やかさを添えた。チカ キサダが描く、繊細で力強いフェミニニティ。

〈モトーラ世理奈〉ドレス¥660,000/Pillings(リトルリーグ インク)〈一宮桜子〉ジャケット¥88,000 レギンス¥30 , 800シューズ¥74,800/すべてViviano(ヴィヴィアーノ)〈新井貴子〉ローブ¥308,000 トップ¥33,000 ジーンズ¥70,400 ヘッドピース 参考商品/すべてTanakadaisuke(タナカダイスケ)
無数の人々が行き交う新宿の交差点。その中心で交わるのは、東京の未来を切り拓くクリエイション。ニッターの手仕事が息づくピリングスのニットドレス。花柄のキルティングジャケットにレースタイツを合わせ、可憐さとカオスが共存するヴィヴィアーノのホワイトルック。チュールのマントに王冠のようなヘッドピースを合わせたタナカダイスケらしい幻想的な装い。それぞれの美学が響き合い、東京は今日も新たなモードを世界へ発信する。
Photos:Keiichi Nitta Fashion Director:Ako Takana, Yoshiko Kishimoto Hair:Jun Goto(Kiko Arai, Serena Motola, Sakurako Ichimiya), Tetsuya Yamakata(Hikari Mori, Lala Takahashi, IO) Makeup:Sada Ito Edit:Shomi Abe Edit & Text:Makoto Matsuoka
