いま最も目が離せない、新世代のアーティストHana Hopeへインタビュー。ガブリエル・シャネルの美学と共鳴する、儚い歌声に宿る芯の強さ | Numero TOKYO
Beauty / Feature

いま最も目が離せない、新世代のアーティストHana Hopeへインタビュー。ガブリエル・シャネルの美学と共鳴する、儚い歌声に宿る芯の強さ

「自分自身を解き放ち、まだ知らない自分と出会うこと」──。シャネルの新フレグランス「ココ マドモアゼル クラッシュ アプソリュ」が描くのは、自らの可能性を信じて前へ進む女性像。そこには、既成概念にとらわれず、自らの美学を貫いたガブリエル・シャネルの自由で大胆な精神が息づく。日本とアメリカという二つのルーツを持ち、国境を越えて表現を続けるシンガーソングライター、Hana Hopeもまた、自分らしさを力に変えながら歩み続けるひとりだ。その透明感あふれる歌声と、20歳の彼女らしい真っ直ぐな想いを乗せた歌詞は、聴く人の心を優しく包み込み、ときにそっと背中を押してくれる。昨年からアメリカでの生活を始め新たな挑戦を重ねる彼女に、香りが映し出す女性像や“自分らしさ”への想い、そしてガブリエル・シャネルについて聞いた。

──ガブリエル・シャネルは「フレグランスは見えないアクセサリー」と提唱しました。普段、Hana Hopeさんはどのようにフレグランスと向き合っていますか? 

「フレグランスは、自分自身を映し出すポートフォリオのように、キャラクターや個性を表現できるとても特別な存在だと思っています。だからこそ、私はその日になりたい人物像や、持ちたい力に合わせて香りを選ぶことが多いです。実は、そうした魅力に気づくきっかけをくれたのが、『シャネル N°5』でした。 私にとって初めてのフレグランスであり、思い入れのある香りです」

──「ココ マドモアゼル クラッシュ アプソリュ」は、ガブリエル・シャネル自身を体現しているフレグランスですが、この香りを通して、彼女のどんな一面が浮かび上がってくるように感じますか。

「華やかさがありながら、どこかセンシュアルな一面もあって、その奥行きのある香りがとても印象的でした。誰が纏っても、その人自身の魅力や存在感を引き出してくれるような力があると感じます。そこから、その場に現れるだけで自然と人々の視線を惹きつけるガブリエル・シャネルの姿が浮かび上がりました。周囲に明るさをもたらしながら、同時にしっかりとした軸や芯の強さも感じられる。彼女の仕事への向き合い方や情熱まで伝わってくる気がします」

──そんなガブリエル・シャネルの言葉で印象に残っているものがあれば教えてください。

「“The most courageous act is still to think for yourself. Aloud.”(最も勇気のいる行動とは、自分の頭で考え続けること。そしてそれを声に出すこと)です。ガブリエル・シャネルの言葉として伝えられていますが、たとえ世間の意見と異なっていたり、多くの人に支持される考えではなかったとしても、自分自身の考えを持ち、それをきちんと言葉にして表現することの大切さを感じます。それはアーティストであり、クリエイティブな存在であり続けた彼女が、常に大切にしていた価値観なのではないかと思っています。今の時代だからこそ、そうした姿勢には大きなパワーがあると感じますし、私もアーティストとして常に意識していたいことです」

“シャネルはスタイル。ファッションは移り変わるが、スタイルは永遠”という考え方でも知られるガブリエル・シャネル。流行を追うことよりも、自分らしさや生き方を貫く姿勢こそが大切だと示した。Photo: Roger Schall © Collection Schall
“シャネルはスタイル。ファッションは移り変わるが、スタイルは永遠”という考え方でも知られるガブリエル・シャネル。流行を追うことよりも、自分らしさや生き方を貫く姿勢こそが大切だと示した。Photo: Roger Schall © Collection Schall

──過去や出自に縛られず、自らの手で人生を切り拓いたガブリエル・シャネルの生き方について、憧れる部分や共感する部分はありますか?

「私が何よりも素晴らしいと思ったのが、その揺るぎない軸の強さです。『たとえ今の自分に納得がいかなくても、自分自身が憧れる存在になればいい』という力強い想いには、とてもインスピレーションを受けました。幼少期にはさまざまな困難を経験しながらも、大きな成功を築き上げていった。その生き方には見習うべきところがたくさんあると感じます」

──ガブリエル・シャネルは、恋愛や仕事、暮らし方においても、当時の女性に求められた役割に収まらない人生を選びました。彼女のどんなところに、特に現代性を感じますか?

「彼女のさまざまな仕事を知る中で、とにかく作品そのものに現代性が現れていると思いました。最初に手がけた帽子も、自分の内側から湧き上がるインスピレーションを信じて形にしていて、そのセルフメイドな姿勢がとても印象的です。当時は今ほど女性のリーダーが多くなかった時代だったにもかかわらず、自らの力でクリエイションを生み出し、道を切り拓いていったところに強い魅力を感じました」

──もし今、ガブリエル・シャネルと対話できるとしたら、どんなことを尋ねたいですか。

「多くのアーティストや音楽家たちを自宅や別荘に招き、アーティスト・イン・レジデンスのような形で交流をしていたそうなのですが、そこでどんな会話をされていたのか、とても気になります。一緒に生活する中で何を得て、それをどのように自身の仕事に生かしていたのかも聞いてみたいです」

──「自分自身を解き放ち、知らなかった自分と出会う」というメッセージが「ココ マドモアゼル クラッシュ アプソリュ」には込められています。Hana Hopeさん自身、昨年からアメリカでの生活をスタートされていますが、渡米経験を通して、ご自身でも知らなかった一面に出会ったと感じることはありましたか?

「アメリカに出たことで、新しい自分に生まれ変わることができたと感じています。特に、これまでになかった“グルーヴ感”が生まれたことは大きな変化でした。今住んでいるフィラデルフィアではオープンマイクやジャズクラブで歌う機会があるのですが、それまでジャズを歌った経験はほとんどありませんでした。初めてそうした場に立ったときは緊張もありましたが、同時にとても楽しくて。ライブならではの空気の中でミュージシャンたちと向き合いながら歌うことで、自分でも知らなかった一面が引き出されているように感じました。

たとえ難しい環境であっても、自分からそうしたチャレンジングな場所に飛び込んでさまざまな経験をしたり、新しい人と出会ったりすることがすごく大切だと思います。人生の中で、エピファニー(啓示)やサインを待つ人も多いと思うのですが、ガブリエル・シャネルのように、何かが訪れるのを待つのではなく、自ら機会をつくり、新しい刺激を求めていくことの意味を改めて実感しました」

──7月にリリースされた楽曲『Hearts Glow』では、“私は私のままで良い”というメッセージが描かれています。今回の香りにも“自分らしさを肯定する”というテーマが込められていますが、この価値観はHana Hopeさんにとってどのような意味を持っていますか?

「“私は私のままでいい”というメッセージは、小さい頃からずっと大事にしているモットーです。私は、自分らしさこそが一番の武器であり、最大の魅力だと思っています。だからこそ、自分自身を肯定し、信じ続けたいと思っています」

──Hana Hopeさんにとって、“自分らしさ”とはどのようなものなのでしょうか。

「日本とアメリカという2つの国籍を持ちながら生きているので、そのルーツは自分の大切な一部だと思っています。曲や発信するメッセージにおいても、そのアイデンティティを軸にしながら、国を超えていろいろな人に共感してもらえるものを届けられたら嬉しいです」

──流行に左右されず、自分らしい表現を追求されているところが、ガブリエル・シャネルとも重なるように感じます。そんなHana Hopeさんが、音楽に目覚めたきっかけを教えてください。

「昔から弾き語りで歌うことが大好きで、11歳の頃に母と一緒に近所のライブハウスやカフェに出演をお願いしに行き、そこで歌い始めたのが始まりです。母はグラフィックデザインの仕事をしていて、もともとクリエイティブなことを尊重する人でした。私の表現したい気持ちをずっと応援してくれていたので、その存在はとても大きかったと思います」

──歌詞を書くときに、もっとも大切にしていることは何でしょうか。

「私の音楽を通して、聴いてくださる方が自分自身と向き合うきっかけを持てたり、どんな状況にいるときでも少しでも癒やしを感じてもらえたらいいなと思っていて。そうした想いが、歌詞を書くときの中心にあります。今はアメリカで政治や哲学を学んでいるのですが、そこで触れたさまざまなストーリーや、自分の中に生まれた問いや気づきを常にノートに書き留めていて、それらを楽曲のインスピレーションとして取り入れています」

──英語と日本語、二つの言語を行き来しながら表現されているのも印象的です。

「2つの言語を使うことで、それぞれの言語にしかないニュアンスや譜割りを表現できるのも魅力だと思っています。そうした違いを生かしながら、メロディの流れや伝えたいメッセージに合わせて言葉を選び、歌うことを意識しています」

──普段から読書はされるのでしょうか。

「本は大好きで、普段は英語の本を読むことが多いです。特に好きなのは、アメリカの作家ドナ・タートと、ナイジェリア出身のチママンダ・ンゴズィ・アディーチェ。内戦などのテーマを扱いながらも、その世界を美しく描き出していて、そうしたところに強く惹かれます」

──中学生の頃から、高橋幸宏さんやTOWA TEIさんをはじめ、第一線で活躍するミュージシャンたちと共演されてきました。そうした出会いの中で、特に影響を受けた言葉や経験はありますか?

「高橋幸宏さんには、本当に幼い頃からお世話になってきました。まだ何者でもなかった頃から、私の声を信じてくださっていたんです。その存在があったからこそ、自分の世界を広げることができましたし、アーティスト性を大切にしていただいたことにも、とても感謝しています。“Hana Hope”としてデビューしたときには、『僕たちの希望そのもの』と言ってくださったことが印象に残っています。その言葉には今でも大きな責任と励ましを感じていますし、これからの活動においても“Hope”や“Joy”のような前向きなメッセージを胸に、自分らしい表現を続けていきたいと思っています」

──“Hana Hope”という名前には、どのような思いが込められているのでしょうか?

「デビューした頃はちょうどコロナ禍で、どこか閉じこもるような感覚があった時期でした。心ではいろいろなことを抱えているけれど、それをうまく表現しきれないと思っていて。そんな中でも、音楽は共通言語のような存在だと感じていました。言葉が分からなくても、メロディを聴くだけで癒やしをもらえたり、前向きな気持ちになれたりする。音楽には人を救う力があると思ったんです。少しでも誰かの力になれたらという思いを込めて、“Hana Hope”という名前をつけました」

──今年2月に20歳を迎えられましたが、これから先、どんな自分に出会いたいですか。

「大人としての新しいスタートを切ったので、これからはより自立した人間として、グローバルに成長し続けていきたいです。今はアメリカで生活していますが、ヨーロッパにもとても興味があるので、これからもさまざまな場所や文化に触れながら、より多くの人の心に響く楽曲を届けていけたらと思っています」

ココ マドモアゼル クラッシュ アプソリュ 50ml ¥21,450円・100ml ¥30,360/Chanel(シャネル カスタマー ケア センター)
ココ マドモアゼル クラッシュ アプソリュ 50ml ¥21,450円・100ml ¥30,360/Chanel(シャネル カスタマー ケア センター)

新製品の「ココ マドモアゼル クラッシュ アプソリュ」は、2001年に誕生した「ココ マドモアゼル」の表情を受け継ぎながら新たな香りへと昇華させたフレグランス。よりミステリアスな側面を加え、“クラッシュ”という言葉の通り、一瞬で心を奪い去るような魅力を表現。グレープフルーツとライチのフルーティなノートに、ローズとジャスミンの官能性、パチュリの深みが重なり、ラストはヴェチバーとヴァニラがセンシュアルな余韻を描き出す。新エジェリには、Hana Hopeもファンだと語るシンガーソングライターのグレイシー・エイブラムスが就任。グレイシーが出演するキャンペーンフィルムにも注目したい。

Photos:©CHANEL Edit : Naho Sasaki Interview & Text : Makoto Matsuoka

Profile

Hana Hope 2006年生まれの歌手・シンガー・ソングライター。アメリカの大学と日本を行き来しながらグローバルなアーティスト活動を続ける。透明感に満ちたノスタルジックな歌声と唯一無二の癒しをもたらすパフォーマンスが話題を呼ぶ。 13歳のときに客演したROTH BART BARON「けもののなまえ」と、 YMO結成40周年を記念したトリビュートコンサートに参加した事をきっかけに、シンガーとして活動を開始。2023年にソニー・ミュージックレーベルズよりメジャーデビュー。2025年、ポカリスエットのCM曲、STUTS「99 Steps feat Kohjiya & Hana Hope」の歌唱が話題に。 Instagram/@hanahope_official
 

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