
2024年のヴェネチア・ビエンナーレ日本館代表作家として参加し、国際交流基金のコミッション、イ・スッキョンのキュレーションのもと、個展「Compose」を開催した毛利悠子。現地で話題を呼んだ展覧会が、横浜美術館に凱旋中だ。
磁力、重力、空気のゆらぎといった自然現象をメインモチーフに、身のまわりのもの(人工物/自然物)や機器を組み合わせたオブジェを介して、不規則な動きやノイズ音を現出させるインスタレーションで知られるアーティスト、毛利悠子。それらの作品には、そこかしこに遍在するエネルギー、ものとものの間の目に見えない関わりあいや循環といった普段見過ごしがちな自然の摂理が、ユーモアの感覚を交えて表現されている。本誌でも注目し続けるアーティストのひとりだ。
(参考)密やかにさざめくアートの時空。毛利悠子、国内初の大規模展@アーティゾン美術館
2024年のヴェネチア・ビエンナーレで話題を呼んだ展示が、2年の時を経て日本初公開となった本展。通例、ヴェネチア・ビエンナーレ日本館の帰国展は、アーティゾン美術館(東京・京橋)で開催されるが、本展は毛利の出身地・神奈川県にある横浜美術館で実現されるに至ったという。
展示は、毛利が継続的に取り組んできた2つのシリーズにより構成。ひとつは10年以上にわたって取り組んでいる「モレモレ」だ。東京の地下鉄構内の各所で頻発する水漏れと、それを駅員たちが手近な道具を使って対処するさまに想を得たもので、さまざまな日用品を用いて、即興的な水の循環システムが形づくられている。
もうひとつのシリーズは、果物をモチーフとした「Decomposition」。電極を刺された果物が朽ちていく過程で、その水分量の変化によって不規則な音と光が生み出される。
共通するモチーフである水の循環や変容を可視化し、空間全体にひろがる光、音、匂いが重なり、見るものの五感に働きかけていく。
改修工事を機に新設された、ガラス張りの展示室「ギャラリー9」での企画展は今回が初。空間と作品が呼応する様にもぜひ注目したい。

「毛利悠子 Recompose — 第60回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館帰国展」
会期/2026年7月24日(金)~11月23日(月・祝)
会場/横浜美術館 ギャラリー9
住所/神奈川県横浜市西区みなとみらい 3-4-1
時間/10:00~18:00(11月21日・22日は20時まで)*入館は閉館の30分前まで
休館/木曜(8月13日、9月24日、11月19日は開館)
料金/無料
URL/https://yokohama.art.museum/exhibition/202607_mohriyuko/
Text :Akane Naniwa
