19世紀から20世紀にかけて、ファーブルの母国ベルギーは、中部アフリカのコンゴに対して苛烈な植民地政策を行ってきたという。人間の愚かさが引き起こした “闇” ……この闇が写し出された絵画作品が過去にもあった。幻想的で奇怪な作風で有名な画家、ヒエロニムス・ボスによる代表作『地上の悦楽の園』だ。本展覧会『Tribute to Hieronymus Bosch in Congo (2011-2013)』では、ボスのこの絵画に、ファーブルがベルギーの歴史の闇を重ねた14点の作品が紹介されている。
古代エジプトで神聖視されていた昆虫、スカラベの鞘翅(さやばね)を用いたこの作品は、会場の光を反射してさまざまな色彩を浮かび上がらせ、作品の背後にある深い闇、図像の有する内面的な醜さとは裏腹に、万華鏡のように輝く表面的な美しさへとその表情を変えてゆく。
“Metamorphosis(変容)” を通して人間の “生” を考えるアーティスト、ヤン・ファーブル。彼の作品に孕(はら)まれた生の美しさと醜さは、あなたの目にどのように映るだろう?
Tribute to Hieronymus Bosch in Congo (2011-2013)(邦題: ヒエロニムス・ボスとコンゴ – ボスを讃えて)
会期/2015年7月9日(木)〜 9月23日(水・祝)
会場/エスパス ルイ・ヴィトン東京 東京都渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン表参道ビル7F
開館時間/12:00〜20:00
入場料/無料
TEL/03-5766-1094
WEB/www.espacelouisvuittontokyo.com
Jan Fabre – The Art of the Colonies (2013) (Series : Tribute to Hieronymus Bosch in Congo 2011 – 2013)
Photographer: Lieven Herreman © Angelos bvba
Photographer: Lieven Herreman © Angelos bvba
Text: Kahlua Tsunoda