「いまは、自分の“ゆらぎ”を楽しんでいる時期」。亀梨和也、初のソロアルバムが映し出す心の風景 | Numero TOKYO
Interview / Post

「いまは、自分の“ゆらぎ”を楽しんでいる時期」。亀梨和也、初のソロアルバムが映し出す心の風景

亀梨和也が、7月8日に自身初となるソロアルバムを発売した。自身が心動かされた楽曲を中心に制作に取り組んだ、亀梨の新境地ともいえるアルバムについて、ファッションやモノづくりへの情熱、そして40歳を迎えた一人の人間としての現在地について、深く語ってくれた。

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──初となるソロアルバムを発売されます。制作までの経緯を教えてください。

「動き出したのは昨年かな。ファーストアルバムを構築していくにあたって、まず『今の自分の居場所はどこか』ということを、改めて見つめ直しました。新たな一歩を踏み出してはいるけれど、極端に違うスタイルや表現を提示したいというよりは、これまでやってきたことを踏まえながら、これから自分がどこへ向かっていくのかを考えていて。昨年は特に、自分発信だけではない流れの中で動くことも多かったんです。

もちろん最終的には自分で選択して決断して進んでいるんですけど、そういう環境の変化や気持ちのゆらぎも大きくあって。メンタルヘルスという言葉が正しいかはわからないですけど、人って本当にさまざまな要素に左右されるじゃないですか。天候ひとつでもそうですし、同じ場所にいてもその時々で感じ方が全然違ったりする。そういう自分のいい“ゆらぎ”みたいなものも、今回の作品には入っていると思います。今回のアルバム『WAVE』、7月から始まるツアー『FROM HERE』、昨年6月に立ち上げたファンクラブ。この3つが連動するストーリーになっている感覚があります」

──ソロということで、これまでのアルバムの制作過程とは違う側面も多かったと思います。

「これまではもちろんメンバーがいて、グループ単位でどう見せていくかということがあって、そこに個人の活動をどうリンクさせていくか、が中心でした。でも今回は亀梨和也という単体の人物を動かしていく作業だったので、はじめは正直違和感もありました。今の亀梨和也が何を表現したいのか、何を表現していくべきなのか、そこをずっと自分自身に問い続ける時間でもあって。だからこそ、“WAVE”というタイトルになったというか。だから楽曲も、かなりジャンルレスになりましたね」

──いい意味での揺らぎを楽しむような感覚もありながら?

「みたいなところのかな。定点カメラじゃないけど、もう一人の自分が定点で一箇所を映し出してるんだけど、一人の人物と対面してる……みたいな感覚です」

──亀梨さんと言えばサーフィンをされるイメージがありますが、“WAVE”というタイトルと何か関係は……?

「サーフィン好きだから WAVE です!みたいな感じじゃないですよ(笑)。単純に“波”という意味だけではないですし。でも、景色としてはすごく好きですし。海の中って本当に“何者でもない”感覚になるというか。そういう感覚は、これまでの経験から影響は受けているかもしれないですね。足がついていない状態というか、意思を持って進むべき方向へその瞬間、瞬間で漕ぎ出すけれど、潮の満ち引きとか自然の摂理と共存していくというか。

今回の作品も、いろいろなアーティストやたくさんのクリエイターに入っていただいて作っているんですけど、あくまで自分ひとりでゼロ地点から構築していくというより、周りとの共存でクリエイションをしていくというのは、サーフィンで感じたものと関係しているかもしれませんね」

──WAVEには「心や感情の波」という表現も込められているそうですが、ご自身は感情の波は大きいほうですか。

「それを表に出してるか出していないかは別として、すごく気分のアップダウンはあると思います。 天候にもすごく左右されますし。とはいえもう大人なので、それを全て表に出したりはしないですけど(笑)。でも多分、人よりはいろいろなものが体内に渦巻いてるほうなのかな、とは思います」

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──1曲目の表題曲「WAVE」。透明感があって素敵な曲ですが、歌唱に込めた思いなど教えてください。

「このアルバムの顔となる曲でもあったので、音のテイストもそうですけど、心地よさとか、芯があるようでないような柔軟さ、包まれるような安心感とかを表現できたらな、と思いました」

──先程ジャンルレスとおっしゃっていましたが、友成空さんが楽曲提供された『POMPEII』は、平成っぽい“エモさ”や“妖しさ”が漂っていて、癖になる歌詞とメロディが印象的でした。最初に聴いた時、どんな印象を持ちましたか?

「音を先行していただいたんですけど、すごく素敵で『ぜひ形にしたい』と思いました。その上で、歌詞を大きく変える作業をしていくなかで、ちょっと毒っ気というか強いストーリーや表現が欲しいですよね、ということを友成さんにもお話しさせてもらって。そこから上がってきた歌詞の世界観に沿う形で、最終的なサウンドや完成形ができていった感じですね」

──7月から始まるツアー『FROM HERE』に際して、新たな試みやコンセプト、挑戦などはありますか。

「『FROM HERE』には、『今この場所から見えているもの』が気持ちや状況によってどう変わっていくのか、という意味も込められています。今回『WAVE』というアルバムを作る中で、これまでとは少し違うステージの立ち方なのか、いろいろ模索したいなと思っています。それは衣装や演出も含めて、もう一歩、これまでとは違うマインドでの表現ができたらいいな、と。ただ、これまで積み重ねてきたものを全部閉じたいわけではないので、今まで構築してきた流れもうまく織り交ぜながらとは思っています」

──なかなかエキサイティングな作業ですね。

「そうですね。本当に“やりながら探していく”感覚が、今回の大きなテーマかもしれないです。進みながら自分にフィットする形を探していくというか。贅沢な作業でもあると思うんですけど、7月の初日に向けて最終的にどんな形で収まっていくのか、今まさに探っている途中です。今回は、いわゆるプロデューサー的な立場の方がいて作る形でもないですし、音楽、振付、衣装、それぞれのスペシャリストの方たちと一緒に構築していく流れでモノづくりをしています。皆さんから受ける刺激やエネルギーを、存分に自分の中に落とし込んでいけたらいいなと思っています」

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──クリエイティブへの強いこだわりをお持ちの印象があります。グループからソロになったことで、周囲との協業に対する向き合い方にも変化はありましたか?

「グループでも個人でも、どこにいてもこだわりは持ってやってきたと思います。ただ、そのこだわりに自分自身が固まりすぎたくない気持ちもあるんです。クリエイティブをゼロイチで作り上げたい自分もいますし、細部まで突き詰めたい気持ちもある。でも一方で、その時の状況や流れ、周りの方たちが持っているエネルギーによって、自分自身が動かされたり、遊ばれたりする余白も大事にしたいなと思っています」

──アルバムの聴きどころを教えてください。

「このアルバムって、いい意味で“力の入りどころ”が固定されていない作品だと思うんです。聴いてもらえるシチュエーションや、その時の聴いてくださる方の状態によって、受け取り方も変わるんじゃないかなと思っています。ある人にとっては、グッと踏ん張れるきっかけになるかもしれないし、立ち上がるための支えになる瞬間もあるかもしれない。でも、ベースとしてはまず身を委ねるように受け取ってくれたらいいな、と。その日の感情や状況によって、どこか引っかかったり、力が生まれたり、そういう何かが生まれたらいいなと思っています」

──以前、弊誌にご出演いただいた際も大きな反響がありました(2024年1・2月合併号)。当時のインタビュー記事には、今につながる発言も多かった印象です。

「あの頃は、本当にいろんなものが渦巻いていたタイミングで。この撮影は、スタイリングも含めてずっとご一緒したかった方々と実現できた企画でした」

──スタイリングもかなり攻めていましたよね。

「好きにやってください、みたいな感じでしたね(笑)。(当時のインタビューを見返しながら)ここから自分がどういう方向へ進んでいくのかみたいな話を結構していますね」

──インタビューでは、長年自分の表現よりもグループとしての表現を優先してきて、これからどう表現していこう、という葛藤のようなものも読み取れます。

「そうだよね。でも、本当にあの時に話していたことが少しずつ形になってきている感覚はあって。ここ数年、『自分はどういうふうに進んでいるんだろう』と考えることが多くて、不確かなものの中にある確かな感覚というか、少しずつ集めてきたピースや、自分が思い描いていたことがちゃんと形にはなってきているんですよね。もう少し先に進んだ時に、引きで見て初めて『こういう形になっていたんだな』ってわかるのかな、と。

まだ動き出して一年くらいなので、外に出てみて気づきも多いし、時間を割かなければいけないことが想像以上にあったり、今はとにかく走り続けている感覚が強いですね。この一年を振り返るとか、先のことを考えるという段階には正直今いないというか。本当に今はギアを上げたり落としたりしながら走っている状態、『ちょっと待って、今手離せない』って。走りやすい道に出るにはもうちょっと時間がかかるかな」

──当時、周りに応援してくれる大人たちがたくさんいる、と語っています。今ご自身が40歳になって、自分が20代の頃に思い描いていた大人のイメージに近づいている実感はありますか。

「どうなんだろう。でも、僕らが20代だった頃に見ていた40代の先輩たちって、今ほどアクティブに活動しているイメージはなかった気がするんですよね。もう少し落ち着いていて、ゆったりしている印象がありました。この20年で時代はすごく変わったなと思います。でもそれってこの20年を走ってきた先輩たちが、40代以降の活動の“当たり前”や“常識”を少しずつ塗り替えてきてくれたからこそ、今の自分たちの現状があると思いますし。だから、自分も新しい枠組みや価値観みたいなものを生み出していきたいという思いはあります。20代の頃は、40代ってもっと全然違うベクトルにいるイメージを勝手に持っていたんですけど、実際になってみるとまだまだだなって」

──あえて“安定”に寄りかからず、新しい挑戦を続けている印象があります。

「性格の問題だと思うんですけど、自分がこれまで築いてきたものとか関係性とか、そういうところにすぐ走りたくないんですよね。そこは自分でも複雑だな、と思うんですけど。こうすれば簡単だよね、苦労しないよね、みたいな道筋が見えていても、なぜかゼロを取りにいきたくなる。これはちょっと、自分でも本当に面倒くさいやつだなと思うんですけど(笑)」

──それは、クリエイティブに対する姿勢として?

「一部分はそうですけど、もともとの性格もですね。複雑性があるというか。別に苦労が好きなわけではないんです。ありがたいことに、近道をとる、最大限の効果を出す、だけを考えれば、周りには支えてくださる環境も素敵な人たちもいる。でも、それが果たして本当に自分のやりたいことなのか、自分の実力なのかって考えると、わからなくなる感覚があって。

もちろん甘い世界ではないので、やるからには結果を残さなきゃいけないですし、たくさんの方にサポートしてもらっているのも事実です。全部が自分の実力とか、ゼロから自分が作っているだなんて思っていません。ただ、周りからも『もっと楽な道を選べばいいのに』みたいなことをよく言われるんですが、なぜか困難な道を選んでしまうんです」

──以前「Inside 23(インサイドミー)」(亀梨が展開するアパレルなどのソロプロジェクト)のパーティでお目にかかったときも、タレントさんでありながらどんな相手ともフラットに接される方だな、という印象がありました。ずっとそういうスタンスですか?

「根本は変わっていないと思います。ただ、若い頃はパブリックイメージもありましたし、自分を守るための壁みたいなものは今よりもっとあった気がします。当時は、一歩踏み込まれるだけで崩れちゃうような危うさもあって。でも本来の性質としては、たぶん今みたいなフラットな感じだと思います。その分、流れに飲まれたり、思いがけず傷ついたりすることもありますけど、それもこの世界ならではなのかなって」

──今は、たとえ傷ついても自分を保つ術を身につけた?

「痛いな、って思いながら傷つく時もあります(笑)。でもさっき言ったように、自分は“近道”とか“利益”だけを優先して動くタイプではなくて。もちろん守らなきゃいけないことも増えたし、責任も果たさないといけない立場ですが、絶対傷を負いたくないという考えではなくて。ベースには『人間だもの、ダメだったらその時また考えよう』というのがあります」

──とても人間らしいというか、自分でちゃんと地べたを踏み込んで土の感覚を味わいたい方なんですね。誰かに運んでもらうんじゃなくて。

「たぶん、すごくあると思います。“大人になる”という表現がいいのかわからないけど、結局大人になるって、時には厳しい判断を自分にも周囲にも下さなきゃいけないこともある。自分がそういう立場に今いるのは事実で、その覚悟はもっと持っていかなきゃいけないし、力をもっとつけないと、という思いもあります。これまでの歩みって、長年、会社に所属してグループ活動をさせてもらってきて、その中での責任感だったり、『どう生きていくか』みたいな自分なりの美学は大いにあったと思います。でも、この1年で環境が変わって歩み出してみると、それまでとはまた違う、自分が仕事を続ける意味とかを、新たに探している道中にいる感じです」

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──アーティスト、俳優、バラエティと幅広く活動されています。その原動力は?

「ありがたいことに本当にいろいろな方たちからお声がけをいただいて、お仕事をさせてもらっています。クリエイティブな作業や何かを表現することがすごく好きなので、それを受け取ってくれる人、リアクションをくれる人、楽しんでくれる人がいること、それが一番ベースの支えになっている気がします。

たぶん俺、芸能界を辞めたとしても、誰かを楽しませる作業がずっと好きなんだろうなって思うんですよね。それを今、こんなに恵まれた環境でやらせてもらえていることが、改めて自分のエネルギーになっているし、誰かと共存したり共鳴したりしながら答えのないものを作っていく作業が好きなんだと思います。驚かせたいとか、喜ばせたいとか。これから先も道を歩んでいくなかで、自分のエネルギーになるものや大切なものに出会っていくんだろうなとは思います。自分でも想像しきれていないですけど、いちばん大きな軸は、誰かを楽しませたい、ということなのかな」

──そこにはアイドルという原点も関係している?

「あるのかな。でも、ベースにはやっぱりある気がします。そこは切っても切れないものというか。逆に、“アイドルっぽくない表現をしたい”と思うこと自体も、アイドルだった自分の影響を受けているわけで。だから、『アイドルでいたい』も『アイドル的なものは嫌だ』とかいう意識は特にないですけど、おのずと自分が選ぶ仕事や出会う表現の中で、少しずつ距離を変えていく作業はあのかもしれないですけど。今回のアルバムなんて、いわゆる“アイドル的な作業”はほとんどしていないですし。それでも根っこの部分には、きっとあるんですよね」

──亀梨さんと言えばファッショニスタのイメージが強いですが、ファッションの嗜好は変わっていっていますか?

「すごく変わっていっていますね。以前はもっとデザインや柄が凝っていて、ごちゃごちゃしてる服が好きだったんですけど、最近はかなりシンプルになってきました。よりモードっぽいというか。20代や30代の頃に好きだった服も今ももちろん好きなんですけど、今自分が着るテンションかって言われたら違うかな、って」

──今は、より自然体で大人っぽいムードに惹かれている?

「どうなんだろう……世の中に適合し始めてる感じなんですかね。どこにでも行けるし、溶け込めるというか。以前は、生地がボロボロだったり、いろんな装飾がガチャガチャついているような服が多かったんですけど。それにこの1〜2年はファッションを楽しむような物理的な時間があまり取れなかったのも大きいと思います。ようやく先週くらいにひとつ作品を終えて、ゆっくり洋服を見る時間ができた感じですね」

──最後に。最近ハマってる趣味や美容法、健康法があれば教えてください。

「サウナは相変わらず好きですね。もう10代の頃からずっと。 あとはなんだろうな……基本的に部屋をきれいにするのが好きなんですけど、最近は特に、朝に洗濯したり掃除したりする時間がすごく心地よくて。今は作品に入っていないので、朝がゆっくりめで9時とか10時スタートだったりするので、帰ってくる自分のために家を整えておくんです。

朝、洗面台とかお風呂とか使うじゃないですか。帰ってくる自分のために、全部きれいにしています。帰ってくる自分に対するホスピタリティに今、ハマっています。出ようと思ってから、ここも気になる、あれも気になるってなって、なかなか家を出られなくて困るんですけど。でも、その時間が今の自分にとって、すごく心地いい時間なんだと思います」

『WAVE』
発売日/7月8日(水)

初回限定盤(CD+Blu-ray)
サブスク&ダウンロードURL /https://Kazuya-Kamenashi.lnk.to/AL_WAVE
CD購入URL/https://kazuya-kamenashi.lnk.to/WAVE

初回限定盤(CD+Blu-ray)
LCCA-6285〜86/¥4,400(税込)

初回限定盤(CD+DVD)
LCCA-6287〜88/¥4,400(税込)
CD:全12曲収録
Blu-ray / DVD共通:「WAVE」Music Video + ALBUM『WAVE』Behind the scenes

通常盤(CD Only)
LCCA-6289/¥3,300(税込)
CD:全13曲収録(ボーナストラック1曲含む)

Photos : Takafumi Uchiyama Styling : Chihiro Tan Hair & Makeup : Koichi Toyofuku(Good), Akiho Sakashita(Good) Edit & Text : Naho Sasaki

Profile

亀梨和也 Kazuya Kamenashi 1986年、東京都出身。 2006年に「KAT-TUN」としてCDデビュー。俳優としても活躍し、数々のヒット作を世に送り出してきた。25年4月にアーティストとしてソロ活動を本格始動。26年7月、待望の初ソロアルバム「WAVE」をリリース 。

URL/https://web.storm-labels.co.jp/s/st/artist/10014
YouTube/https://www.youtube.com/@k_kamenashi_23
Instagram/@k_kamenashi_23
X/@K_KAMEofficial
 

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