新国立劇場で6月に上演される『りんごが落ちる』は、ノゾエ征爾が長年身を置いている演劇の世界をベースに描かれる新作戯曲。小川絵梨子芸術監督、任期最後のシリーズ企画「いま、ここに──」の最後を飾るのにふさわしい作品になりそうだ。
人の前に立ちはだかる「乗り越えがたい大きな壁」や、他者との断絶感、弱さを打ち明けられない葛藤など、現代を生きる誰もが抱える心の痛み。そんな痛みをモノともしないタフさに憧れながらも、生きづらさを感じている人々を、「recover」や「cure」をキーワードに創作された戯曲だ。
物語は、久々の舞台で主役を射止めながらも、初日の舞台上で突然セリフを忘れて、ラスト10分間を沈黙劇にしてしまった舞台俳優・田端光太郎を主人公に、その夜、彼のもとを訪れる周囲の人々を描いていく。

主人公の田端光太郎を演じるのは浜田学。映像作品では硬質な演技で独特の存在感を放ってきた。今回演じる田端は、久々に舞台の主役を務めるも、初日の舞台上で突然セリフを忘れて、ラスト10分間を沈黙劇としてしまった舞台俳優。俳優としての時間を積み重ねてきた浜田が、“言葉が出ない”という極限の状態に置かれた男をどう演じるのかが、本作の大きな見どころとなる。
田端の大学時代の後輩・猿橋には、山口森広。子役時代から映像、舞台、CMなど幅広いジャンルで活動している。田端が現在出演中の舞台の若い演出家・鴨川には、演劇ユニット「ろりえ」の旗揚げメンバーでもある梅舟惟永。田端の住む家の隣人・鶴野には、無名塾出身で、長年にわたり舞台、映像、声の仕事を横断してきた大西多摩恵。そして、田端を気にかける妹・夢子を、歌やダンスにも定評のある宮川安利が演じる。
それぞれの人物は、田端を案じているようでいて、自分自身もまたどこかで行き詰まり、息を詰めている。台所という日常的な場所に、次々と田端の周囲の人々が訪ねてくる構図は、ノゾエ作品らしいユーモアを帯びながら、“言えなかったセリフ、届かない言葉、溢れ出す本音”を少しずつ浮かび上がらせていきそうだ。
演出を手がけるのは、新国立劇場初登場となる金澤菜乃英。劇団青年座の文芸演出部に所属し、演出助手を経て2015年に演出家デビュー。近年は青年座での演出の他、ミュージカル作品などを手がけてきた。ノゾエとのタッグで描かれる、不器用な大人たちの“息継ぎ”の物語に期待したい。
舞台「りんごが落ちる」
作/ノゾエ征爾
演出/金澤菜乃英
主催/新国立劇場
キャスト/浜田 学 山口森広 梅舟惟永 宮川安利 大西多摩恵
公演日程/2026年6月13日(土)~28日(日)
会場/新国立劇場 小劇場
料金(税込)/A席 7,700円 B席 3,300円 Z席(当日)1,650円
チケット申し込み・問い合わせ/
新国立劇場ボックスオフィス TEL:03-5352-9999 (10:00~18:00)
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