
デンマーク発のジュエリーブランド、ジョージ ジェンセンが、新作コレクション“Weft by Georg Jensen(以下Weft)”を発表。2024年に同ブランドのクリエイティブディレクターに就任したパウラ・ジェルバーゼによる初のジュエリーコレクションとなる。
“Weft”コレクションでは、ブランドの象徴であるスターリングシルバーを用い、織りの構造やテキスタイルのようなしなやかな動きを表現している。ネックレス、ブレスレット、リング、ピアスなどで構成されるコレクションには、アーカイブに由来するオーブのモチーフも登場。ジョージ ジェンセンが120年以上にわたり育んできたクラフツマンシップを、現代のジュエリーとして軽やかに再解釈した。

コレクションの発表に合わせて、ロンドンではアートエキシビションも開催。 “Weft”のテーマと共鳴する6人の現代アーティストによる作品を、ジョージ ジェンセンがキュレーション。1904年の創業以来、アートとクラフトを結びつけてきたメゾンの精神を、現代の視点から浮かび上がらせる内容となった。

スターリングシルバーの硬質な輝きに、テキスタイルのような柔らかなリズムを宿した“Weft”。ロンドンを拠点に自身のブランド「1205」や「Gerbase」を手がけ、「ジョン ロブ」でも経験を積んできたパウラに、コレクションの着想源やシルバーという素材へのアプローチ、そしてメゾンの未来について話を聞いた。

──新作コレクションの出発点、アイデアがどのように生まれたのかを教えてください。
「ジョージ ジェンセンに加わった当初、まずメゾンの歴史を学ぶことから始めました。その中で最も驚いたのは、初期の作品に宿る“動き”と“軽やかさ”です。それまでジョージ ジェンセンには彫刻的で静的なイメージを持っていましたが、1904年頃のアール・ヌーヴォー期の作品には、リングから下がる装飾やシルバーワイヤー、フィリグリーによる繊細な立体感がありました。
また、ジョージ ジェンセンの『作品には前も後ろもなく、すべての面が等しく美しくあるべきだ』という言葉も強く印象に残りました。そこから、軽やかで透明感があり、身につける人が自由に解釈できるジュエリーを考えるようになりました。ブランドの歴史の中で繰り返し登場してきたシルバーワイヤーに着目し、個々のシルバーループを内側のチェーンでつなぐという“Weft”の構造へと発展していきました」

──着想のきっかけとなったアーカイブピースや素材はありましたか?
「特に印象的だったのは、タイガーアイのカボションの周りにフィリグリーを施したシンプルなブローチです。また、1950年代のヘニング コッペルによるシルバーピッチャーのハンドルに見られるワイヤー使いも重要な着想源になりました。
そこから“織る”ようにシルバーを扱う実験を始め、シングルウィーブ、ダブルウィーブ、トリプルウィーブへと発展していきました。細いシングルウィーブでは控えめで繊細に、幅のあるトリプルウィーブでは力強く存在感のある表情に。同じ技法でありながら、繊細さと力強さの両方を表現できることが面白いと感じました」
──テキスタイルに着想を得たアイデアを、ジョージ ジェンセンのジュエリーに落とし込むうえで最も大切にしたことは何でしたか?
「私にとって、テキスタイルの美しさは、身体にまとわれて初めて命を持つところにあります。服は単体で完結するものではなく、着る人の動きによって生きるものです。今回の“Weft”でも、テーブルの上に置いて美しい彫刻のようなジュエリーではなく、身体の上で命を持つピースを作りたいと考えました。
ジュエリーが着ける人の個性をまとい、その人ならではのジェスチャーを縁取るような存在になること。私は長くクラシックダンスをしてきたので、人それぞれに固有の動きや仕草にとても惹かれます。特にピアスは、身につける人によって異なる“踊り方”を見せる。ジュエリーを身につけた時、その人自身を引き立てるものとして捉えたかったのです」

──これまでにテキスタイルやレザーを扱ってきた経験は、現在のジュエリー制作にどのように影響していますか?
「テキスタイルは非常に高度な技術を必要としますが、最終的に服として身につけられたとき、その複雑さが前面に出る必要はありません。多くの時間や手間をかけたものが、自然に存在しているように見えることに美しさがあると思っています。
“Weft”でも、リンクの角度やプロポーション、滑らかな動きを実現するために長い時間をかけました。ただ、その技術があからさまに見えるのではなく、完成したピースは自然に流れるように存在してほしい。素材、フォルム、プロポーション、動きだけで十分に語ることができる。声高に主張しないその繊細さや透明性、誠実さは、とてもデンマーク的であり、ジョージ ジェンセンらしいものだと感じています」

──2024年にクリエイティブディレクターに就任されましたが、今後ジョージ ジェンセンのどのような次章を描きたいと考えていますか?
「私はクリエイティブディレクターとしての自分の役割を、このメゾンの“守り手”のように捉えています。ジョージ ジェンセンは1904年に創業したヘリテージメゾンであり、デザイナーではなく彫刻家、アーティストによって始まったブランドです。創業当初から、アーティストたちが素材と向き合い、自由に試みることのできる環境やコミュニティがありました。
私が目指したいのは、そのルーツに立ち返ること。遊び心と発見のある環境をつくり、ジョージ ジェンセンを、クラフトとアートが対話する先駆的なスタジオとして改めて捉え直したいと思っています。120年の歴史を持つデンマークのメゾンとして、そのレガシーを守りながら前進させる責任も感じていますし、その豊かな歴史を受け継ぐことは大きな特権だと感じています」
(左)ピアス ¥92,400(右)ネックレス ¥242,000
(左)ブレスレット ¥154,000(右)ピアス ¥132,000
Weft by Georg Jensen
発売日/2026年5月19日(火)
展開アイテム/10型(ネックレス3型、ブレスレット3型、ピアス4型)
販売店舗/全国のジョージジェンセンブティック、オフィシャルオンラインストア
Interview & Text: Saho Kamioka Edit: Yukiko Shinto




