
「瀬戸内国際芸術祭2025」「岡山芸術交流2025」と、大規模なアートイベント開催で賑わう瀬戸内エリア。そこで新たに、建築文化の祭典「ひろしま国際建築祭2025」がスタートした。福山市「神勝寺 禅と庭のミュージアム」、尾道市「尾道市立美術館」をはじめ、7つの会場を中心に8つの展示が行われる。今回が初開催となり、今後は3年に一度、建築文化を発信する場として継続的に開催していく。2025年11月30日(日)まで。
福山、尾道周辺は、近年、注目の建築が増えているエリア。福山の「神勝寺 禅と庭のミュージアム」をはじめとして、谷尻誠と吉田愛(SUPPOSE DESIGN OFFICE)設計の複合施設「ONOMICHI U2」、アトリエ・ワンによる尾道駅、インドのスタジオ・ムンバイによる「LOG」、堀部安嗣設計による瀬戸内の風景に溶け込む宿のようなクルーズ船「ガンツウ」の母港もある。そして尾道市立美術館は安藤忠雄の設計。
※参考記事 Numero.jp 瀬戸内海に浮かぶ建築⁉︎ 客船「ガンツウ」


尾道市立美術館では「ナイン・ヴィジョンズ:日本から世界へ 跳躍する9人の建築家 Nine Visions: Japanese Architects from Japan to the World」が開催されている。建築界のノーベル賞と称される「プリツカー建築賞」の国別受賞者数は日本が世界最多だという。その魅力にも迫る企画展。出展建築家は丹下健三、槇文彦、安藤忠雄、妹島和世・西沢立衛/SANAA、伊東豊雄、坂 茂、磯崎新、山本理顕。

福山の神勝寺 禅と庭のミュージアムでは「NEXT ARCHITECTURE|「建築」でつなぐ“新しい未来”」と題し、5組の建築家がそれぞれの視点から新たなヴィジョンを提示する。藤本壮介、石上純也、川島範久、VUILD/秋吉浩気、Clouds Architecture Officeが参加。

神勝寺の「無明の庭」には堀部安嗣による移動型キオスク「つぼや」が設置され、また再現計画が立ち上がる丹下健三自邸の1/3模型も。なお、敷地内にある名和晃平のアートパビリオン『洸庭』や藤森照信と大嶋信道の設計による寺務所棟の「松堂」もお見逃しなく!
そのほか、福山や尾道のまちなかでも企画が多数開催される。
尾道の千光寺へ続く坂道にある、ムンバイスタジオが手がけた「LOG」では「Architecture Voice from LOG |「建築の声」を聞く」が開催中。こちらはUMA/design farmによる、LOG建築が持つ、発する「声」をデザインで表現する試み。
建築家・長坂常が、自ら空き家を購入して再生させた文化交流拠点「LLOVE HOUSE ONOMICHI(ラヴ・ハウス・オノミチ)」では、オープンハウス「OPEN LLOVE HOUSE」を開催。長坂率いる建築事務所スキーマ建築計画のプロジェクトや活動報告、サンプルや家具などを展示。これまでの活動で模索してきた”半建築”の可能性をあらためて探る。
期間中は、トークイベントや親子で参加できるワークショップ、ツアーなども多数あり。
建築祭をめぐることで、展示はもちろん、会場の建築空間や、町の歴史的な古建築、人々の暮らしとともにある建築たちにも出会うはず。そして景色を生み出す美しい海と山なみ。多くの建築家を魅了してきた瀬戸内、訪れた人を魅了する土地の力もぜひ感じたい。
ひろしま国際建築祭 2025
会期/2025年10月4日(土)〜 2025年11月30日(日)
会場/広島県福山市、尾道市+瀬戸内エリアのサテライト会場
福山:神勝寺 禅と庭のミュージアム、ふくやま美術館 (ギャラリー)
尾道:尾道市立美術館、まちなか文化交流館 「Bank」、LLOVE HOUSE ONOMICHI、ONOMICHI U2、LOG
入場料/鑑賞パスポート(福山・尾道共通3日間有効パスポート) 3,000円、WEB販売 2,500円
※高校生以下および障がい者無料
URL/hiroshima-architecture-exhibition.jp
※詳細は公式WEBサイトをご確認ください
Text:Hiromi Mikuni
