「villa aida」小林寛司氏が監修した「ザ・リッツ・カールトン日光」の新生「レークハウス」を体験
Life / Food

「villa aida」小林寛司氏が監修した「ザ・リッツ・カールトン日光」の新生「レークハウス」を体験

提供元:ザ・リッツ・カールトン日光
提供元:ザ・リッツ・カールトン日光

栃木県初の外資系ラグジュアリーホテルとして、2020年のオープン以降国内外から注目を集めている「ザ・リッツ・カールトン日光」に、ホットなニュースが飛び込んできた。10月1日(火)から、ミシュランスターシェフの「villa aida」小林寛司氏による洋食レストラン「レークハウス」の監修がスタートしたのだ。「Farm to Dining」を掲げる新生「レークハウス」での食事とともに、初秋の「ザ・リッツ・カールトン日光」でのステイを満喫してきた。

栃木県産野菜をはじめ、農産物を主役にした「Farm to Dining」がコンセプト


「ザ・リッツ・カールトン日光」の敷地内に、離れのように佇む洋食レストランの「レークハウス」。「ボートハウス」をコンセプトにしたアート作品に囲まれた空間で、眼の前に広がる奥日光の雄大な自然を眺めながら、栃木県産食材を使った料理が味わえる場所として、開業以降多くの人に愛されてきた。

元料理人でサービスを担当する妻の有巳さんと、小林寛司シェフ
元料理人でサービスを担当する妻の有巳さんと、小林寛司シェフ

今回新たに「レークハウス」の監修を任された小林寛司氏といえば、今年26周年を迎える一日一組限定のレストラン「villa aida」のオーナーであり、ミシュラン2つ星とグリーンスターをダブル受賞したスターシェフだ。小林シェフは、店に隣接する畑で約300種の野菜やハーブを自ら育て、料理にも使用していることでも知られている。その時だけの「野菜の旬」を捉え、食材の味わいを最大限に引き出した自由な発想の料理で、世界中のフーディーを魅了してきた。

提供元:ザ・リッツ・カールトン日光
提供元:ザ・リッツ・カールトン日光

このシェフの哲学に共感した「ザ・リッツ・カールトン日光」は2023年12月にシェフを招聘したスペシャルイベントを開催。イベント時に親交を深め、小林シェフも中村健介総料理長をはじめとした「ザ・リッツ・カールトン日光」のカリナリーチームやホテルスタッフたちの熱意や温かい雰囲気に惹かれたという。「このチームとならぜひ一緒に料理がしたい」と今回コンサルティング契約を決意したそうだ。

“小林シェフ流ロッシーニ”など、栃木県産の農産物を主役にした、季節や風土を感じる料理

農薬や肥料、除草剤を使わずに200種類ほどの西洋野菜を栽培している「日光あおぞら農園」の野菜などを使用
農薬や肥料、除草剤を使わずに200種類ほどの西洋野菜を栽培している「日光あおぞら農園」の野菜などを使用

約1年、「ザ・リッツ・カールトン日光」に何度も足を運び、カリナリーチームと共に栃木県が誇る旬の食材を発掘し、最大限に味わえるメニューの開発に取り組んできた小林シェフ。これまで「villa aida」にて一日一組のゲストに提供してきた「Farm to Table」ではなく、「レークハウス」ではより多くのゲストに料理を提供する「Farm to Dining」をコンセプトに掲げた。

例えば免疫力を高める食材が豊富な秋のこの時期は、猛暑を過ごして疲れた身体を温めるような食材たちがコースメニューに並ぶ。訪れた10月初旬のディナーコース(7品24,000円)では、最初に白いんげん豆をペーストにしたスープが登場した。旧足尾町(現日光市)の在来種で、一時は絶滅に瀕したジャガイモを「日光あおぞら農園」の石川さんが復興させた「舟石芋」を皮ごと揚げてつぶし、スープの真ん中にあしらっている。そこに、イモと相性の良いホタテの貝柱を合わせた。土のパワーを感じるイモの優しくも温かいホクホクの味わいに、フレッシュなオリーブオイルとウィンターセイボリーというハーブがほんのりと清涼感を残す。

2品目の「かぼちゃ なめこ しめじ」は、「日光あおぞら農園」のカボチャを焼いてハチミツと合わせてテリーヌ状にし、バターと一緒にソテーしたサツマイモやゆり根、しめじやなめこなどのキノコに、スパイシーなソースを添えた一皿だ。一緒に振舞われる栃木県産のゴマやクミン、コリアンダーシードを使ったスティックパイと一緒にいただくことで、秋の味覚が持つ香り高さが引き立ち、重層的な味のハーモニーを奏でていた。

個人的にエポックメイキングだったのが「さつまいも セロリ 塩レモン」のグラタン。サツマイモをピュレに仕立てるだけでなく、異なる粗さに刻んだものを合わせており、たっぷりのオリーブオイルを使い焼き上げている。シャリシャリとした独特の香ばしいサツマイモの食感と自然な甘み、ジュンワリと染み出るオリーブオイルののびやかな味わいがなんとも優雅だ。そこにフレッシュなセロリやクミンのスパイシーさ、中に忍ばせられた栃木県産宮レモンや、宮ゆずのピールが爽やかなアクセントを加えている。

海なし県である栃木で魚料理を出すことの意義を考えた小林シェフは、乱獲を誘発してしまう知名度が高い特定の魚を仕入れるのではなく、仲買がその日に勧めるサスティナブルフィッシュを仕入れ、レストランで提供することにしたという。訪れた日に振舞われた魚料理は、イトヨリのポワレ。冬瓜をかんぴょうのように干して仕上げたものを下に敷き、白ワインとエシャロットでリッチに仕上げたソースを合わせた。

メインの肉料理について、小林シェフはカリナリーチームに「ロッシーニにしよう」と呼び掛けたという。作り上げたのはとちぎ霧降高原牛のミスジのローストに、フォワグラに見立てた山芋のロースト、トリュフ代わりの香ばしい刻んだタマネギを合わせた一皿だ。ソースは落花生のおおまさりを合わせた赤ワインベース。1頭から2キログラムしか取れないミスジは歯切れが心地よく、サシがまんべんなく入っていて脂が上質だ。シャキシャキの歯ごたえとねっとりとした舌触りの山芋、甘さと香りが引き出されたタマネギ、おこげのような栃木のいろいろ米や落花生など、ミスジと食べるごとに異なる味の広がりを見せてくれるのが面白い。

「レークハウス」では、料理に合わせるワインリストも、今回のコンセプトチェンジとメニューリニューアルに伴い、自然派ワインを中心に料理に合うものを、より幅広く取り揃えている。シャンパーニュは、サスティナブルなブドウ栽培と醸造を行う「テルモン レゼルヴ・ロゼ」を採用しているほか、国産、海外産問わずナチュラルワインが多く揃う。ブドウの皮ごと醸した「栃木 ココ・ファーム・ワイナリー 甲州F.O.S」や、イタリア・ヴェネツィア ジョージア州の赤ワイン「Bressan / Pinot Nero」は、スパイスやハーブを使った小林シェフの料理にも特によく合っていた。

新生「レークハウス」は、この土地で育まれた野菜が持つ滋味を主役に据え、高級食材にも負けない、むしろこの方がベストだったのではないかと気づかせてくれるような調理や組み合わせで私たちを驚かせてくれる。

ブランド初の温泉施設を備えた「ザ・リッツ・カールトン日光」

「レークハウス」を擁する「ザ・リッツ・カールトン日光」は、「ザ・リッツ・カールトン」の日本5軒目となるホテルとして2020年7月にオープンした。1200年以上の歴史を持つ世界遺産「日光の社寺」を抱く男体山の絶景を望めるロケーションが自慢だ。

ゲストルームは、10のスイートを含む総数94室。各客室から男体山や中禅寺湖など、四季折々の景色を一望できる。

ダイニングは「レークハウス」に加え、「日本料理 by ザ・リッツ・カールトン日光」、アフタヌーンティーなどが楽しめる「ザ・ロビーラウンジ」、全国各地のウイスキーを取り揃えた「ザ・バー」がある。

提供元:ザ・リッツ・カールトン日光
提供元:ザ・リッツ・カールトン日光

さらにザ・リッツ・カールトンブランドとして、世界で初の温泉も完備。日光湯本温泉の源泉を引く露天温泉や内風呂に加え、サウナ、水風呂、スパラウンジがあり、ゆったりと心身を癒すことができる。

このほかにも座禅や世界遺産散策、中禅寺湖散策など、奥日光の自然や歴史、文化を体験できるアクティビティも多数展開しているのも「ザ・リッツ・カールトン日光」の特徴だ。小林シェフが「レークハウス」を監修したことで、更なる進化を遂げた「ザ・リッツ・カールトン日光」。東京からも足を運びやすい日光で、シェフの味を楽しみにテーブルを囲んでみてほしい。

ザ・リッツ・カールトン日光
住所/栃木県日光市中宮祠2482番地
TEL/0288-25-6666
レストラン予約/0288-25-5776
URL/www.ritzcarlton.com/jp/hotels/japan/nikko

 

Photos & Text:Riho Nakamori

Magazine

NOVEMBER 2024 N°181

2024.9.28 発売

Instinctive

直感で選ぼう

オンライン書店で購入する