「Moncler」が選んだ“天才”。アーティストのルル・リーに聞く、イノベーションが生まれるアートとファッションの接点
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「Moncler」が選んだ“天才”。アーティストのルル・リーに聞く、イノベーションが生まれるアートとファッションの接点

モンクレール(Moncler)が、上海ファッションウィーク期間中の10月19日(土)、没入型体験イベント「シティ・オブ・ジーニアス(The City of Genius)」を発表。さまざまな分野からクリエイターを迎える「モンクレール ジーニアス」の新章が明らかになる。共同クリエイターの名前には、藤原ヒロシ、Nigo、エイサップ・ロッキーなど錚々たる顔ぶれが並んでいるが、その中の一人、中国を拠点に活動するアーティスト、ルル・リー(Lulu Li)にメールインタビューする機会を得た。彫刻、デジタル機器、ビデオ、絵画などのマルチメディアを駆使する彼女に、どのようなコレクションを生み出したのか聞いた。

アーティストのルル・リー(Lulu Li)
アーティストのルル・リー(Lulu Li)


──デザイナー、アーティスト、キュレーターといった肩書きを持ち、さまざまなプロジェクトを手掛けられています。ご自身のアート活動やテーマについて、教えてください。


「現在、私は自分の芸術活動の範囲を広げようとしているのですが、一時的、現代的、あるいはポスト現代的な視点にとらわれたり、共同体的/社会的な関係性の文脈にとらわれたり、美学や何かを作りたいという“自然な”衝動に突き動かされたりするのではなく、創造されないもの、捏造されないもの、構築されないものについて、また個人的にも集団的にも、そのような不随意的な努力の先に何かがあるのかについて学びたいと思っています。それは私を禅に導いたきっかけでもあります。私は、テクノロジーがアート、生活、社会全般に与える影響に興味があり、以前のキュレーター・プロジェクト『テクノロジーの倫理』は、現代における多くの力学の間の複数のシフトを理解するためのツールでした」

 

──今回、モンクレールからお話があったときの率直な感想は?

「正直なところ、最初にパッと見たときは、また偽の暗号やNFT関係者から連絡が来たのかと思いました。そのため、メールに記載されているリンクはクリックしないようにしようと心に誓っていました。しかし、メールを読み進めると、公式なお誘いとモンクレールの署名入りだったので、これは本物だと思えました。
実は、これまで服を作ったことがなかったので、これはエキサイティングな挑戦でした。AIが生み出したコレクションのビジョンから最終的な実際の製品まで、膨大な努力が必要であることは想像に難くなく、素直に感銘を受けました。モンクレールと仕事ができることを光栄に思いますし、たくさんのチームの優しくて温かくて協力的な人たちと一緒に仕事ができたので、プロセスはとてもスムーズでした。私にとってもワクワクするような旅でした」

──コレクションを作るにあたり、インスピレーションの源となったものを教えてください。

「AIと戯れながら、目に留まったスタイルを試していました。もちろん、自分にとって興味深いテーマもありましたが……。今の時代の多くの不確実性、禅仏教と自己探求の旅、人類が地球に住むのではなく、複数の惑星に住むようになる可能性、古い表現が通用しなくなる一方で、私たちの集団心理をよりよく収容する新しい表現は何か。これがその試みでした」

──具体的な製作過程は?

「まず、AIツールのMidjourneyを使って、さまざまな指示を出しながら、コレクションを形成するための一連のルックをセレクトしました。それから最終的なルックを決め、サイドと後ろ姿を描きました。私はモンクレールのチームとファブリックのオプションや衣服のディテールについて話し合い、彼らはそれに基づいてサンプルを作成したのです」

──その中で、一番チャレンジングだったことを教えてください。

「私はファッションデザイナーではないので、最も難しかったのは、現実世界の素材とその工程を理解することでした。物理的な素材には独自の言語、キャラクター、性質があります。触ったときの感触の違い、目や手に伝わる質感、どのように反応し、膨らみ、折り畳まれ、ドレープができるのかなど、ファッションのテキスタイルに関する知識は、私にとって非常に衝撃的なものでした」


──モンクレールとの製作過程において、記憶に残っているやりとりやエピソード、裏話はありますか。

「私はこの4年間、コロナのためにバリ島に滞在していたのですが、私の服や荷物はすべて、手の届かない中国の倉庫にしまってありました。昔の生活パターンにあった物質的なものを全部捨てて、いわゆる断捨離ですが、仏教の勉強に集中するいい機会だと思ったんです。数枚のTシャツ、サロン(スカートのように腰に巻く腰布)、ビキニ、サンダル、ノートパソコンが入った小さなスーツケースを除けば、ファッションアイテムと呼べるものはほとんど持っていませんでした。それを思い出すたびに、この対照的な姿にユーモアを感じます」

──コレクションの中でお気に入りのアイテムは何でしょう。

「クラシックなボンバージャケットとメンズのロングコートが大好きで、パーカーもとても美しく仕上がっています。実際に、全部着たいくらいです」

──ルル・リーさんご自身は普段どのようなファッションがお好きですか?

「リラックスしたシンプルなスタイル、スタイリングしすぎないこと、柔らかくて楽な服、地味で呼吸するような素材が好きです。今は、オレンジのリネンのロングパンツに、クロップド丈の薄手のコットンTシャツ、小さなゴールドのチェーンを上に小さく垂らして、素足のスタイルがお気に入りです」

Moncler x Lulu Liは、2024年10月24日(火)に発売予定。

Moncler
モンクレール ジャパン
https://bit.ly/4fd5phi

Edit: Yukiko Shinto

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