2024年を生きる誰かの物語 舞台『リア王の悲劇』 | Numero TOKYO
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2024年を生きる誰かの物語 舞台『リア王の悲劇』

KAAT神奈川芸術劇場で9月に上演されるシェイクスピアの『リア王の悲劇』は、今までの『リア王』とは少し違った趣になりそうだ。

『リア王』には、クォート版『リア王の物語』とフォーリオ版(シェイクスピアによる改訂版)『リア王の悲劇』があり、日本ではこの折衷版が『リア王』として上演され続けてきた。今回はこれまでの『リア王』とは異なる、河合祥一郎による新訳のフォーリオ版を採用、日本初の舞台化を実現する。

演出は、藤田俊太郎。ミュージカルからストレートプレイまで多彩な作品を手掛け、本年2月に第31回読売演劇大賞の大賞を受賞するなど、いま最も注目される演出家が初めてのシェイクスピア作品に挑む。

演劇のキャリアをニナガワ・スタジオでスタートした藤田にとって、待ちに待った作品と言えそうだ。

主演は、蜷川幸雄作品をはじめ数多くの舞台や映像など幅広く活躍をしている木場勝己。NHKの朝の連続テレビ小説『虎に翼』でも、老練さを持った保守的な帝大教授役で存在感を見せたのが記憶に新しい。

翻訳を手掛けた河合祥一郎によれば、今回の『リア王の悲劇』は今まで「悪」として描かれてきた、リア王の長女ゴネリルと次女リーガンの言い分が前面に。勝手気ままな老王の横暴さに抵抗する姿勢も描かれるという。

演出の藤田は「老い、寛容、分断、支配、ルーツ、愛。2024年に問うべき作品の主題を多義的に豊かに、リアの存在・言葉を通して創作したいと考えています」とコメントしている。SNS上をにぎわす世代間の溝や、格差社会、毒親論議といったものは、どうやら長い間、人間社会のテーマであるらしい。

神奈川芸術劇場の今シーズンのテーマは「某」(なにがし)。ステージ上に繰り広げられる「某」の物語は、同時に自分の物語でもある。

舞台 KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『リア王の悲劇』
作/W.シェイクスピア
翻訳/河合祥一郎 (『新訳 リア王の悲劇』(角川文庫)
演出/藤田俊太郎
出演/木場勝己 水夏希 森尾舞 土井ケイト 石母田史朗 章平 原田真絢
新川將人 二反田雅澄 塚本幸男 伊原剛志 ほか
会場/KAAT神奈川芸術劇場<ホール内特設会場>
公演日程/2024年9月16日(月・祝)~10月3日(木)
チケット料金(全席指定・税込)/
一般9,500円 神奈川県民割引(在住・在勤)8,500円 U24チケット(24歳以下)4,750円 高校生以下割引1,000円 シルバー割引(満65歳以上)9,000円
チケット取扱い/
チケットかながわ https://www.kaat.jp 0570-015-415(10:00~18:00)
窓口:KAAT神奈川芸術劇場2階(10:00~18:00)
チケットぴあ イープラス ローソンチケット (Lコード:34883)
お問い合わせ/チケットかながわ 0570-015-415(10:00‐18:00)
URL/https://www.kaat.jp/d/king_lear
主催・企画制作/KAAT神奈川芸術劇場
助成/文化庁 劇場・音楽堂等における子供舞台芸術鑑賞体験支援事業

Text:Reiko Nakamura

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