アーティストLottaが描く、ソックスと巡るモノクロの妄想の世界
Numero TOKYO 5月号『モノトーンの表現者たち』にて紹介しているアーティスト、ロッタのアトリエを訪問。オリジナルキャラクター「ソックス」を通して描かれる物語の世界を覗く。Numero CLOSETでは、ソックスのフィギュアを抽選販売します。詳しくはページ末尾をご覧ください。
ロッタの作品の代表的なキャラクター、ゴースト・キャットのソックスは、彼女の頭の中で繰り広げられている物語を具現化し、時には自身を投影した自画像ともいえる。
「幼少期に見ていた古いカートゥーンアニメのモノクロの世界や、登場する動物キャラクターたちのコミカルな動きが面白くて好きで、それがインスピレーションになっています。子どもの頃から動物の動きを一コマ一コマ、パラパラ漫画のように描き出していました。今も変わらず、作品の元になる下絵はノートに4コマ漫画のようにコマ割のストーリーで描いています」
ソックスは本の中に潜り込み、ロッタが妄想する物語を自由に行き来しながら、さまざまなキャラクターに出会うが、関与はせず傍観者としてただ眺めているだけの存在。
「ソックスは口もないので喋らないし、無表情でどこを見て、何を考えているかわからない影のような空っぽの存在です。モノクロで描くことで、見る人が自由に想像できる余白が生まれます。いろいろな捉え方をしてもらいたいと思います」
「ソックスは世の中が動いている日中ではなく、ゴーストだからみんなが寝静まった夜に活動します。それに私が太陽の眩しくキラキラした感じよりも、月の優しい感じが好きなので、月を登場させたいがために夜にしているところもあるかもしれません」
ロッタという名前の由来は、ニコレット・ラーソン「LOTTA LOVE」というが音楽の嗜好もアニメと同様にどこか懐かしいクラシックなディスコナンバー。音楽が作品に影響したりするのだろうか。
「描いている時に聞いている音楽も、自分ではそこまで意識してはいませんが、完成するとすごくリンクしています。音楽にはリズムがありますが、やっぱり絵にもリズムがあって、ソックスに動きが感じられるような柔軟な線が多いのも、聞いている音楽のリズムが影響しているみたいです。ソックスは無表情な分、動きは重要なので」
そして、ソックスと仲間たちは絵画の中にとどまらず、ロッタの子供の頃に好きだったものを反映し、おもちゃ、ぬいぐるみやフィギュアになって飛び出していく。
「一番大きな夢の最終形は、第二のウォルト・ディズニーみたいに、テーマパークを作ることです。子供のまま、大人になってしまいました」
Photos:Ai Miwa Edit & Text :Masumi Sasaki
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