ヴィム・ヴェンダースの電子絵画と風景写真の展覧会 @中目黒「N&A Art SITE」
映画監督であり写真家でもあるヴィム・ヴェンダースの展覧会『ヴィム・ヴェンダースの透明なまなざし』が、2024年2月1日(木)から3月2日(土)まで、中目黒「N&A Art SITE」にて開催。 映画『夢の涯てまでも』(1991年)のクライマックスシーンから生み出された電子絵画作品「Electronic Paintings」、そして映画『パリ、テキサス』(1984年)ロケ時に撮影した風景写真「Written in the west」が展示される。
第76回カンヌ国際映画祭で、主演の役所広司が最優秀男優賞を受賞した最新作『PERFECT DAYS』(※)でも注目されているヴィム・ヴェンダース。映画監督としての活躍はもちろんだが、これまで写真家としても、ポンピドゥーセンター、ビルバオ・グッゲンハイム美術館、上海美術館など世界各地で展覧会が開催されてきた。
※関連記事:Numero.jp/ヴィム・ヴェンダース監督インタビュー「自分に必要なものさえ持っていればいい」(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2024年1・2月合併号掲載)
今回展示される「Electronic Paintings」シリーズは、映画『夢の涯てまでも』のクライマックスシーンから生み出された電子絵画作品。当時、最先端映像技術だったハイビジョンによって、東京のNHK編集室で制作され、そのクライマックスシーンはヴェンダースによって「夢のシークエンス」と名付けられた。
この、アナログデータをデジタルに変換する過程で、ヴェンダースは見たことのない絵のような幻影を発見。そこから俳優の写真を合成し、画像、色彩を操作しながら、当時最先端の印刷技術で出力、そして「Electronic Paintings」シリーズが生まれたという。
そのほか、映画『パリ、テキサス』のロケ時に、ヴェンダースが撮影したアメリカ中西部の風景写真「Written in the west」も展示。
これらの展示作品は、『夢の涯てまでも』のアソシエイト・プロデューサーを務めた御影雅良が、30年以上にわたり保管していたコレクションからの出展となる。また、会場では「夢のシークエンス」の制作ドキュメンタリーも上映される。
なお映画『夢の涯てまでも』は公開後、1994年に『夢の涯てまでも ディレクターズカット 4Kレストア版』(劇場公開は2015年)として再編集された。
今回、こちらのディレクターズカット版が、「恵比寿映像祭2024『月へ行く30の方法/30 Ways to Go to the Moon』」の地域連携プログラムの一環として、2月20日(火)より東京都写真美術館にて上映される。ヴェンダースが「究極のロードムービー」と称する約5時間の大作。映画も写真も、この機会にぜひ合わせて堪能してほしい。
ヴィム・ヴェンダースの透明なまなざし / Wim Wenders’s Lucid Gaze
期間/2024年2月1日(木)〜3月2日(土)
時間/12:00〜17:00 日・月・祝休 ※2月24日(土)のみ10:00〜17:00
会場/N&A Art SITE
住所/東京都目黒区上目黒1-11-6
URL/nanjo.com/wim_wenders_lucidgaze/
『夢の涯てまでも ディレクターズカット 4Kレストア版』上映
恵比寿映像祭2024『月へ行く30の方法/30 Ways to Go to the Moon』
URL/https://topmuseum.jp/contents/exhibition/movie-4809.html
Text:Hiromi Mikuni