注目のアーティスト22組が集う「六本木クロッシング2022展」開催中
東京・六本木の森美術館が3年に一度、日本の現代アートシーンを総覧する定点観測的な展覧会として実施してきた「六本木クロッシング」。第7回目となる同展が、2023年3月26日(日)まで開催中。
今回は1940年代〜1990年代生まれの日本のアーティスト22組を紹介。すでに国際的な活躍がめざましいアーティストから、今後の活躍が期待される新進気鋭のアーティストまで、創造活動の交差点(クロッシング)となる展覧会だ。
サブタイトルの「往来オーライ!」は、歴史上、異文化との交流や人の往来が繰り返され、複雑な過去を経て現在の日本には多様な人・文化が共存しているという事実を再確認しつつ、コロナ禍で途絶えてしまった人々の往来を再び取り戻したいという思いが込められているそうだ。
本展を紐解くキーワードは3つ。まずは「新たな視点で身近な事象や生活環境を考える」だ。AKI INOMATAによるビーバーにかじられた木材をもとに制作された立体作品シリーズや、コロナ禍での生活環境の変化を起点に奇想天外な未来を志向する市原えつこ、身近な環境を変容させるインスタレーションを発表する玉山拓郎、青木野枝による自然現象に想を得た大型立体作品、竹内公太が福島県の放射能汚染による立入制限区域で撮影した写真を含むインスタレーションなどが紹介される。
また「さまざまな隣人と共に生きる」というテーマでは、変わりゆく世界を見つめながら、さまざまな隣人たちを描くO JUN の絵画、失踪していた伯母と再会し、その後の姿を撮影し続けた金川晋吾によるポートレート写真、キュンチョメによるトランスジェンダーを主題とした映像作品などが紹介。ダイバーシティやLGBTQ+といった言葉の影に隠されてしまう見えにくい差異もふくめ、様々な人たちがともに暮らす社会の姿を考察する。
「日本の中の多文化性に光をあてる」としては、海外にルーツを持ちつつ日本で生活する人たちの姿に改めて光を当てることを試みている。池田宏によるアイヌの人々を主題とした映像インスタレーション、住み慣れた場所を離れる最後の時間を撮影した石内都、海路による人々の往来を主題にテキスタイルで物語を紡ぎ出す呉夏枝や、潘逸舟による移住・移転をテーマにした作品、石垣克子と伊波リンダという沖縄出身のアーティストによる作品も公開される。ぜひ、注目を。
※掲載情報は12月7日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。
「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」
会期/2022年12月1日(木)〜2023年3月26日(日)
会場/森美術館
住所/東京都港区六本木 6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 53 階
時間/10:00〜22:00 ※火曜日のみ 17:00 まで。ただし1月3日(火)、 3月21日(火・祝)は22:00まで ※入館は閉館時間の30分前まで
料金/平日:一般1,800(1,600)円、高校生・大学生1,200(1,100)円、4歳〜中学生600(500)円、65歳以上1,500(1,300)円
土日祝:一般2,000(1,800)円、高校生・大学生1,300(1,200)円、4歳〜中学生700(600)円、65歳以上1,700(1,500)円 ※()内はオンラインでの販売料金
URL/www.mori.art.museum/jp/
Text:Akane Naniwa