あなたの推しアート、見せてください! vol.7 ミュージシャン 坂本美雨
アートを所有するってどういうこと?アートを愛するクリエイターたちが見せてくれた“推しアート”から、目で楽しむだけではない、いろんな想いが見えてきた。Vol.6はミュージシャン坂本美雨の推しアートをご紹介。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2022年6月号掲載)
描いた人がそばにいてくれるような感覚で飾る
9歳からNYで育った坂本美雨の周りにはいつもアートがあった。「土地柄、美術館やギャラリーに行くのが自然な環境でした。今も娘を連れてよく美術館に行きますが、特に教育を意識してではなく、生活の一部です」。そう話す彼女の周りには、自然にアーティストも集まる。「所有している作品は友人の作品が多いです。飾っていると、その友人がそばにいてくれるような気持ちになりますね。愛猫のサバ美や私をモデルに描いてくださる機会もあり、宝物になっていますし、共同作業がインスピレーションにもなります」。アーティスト同士の共鳴が、クリエイティブな彼女の栄養にもなっているようだ。
今回紹介してくれたのはイラストレーターの前田ひさえ作品と、ディジュリドゥ(オーストラリアの先住民アボリジニの楽器)奏者で画家のGOMAの作品。「ひさえさんは一緒にお菓子もコラボレーションしている友人で、昨年の個展で購入しました。タイツ姿で猫に甘えている姿が他人とは思えなかったから(笑)。GOMAさんの作品は2019年の個展で出合ったもの。この作品がとにかく眩しく発光していて、とても惹かれました。GOMAさんは事故に遭って脳に後遺症が残り、それから絵に目覚めた人。今でも意識を失って倒れてしまうことがあるというGOMAさんにしか見えない世界を描いていて、その世界が儚くも美しいんですよね」
Photos:Ayako Masanaga Interview & Text:Sayaka Ito, Saki Shibata