長谷川祐子教授退任記念展「新しいエコロジーとアート」 | Numero TOKYO
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長谷川祐子教授退任記念展「新しいエコロジーとアート」

「新しいエコロジーとアート」をテーマに、現代におけるアーティストと研究者双方の取り組みから、エコロジカルな芸術実践に光を当てる展覧会を、東京藝術大学大学美術館およびThe 5th Floor(ともに東京・上野)にて開催。本展は、キュレーターとして国内外で活動する長谷川祐子の東京藝術大学退任を記念し企画された。

毛利悠子, Decomposition, 2021 Courtesy Project Fulfill Art Space, Taipei; mother’s tankstation, Dublin London
毛利悠子, Decomposition, 2021 Courtesy Project Fulfill Art Space, Taipei; mother’s tankstation, Dublin London

人間中心主義や過度な資本主義により、自然環境のみならず、私たちをとりまく社会や精神的環境までもが持続不可能の危機にさらされている時代である「人新世」。このような状況の中で、アーティストたちは環境を総合的にとらえた「新しいエコロジー」を調査、観察し、新しい美学を通して、人々に伝える媒介、翻訳者となる役割を担っている。

本展は、アーティストと研究者双方の取り組みから、エコロジカルな芸術実践に光を当てるというもの。金沢21世紀美術館館長であり、世界各地のビエンナーレや国際展を企画してきたキュレーター・美術批評家の長谷川祐子の、東京藝術大学教授退任記念展でもある。

場所は東京藝術大学大学美術館と、The 5th Floorの2会場。坂本龍一+YCAM InterLab、スプツニ子!、川内倫子、エレナ・トゥタッチコワらが参加し、作品ジャンルや表現も多岐にわたる。

Keiken + George Jasper Stone, Feel My Metaverse, 2019, Courtesy of Keiken
Keiken + George Jasper Stone, Feel My Metaverse, 2019, Courtesy of Keiken

感覚を通した学びにより、見るものの身体、意識や感性に働きかける「ミクロ」な視座と、データや情報証拠に基づいて私たちの世界を取り巻くリアリティを可視化する「マクロ」な視座を提示し、人々に生き方や考え方に影響を与えるアート。今後はさらに「分断された私たちを『共感』でつなぎ、動物や植物、モノなどを含む脱人間中心的な、複数のヒューマニティの可能性をさぐるもの」となると、本展ステートメントにて述べている。ポストコロナの時代に新しい考え方、生き方を模索する我々に対し、さまざまな指標やヒントを与えてくれる展示となりそうだ。

※掲載情報は6月9日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。

「新しいエコロジーとアート 長谷川祐子教授退任記念展」
会期/2022年5月28日(土)〜6月26日(日)
会場/東京藝術大学大学美術館 本館3F
東京都台東区上野公園12-8、10:00〜17:00
The 5th Floor
東京都台東区池之端3-3-9 花園アレイ5F、11:00〜18:00
開館時間/10:00〜17:00
休館日/月
料金/一般1.000円、大学生500円、高校生以下・65歳以上無料 ※The 5th Floorは無料
URL/newecology.geidai.ac.jp/

Text:Akane Naniwa

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