7周年を迎えたSEVENTEEN、4枚目フルアルバムで魅せる「新しい僕らの野望と情熱」
Numero TOKYO 7・8月合併号特装版の表紙を飾ったSEVENTEENが、4枚目のフルアルバム『Face The Sun』をリリース。オフライン&オンラインで行われたグローバル記者会見には、世界中から多くのメディアが参加した。今作は、米ビルボードチャートでも好成績を記録した9th Mini Album『Attacca』以来、約7ヶ月ぶりのカムバックだ。新たなる章の幕開けである今作を、記者会見で語られた彼らの言葉から紐解いてみよう。
デビューから7年。再契約を経てリリースするフルアルバム
2021年、13人全員で再契約をしたことで話題となったSEVENTEEN。さまざまな国籍のメンバーを抱える大人数グループにとって、再契約はひとつの大きなハードルだが、それを全員で乗り越えたとあって、SEVENTEENのファン・CARATのみならず、世界中の多くのK-POPリスナーに朗報となった。
再契約以降、9th Mini Album『Attacca』を経た初のフルアルバムということで、リーダーのS.COUPSは今の心境をこう語る。
「フルアルバムは3枚目の『An Ode』以降、約3年ぶりです。また今作は、再契約以降、初のフルアルバムということでさらに意義深いものになると思います。VERNONがWeverseに『フルアルバム4枚目を出すグループになったことが感慨深い』と書き込んでいましたが、CARATのみなさんがいたから、このように4枚のフルアルバムをリリースできました」(S.COUPS)
とはいえ、再契約までの道のりは容易ではなかった。契約更新の話し合いは、個別に勧められたのではなく、13人全員揃って事務所と議論を進めた。
「全員一緒に話し合いに入った理由は、そうでないと誤解を招いてしまったり、話が変わってしまうことがあるから。僕たちからそうお願いしたんです。事務所も僕らの意見を尊重してくれました。会社の立場としても、13人みんなと話し合うのはプレッシャーを感じることだと僕たちも知っています。でも、僕らの意見を尊重してくれたからこそ、再契約まで辿り着けたのではないかと思います」(S.COUPS)
今作には、ひとつの区切りを乗り越えた彼らの気持ちと、より大きな存在になりたいという意気込みも盛り込まれていると、MINGYUは明かす。
「『Face the Sun』は文字通り、太陽と向き合うという意味です。僕たちSEVENTEENは、この世界でとてもパワフルな唯一の存在=太陽のような存在になりたいという意気込みと野望が盛り込まれてます。そして、新しい世界に向き合おうという希望のメッセージを伝えたい。これは新しい挑戦、出発点だと思います」(MINGYU)
悩みや恐怖を乗り越えて。彼らの内面を映し出した9つの楽曲
『Face the Sun』の特徴のひとつは、全て団体曲で収録されていること。これまでたくさんの作品をリリースしてきた彼らだが、全て団体曲で構成したのは、7th Mini Album『Heng:garæ』1枚のみ。グループの楽曲制作を手がけるWOOZIによると、これは企画段階から構想していたことだという。
「SEVENTEENとしてはユニットごとのカラーも重要ですが、久しぶりのフルアルバムだし、今回は率直な内面を表現したかったので、SEVENTEEN本来の姿をお見せするためにも、全てを団体曲でやってみようと思ったんです。初期の段階では少し無謀なんじゃないかとも感じたのですが、こうしていい作品をリリースすることができてうれしく思っています」(WOOZI)
また、リリースの1ヶ月ほど前から公開されたティーザー映像も話題となった。メンバーが「I’m not SEVENTEEN anymore」とささやく動画は、CARATの間で「脱退予告なのでは?」と物議を醸し、ショートムービーのようなトレーラー映像は、暗い陰をまとっている。これは、メンバーそれぞれが抱いていた想いや悩みを象徴したもの。
「ファンの皆さんが“脱退”という言葉を使ったのは、 僕たちにとって、ある意味誇りなんです。こういう単語はセンシティブなものですが、僕たちは脱退なんてありえないので、ファンの皆さんも僕たちもこうやって気楽に言及できるのかもしれません。今作は、7周年を迎えて、僕たちそれぞれが長い間抱えていた悩みを、CARATの皆さんに率直に話したいと思いました。これまで『VERY NICE』などの楽しい曲もありましたが、グルーミーな音楽もあったりと、いろんな変化を試みてきました。C多くの人が記憶する、僕らの明るくて爽やかなイメージを表現するためには、悩みもあったんです。トレーラー映像はそれを反映しています。それに今回は、野心や野望も盛り込んで、音楽的にもヴィジュアル的にもたくさんのチャレンジをしました。今作は僕らの内面を最も表現したアルバムだと思います」(SEUNGKWAN)
JEONGHANとJUNはオフィシャルフォトに隠された、指輪のストーリーも教えてくれた。
「アルバムのバージョンによってストーリーが異なるんですが、オフィシャルフォトでメンバーが指輪をしているか、していないかによって違いがあるんです。撮影の日、僕は早く終わって先に帰る予定だったんですが、指輪の有無を間違えてしまい、結局、最後まで残って撮影し直しました(笑)。そういった部分についても、注目してもらえると面白いんじゃないかと思います」(JEONGHAN)
「指輪に関して特別な部分があります。今日はホワイトダイヤモンドの指輪をしていますが、トレイラー映像では、SEVENTEENの暗い姿を見せるためにブラックダイヤの指輪をつけました。それもご注目ください」(JUN)
タイトル曲「HOT」が象徴する、新たなる野望
「今回、最も注目していただきたいポイントは『野心と情熱』です。トレーラーで『13 Inner Shadow』という13人それぞれの恐怖を紹介する映像を公開したんですが、『Face the Sun』を通して、その恐怖を乗り越えさらに強靭な存在となった僕らの姿にご注目ください」(DINO)
DINOがそう語るように、他のメンバーも「野心」「野望」という言葉を何度も口にしている。
「アルバムのタイトルには、莫大な影響を与える太陽のように、僕たちSEVENTEENもそのような存在になりたいという意味が盛り込まれています。そしてそれぞれの影、つまり、それぞれの恐怖、悩みに打ち勝ち、太陽になるという道のりをこのアルバムで表現しました」(VERNON)
今作のタイトル曲の「HOT」は、その野心を最も表現した1曲。制作を手がけたWOOZIは、これが新しい出発地点であり、今の情熱が大量のエネルギーを放出する太陽と重ねて表現できたと説明した。メンバーのDK、WONWOO、JOSHUAも次のように語る。
「情熱的でありSEVENTEENの強いアイデンティティを持つ曲です。太陽のように燃え上がる情熱と抱負が含まれています。僕たちの道を進みながら、多くの人にいい気運を分けてあげたい。今回の活動も“HOT”に最善を尽くして頑張ります」(DK)
「いつも明るい音楽をパフォーマンスしていたSEVENTEENが、“HOT”な音楽に挑むとき、そこにどれだけの野心と情熱があるか、そこがポイントなんじゃないかと思います」(WONWOO)
「WOOZIさんが初めて曲を聞かせてくれたとき、SEVENTEENの今のエネルギーと重なると感じました。すぐにこれがタイトル曲になると思いましたし、WOOZIさんにもそう伝えました」(JOSHUA)
コンセプトは、エネルギーに満ちた力強いパフォーマンスにも表現されている。
「今回 見てくださる方々が、快感を感じられる、そういったパフォーマンスを準備しています。多くの方々が、チャレンジしやすい真似しやすい、そんな振り付けも準備しました」(HOSHI)
「パフォーマンスで最も気を遣った点は、セブンティーンの強烈なエネルギー、そしてセクシーさを感じられるように。全体的にパフォーマンスを見ていただくと、本当にエネルギッシュでありながら、サビではずっしりしていてセクシーな部分が見られると思います」(THE 8)
太陽のように大きな存在に。CARATと歩む未来
『Face the Sun』で、新たな旅を始めたSEVENTEEN。CARATと歩む“太陽”への向かう道のりには、途中、米ビルボードメインアルバムチャート「The Billboard 200」で1位を獲るという目標も含まれている。ただし、それは旅の最終地点ではない。
「1位になったときの挨拶はすでに考えてあります(笑)。もちろん1位になることもうれしいのですが、それよりも、メンバーと一緒に過ごせる時間に感謝しながら、これからも末長く一緒に健康で活動していくことが目標です」(SEUNGKWAN)
「僕はいつも歴史の中の1人になりたい、できる! 限界はないと思っています」(DINO)
「7周年を13人出迎えることがうれしいですし、7年後、14周年になっても13人全員で迎えることができれば、DINOが言うように、K-POPの歴史的なアイドルになれると思います」(JUN)
「コロナで会えない2年4ヶ月の間に、たくさんの曲をリリースしました。CARATのみなさんの前でパフォーマンスするのが楽しみです」(VERNON)
「4枚目のフルアルバムを準備する中で本当に忙しく過ごしてきました。それだけ、全世界のCARATの皆さんが驚くようなことがたくさん準備されているのでご期待ください」(S.COUPS)
「今回も、本当に一生懸命準備しました。最高に頑張ったと思います。カムバックプロモーションを通じてお伝えした文章の中で、“幸せは目的地ではなくその道のり”という文章がありますが、今作を通じてこの道のりを、CARATのみなさんと一緒に、幸せに健康に、向かっていきたいと思います」(HOSHI)
6月からソウルを皮切りに、ワールドツアーが始まる。そして11月〜12月には日本のドームツアーも予告されている彼ら。会見の最後、DKはこう締めくくった。
「これから頻繁に会える日があると思いますので、その瞬間瞬間、みなさんと幸せに過ごしたいと思います。CARATのみなさん愛しています」(DK)
Text: Miho Matsuda