杏 インタビュー「パリやニューヨーク、よく知る街も今なら新しい風景が広がるはず」 | Numero TOKYO
Interview / Post

杏 インタビュー「パリやニューヨーク、よく知る街も今なら新しい風景が広がるはず」

旬な俳優、アーティストやクリエイターが登場し、「ONとOFF」をテーマに自身のクリエイションについて語る連載「Talks」。vol.82は俳優の杏にインタビュー。

不気味でキュートなキャラクターが騒動を繰り広げる、CGアニメーション映画『アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!』。今回は、思春期を迎えた長女・ウェンズデーを心配したゴメズが、家族の絆を深めるためにドライブ旅行に出かける。前作に引き続きゴメズの妻のモーティシアの吹き替えを担当したのは女優の杏。モーティシアから学んだこと、子どもたちとの暮らしについて聞いた。

「見守り育児」のモーティシアから学んだこと

──2回目のモーティシアの吹き替えですが、リラックスして臨めましたか。

「ナレーションやアフレコは、今も緊張しますし、毎回難しさを感じるのですが、モーティシアは2回目ということもあり、楽しんで演じることができました。吹き替えが終わって、スタッフの方に『また続編もありますか?』と聞いてしまったんです。アダムス・ファミリーの一家が、今後いろんな問題に取り組んでいく様子を見たいと思って」

──今作も、長女ウェンズデーが思春期を迎え、アイデンティティについて悩んだり、その時期ならでは問題がありましたね。

「ゴメズは、何か行動で問題解決しようとするので家族旅行を計画したりして、ウェンズデーから『ウザい』と言われちゃうんですが、モーティシアは見守り育児なんですよ。だから、この夫婦はバランスが取れているんだと思います。作品は全編ぶっ飛んだコメディなんですが、私も子どもたちが大きくなったらそういう場面が増えていくんだろうなと感じました」

──モーティシアから学ぶことがあったんですね。

「モーティシアもウェンズデーに対して愛情があるから、一緒に過ごしたいし同じことを共有したいけれど、ウェンズデーの気持ちもわかるから、優しく見守るということができる人だと思うんです。うちの子たちはまだ小さいこともあって、食べ物を手づかみしたりすると『それはどうなの?』と止めちゃうこともあるんです。きっと、手で食べる時期も一瞬だし、きっと温度や質感を感じてるんだろうなと思うんですけど、でもやっぱり行儀が悪い! と思ってしまったり。見守りながら、子どもたちのできることを伸ばしていくことも大事ですよね」

──お子さんが思春期を迎えたらと想像することはありますか。

「まだ小さいので、ひとりで外に出たこともないんです。そのうち自分の意志で自由に外を歩いたり、私の知らない人間関係が生まれたりするんでしょうけど、まだ想像もつきません。育児としては、きっと楽になる部分もあるし、反対に心配ごとも増えるだろうし。段階によって悩みやハードルも変わってくるのかなと」

──杏さんご自身の思春期の思い出は?

「15歳から仕事を始めて社会との接点があったので、風穴のようなものがあったんです。だから、自分の殻を破る一歩手前の葛藤のようなものは経験せずに来てしまいました」

子どもたちと一緒なら、知ってる街にも新しい風景が広がっている

──子どもが親離れをしようとするときに、「家族旅行しよう!」というゴメズのアイデアについては、どう感じましたか。

「家族旅行に気兼ねなく出掛けられるのは、ウェンズデーくらいの年齢がギリギリなのかもしれませんね。部活が始まり学校生活が忙しくなったり、家族と一緒よりも友達と遊ぶほうが面白くなるだろうから、家族旅行もできるうちにしておくのがいいですよね。みんなが大人になっても、たまには集まろうよと出かけるのも素敵です」

──本作はアメリカ横断旅行ということでしたが、アメリカで好きなスポットは?

「コレクションでもよく訪れているニューヨークです。以前、コロナ前に子どもたちを連れてパリに行ったんです。その時は、公園や子ども向けの施設を巡ったり、それまで見ていたパリとは全く違う風景が広がっていました。きっと、ニューヨークも子どもたちと一緒なら違う街のように感じるんだろうなと思うと楽しみです」

──アメリカ以外で、子どもたちと一緒に旅したい場所は?

「世界中どこでも。友人がフィンランドに住んでいるんですが、フィンランドは自分たちを森の民と呼ぶくらい、自然と暮らしが密接に関わっている場所なので、もう一度子どもを連れて訪れたい場所です」

多忙な暮らしの中で、美容とファッションの大切さを実感

──ちなみに普段の暮らしの中で、杏さんとお子さんたちとの意見が分かれたときは、どうやって説得しますか。

「双子と1歳下にひとり、全部で3人いるんですが、子どもたちが団結すると数の上で3対1となって私が負けちゃうんです。1対1なら話を聞いてくれるのに、3人だと修学旅行の夜に怒られる生徒みたいに『はぁ〜い』と、これは聞いちゃいないな、ということもあって。だから、デートじゃないですけど、定期的に1人ずつと出かける時間を設けるようにしています。ちょっとお茶するだけなんですけどね。以前、他の子を見てもらって、1日3往復したことがあったんです。私はすごく疲れたんですけど、子どもたちは嬉しそうでした。双子で生まれて、3人目は上に兄弟がいたから、生まれた段階から親を独占したことがないから、1対1という環境が嬉しかったみたいです。2人で話す機会は大事だなと思っているので、機会があったら、1人と1泊ずつというのもいつかやってみたいと思いますね。ただ、1泊を3回となると難しいですけど(笑)」

──この先、3人が団結したまま思春期を迎えると大変そうですね。

「どうでしょうね。3人いると彼らの中に社会が生まれるんですよ。今も、ひとりに何かあったとき、他の子からあの時こうだったんだよと話してくれることがあるので、3人でフォローし合ってくれるんじゃないかと期待しています」

──小さい子どもをもつ、多くの方が悩んでいる「寝かしつけ」で、杏さんの必殺技は?

「全消灯して、光が入り込む余地を与えないことです。読み聞かせのために照明を使うと、その光を頼りに遊んでしまうから、光量を調整できるKindleは助かりました」

──本作で、モーティシアはいつまでも美しさを保っていますが、杏さんが美容に関して意識していることはありますか。

「30代半ばに差し掛かり、何もしなかったらそれに見合った状態になるんだなと感じています。何かしらアクションは必要だなと、以前よりは美容に思いを馳せることが多くなりました。運動も、犬の散歩や、子どもたちが寝た後にリングフィットやボクシングのソフトをしたり。本当はプールやジムにも行きたいとは思うんですが、今はハードルが高くて。服装についても、子どもたちは、私がきれいにしていると喜んで感想を言ってきたりするんです。抱っこの回数や荷物も減ってきたので、やっとファッションも楽しめるかなと。実用的にも、公園で子どもたちはパーっと散るので、私が目立つ色の服を着ていないと、子どもたちが私を見失うんです。だから、華やかなものを身につけるのことは必要だし、子どもたちも喜ぶし、私も気分が上がりますよね」

──最後に、今作の見どころを教えてください。

「40年以上前の洋楽ポップスが効果的に使われていたりと、小さなお子さんから大人まで、いろんな世代の方が楽しめるエンターテインメントに仕上がっています。アダムス・ファミリーはぶっ飛んだ家族ですが、思春期の問題や、家族との衝突は万国共通で、別世界のことではないと感じる部分があるので、ぜひアダムス一家と一緒に旅するような気持ちで映画館にお越しくださると嬉しいです」

アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!

思春期を迎え、家族の食卓に顔を見せない長女ウェンズデーを心配したゴメズが、妻のモーティシア、ウェンズデー、パグズリー、フェスターおじさん、執事のラーチ、ハンドとペットのキティを連れて、家族の絆を深めるドライブ旅行をすることに。そこで待ち受ける事件とは…?

監督/グレッグ・ティアナン、コンラッド・ヴァーノン
キャスト/オスカー・アイザック、シャーリーズ・セロン、クロエ・グレース・モニッツ、ニック・クロール、ジャボン・“ワナ”・ウォルトン、ウォーレス・ショーン、スヌープ・ドッグ、ベッド・ミドラー、ビル・ヘイダー
日本語吹き替え版キャスト/生瀬勝久、杏、二階堂ふみ、堀江瞬、秋山竜次(ロバート)、京田尚子、大塚明夫
1月28日(金)ロードショー
© 2021 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.
https://www.universalpictures.jp/micro/addams-family-2

Photos:Ayako Masunaga Interview & Text:Miho Matsuda Edit:Chiho Inoue

Profile

Anne モデル、女優。1986年、東京都生まれ。2001年にモデルデビューし、ニューヨークやパリ、東京などのプレタポルテコレクションで活躍。2007年に女優デビュー。映画『プラチナデータ』『真夏の方程式』『オケ老人!』、NHK大河ドラマ『天地人』『平清盛』、NHK連続テレビ小説『ごちそうさん』『幽かな彼女』『花咲舞が黙ってない』『デート〜恋とはどんなものかしら〜』『偽装不倫』『日本沈没-希望のひと-』などに出演。2022年は映画『とんび』『鹿の王 ユナと約束の旅』が公開予定。

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