パン野ゆりのぶらりパン歩き パン好きの間で話題!「TENERA BREAD & MEALS」へ
おいしいパンを求めて世界中どこまでも! パン愛にあふれたモデル山野ゆり改め“パン野ゆり”が、話題の新店から知る人ぞ知る逸品まで、津々浦々めくるめくパンの世界を独自の視点でお届け。2020年8月白山にオープンした、TENERA BREAD & MEALS(テネラ ブレッド&ミールズ)で出合った絶品パンを紹介。
こんにちは。食欲の秋。パンをもっとよ! パン野ゆりです。
今回は今パン好きの間で「テネラ行った? 行ってない?」が口癖になりつつある、噂のテネラ ブレッド&ミールズへお邪魔しました。
テネラのパン、佇まいがカッコいい。
白山から徒歩10分。大通り沿いにふいに現れるのがテネラブレッドアンドミールズ。
店内に足を踏み入れるやパンの存在感がイカつい‼︎ なにより一目見ただけでハッキリとわかる濃いめな焼色に惚れ惚れ。
オーナーの田中仁人さん。前職はファッションデザイナーという経歴の持ち主。今ではテネラの長であり、毎日20種類以上のパンを焼かれているのですが華麗な転身のきっかけを伺ってみました。
田中さん「僕はファッションデザイナーをやっていたのですが、元々ライフスタイル全体を提案したいと常日頃考えていたんです。より多くの人により大きな幸せを与えるには……?ファッションだけに縛られると、例えば安価だと満足感がなかったり、高い物だと誰でも手を出せなかったり。そんな中で閃いたのがパンだったんです。パン好きでよくパン巡りをしていたのですが、どんなに高いパンでもそんなにお金がなくても買えるじゃないですか。生活を豊富にする為ライフスタイルを底上げするのにパンというキーワードに辿り着きました」
パン野「なるほどー‼︎ そういう観点からパン屋さんをオープンされたんですね。確かにファッションとライフスタイルは切っても切れない関係性ですもんね」
田中さん「そうなんです。なので僕の場合はライフスタイルの部分もしっかりと学びたかったのでお料理も学べるパーラー江古田で修行をしました。その時に出会った料理家のアリスさんが今のお店でミールズの担当をしてくれているんです」
料理家のアリスさん。
アリスさんのサンドイッチはギュウギュウにフィリングが詰まっていて幸せの宝庫。
新作のパンなども二人三脚で作っているお二人。それにしてもテネラのパンって無骨でオブジェのような存在感……!焼色が濃く、見るからに力強い。そんなパンたちの個性のお話も伺ってみました。
田中さん「うちのパンは全て全粒粉をオリジナルの石臼で挽いて自分の好みの荒さにしています。荒めにすると小麦の香りがたつんですよ。自分で挽いているので粒度を調整できるのが良いですよね」
オリジナルの石臼。これで毎日小麦を挽いています。
田中さん「僕が福岡出身なので、使用している小麦は福岡の無農薬の小麦粉です。福岡小麦は香りが強いのが特徴。地産地消ではないですが、やはり福岡出身なので福岡を盛り上げたい!という気持ちがあります」
パン野「福岡らしい明太フランスが並んでいるのもそうですよね……! 福岡県産小麦粉って初めて聞きました。全粒粉のパンも個人的に大好きです。こちらはブレンドですか?」
田中さん「そうですね。小麦粉と全粒粉とブレンドして、パンによって配合を変えています。全粒粉100%にすると重たくクセが強過ぎてしまうので、できるだけ多くの食卓に合うような配合を心がけています」
パン野「生活に馴染むパンですね!全粒粉の良さとはなんでしょうか?」
田中さん「全粒粉はコクや雑味、奥深さが堪能出来ますよね。香りが強くて、身体にも良いし、何より美味しいです」
店内には美味しそうな香りが充満!あれやこれや目移りしてしまう。
パンの種類は全部で20数種類ですが、とにもかくにもハード系が美しい……!中でも私がチョイスした何種類かのパンを少しだけご紹介します。
まずは田中さんのオススメでもあり私も大好物な明太フランス。
黒くなった両お尻が美味しそう過ぎる……!
田中さん「あえて濃いめに焼くのがテネラ流です。焦げるか焦げないかの攻めた焼き加減が小麦の甘味を感じるんです。焦げてるけど焦げてない、というギリギリを攻める、ビビらずに焼くのがキモです(笑)」
海外では焼き色が濃いバゲットの方が人気だったり、焼きが甘いパンは夕方まで残っているのをよく見かけたんですが、日本だと逆にバゲットの焼きが強くてクレーム!なんてことも耳にしたことがあります。田中さんの作品たちはそのギリギリを攻めた本当に絶妙な焼き加減なんですよ。
実際一口パクッといくやいなや。
明太フランス、うーーーまーーー。
なんてカリッとクリスピーなお尻‼︎
焼きが強いのでハードな食感が増す+香りが確かに強い。噛めば噛むほど小麦の本来の甘味を感じるし、明太子フィリングはコレデモカ!ってほどたっぷり。ハードな反面なんてジューシー。これ焼き直しても強烈だろう……。
中を確かめたくなってしまうほどの明太フィーバーとパンの旨さに驚愕しつつ、ペロペロと一本丸々食べてしまいました。
全粒粉で焼きが強いとこんなにパンって力強いんだ……!明太子に負けないパンの印象。すごい。
お次はサンドイッチ。
常に旬な食材を使う事を意識しているので、田中さん曰くサンドイッチもオススメだとか。
種類は4種類ほどあったのですが、私が選んだのは三種のキノコの黒酢キャラメリゼと鷄コンフィのサンド。
パン生地は軽くてムチムチなんですが、歯切れが良くて食べやすい!明太フランスよろしく、アリスさんの大盤振る舞いがサンドイッチでも炸裂。もう、これ、キノコの海‼︎
海へ入水する前。
フィリングが本当に大満足……。たっぷり過ぎるほどたっぷり、パンは割と軽めなのでお料理をメインにしっかり食べている気分だ。
THEご馳走サンドイッチ。
黒酢でキャラメリゼされた3種類のキノコが食欲ない時でも食べれそうな勢い。自家製の鷄コンフィはソフトでスムーキーでここに思いっきり顔を埋めてみたいし、ナッツの食感もアクセントになってご機嫌です。食べる場所によって味わいがグラデーションの様に変化。
美味しいなぁ。
そして……お客さんがほぼ100%の確率でお買い上げしていたクロワッサン!
見るからにいつも目にしているクロワッサンとは風貌が異なります。そして一口食べると驚き!層が細かくザックザクな食感!
全粒粉の味わいが深く、香りも抜群。まるで香りを食べている様です。さらに噛み締めるほどにバターを感じては鼻から深呼吸・スーハースーハー(たまりません)。
「焦げるか焦げないかのギリギリを攻める」というポリシーから生まれた「最高の歯切れの良さ」と「たまらない香り高さ」を併せ持つ、ザックリ系クロワッサンが誕生。
何食べても美味しい……。
「大勢の人に幸せが届くパン。ファッションを含め豊かなライフスタイル全体を提案していきたい」という田中さんの想い、パンに乗って確実に届いてきた……!
何気ない朝や時間のないお昼どき、なんだかやる気の出ない夕食にも、テネラのパンを食べることで生活の一瞬が豊かに、笑顔になれること間違いなし。
ぜひぜひ皆さまも足を運んでみて!
TENERA BREAD & MEALS
住所/東京都文京区白山4丁目37−37
定休日/水、金、第3木 ※不定休
営業時間/10:00〜売り切れ次第
URL/tenera.jp/
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Photos: Tomo Ishiwatari Text: Yuri Panno Edit: Yukiko Shinto