ハッピーに生きる鍵を握る、腸の菌活
菌活=腸のためだけにあらず。デリケートゾーンや肌とも関係が深く、美ボディには全身菌活がマスト! さらに、恋も仕事も“菌”が命運を握っている……というのは嘘のような本当の話。免疫、美肌、ダイエット、メンタルなどあらゆる側面を司る腸活のススメ。(『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2020年11月号掲載)
第二の脳、とも呼ばれる「腸」。ハッピーに生きる鍵はここにあり!
「全身で細菌の数が一番多いのは大腸。やはり、菌活の主役は大腸です」(陰山先生)。そもそも腸の主な働きとは、消化と吸収。必要な栄養素を体内に摂取し、必要なものをデトックスする……それがスムーズに働かないと、肌荒れやメンタルの低下、風邪やアレルギーのもとに。
「腸内には100兆個もの菌が生息しています。善玉菌、日和見菌、悪玉菌のバランスも大切ですが、“菌の多様性”が大事というのが最新の見解です」(陰山先生)。特定のサプリやヨーグルトなどに頼りすぎず、食物繊維や発酵食品たっぷりの食事や適度な運動と睡眠、自律神経が整ったライフスタイルがポイントに。「菌活には個人戦略も必要。オーダーメイドの菌活をするなら腸内フローラ検査も検討して」
自分の腸内環境がわかる、腸内フローラ検査
細菌の多様性やバランスは、腸内フローラ検査で調べられる。便中に含まれる腸内細菌の遺伝子(DNA)を取り出し分析する検査。アトピー、アレルギー、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、不妊、自閉症、ストレス耐性など各種疾患リスク判定もできる。解析まで約一カ月。¥30,000。
腸活にお役立ち! お手軽サプリメント
菌種が多様なものや、代謝産物そのものを含むサプリが◎。
乳酸菌生産物質がダイレクトに腸に作用するから、体感が早いのがメリット。1日小さじ1杯。エッセンス 50ml ¥5,980/KINS(キンズ)
大豆由来の乳酸菌を発酵した代謝産物を含むタブレット。発酵マメ子[30粒入り]¥2,709/Flora Plus(フローラプラス)
国産植物152種の酵母に植物性乳酸菌をプラス。フローラバランスEXグランプロ[30包入り]¥8,600/Esthe Pro Labo(エステプロ・ラボ)
腸にまつわるQ&A
便秘ってそんなによくないの?
「便秘で悪玉菌が増えると、悪玉菌が代謝する毒素が血液から全身へ巡って、吹き出物や毛穴が開く原因になります」(下川先生)。腸内環境を整える食事やサプリ、腸の周りを揉む、適度な運動などで、便秘はこまめに解消を!
なぜ菌活が免疫アップにいいの?
「免疫の7割は腸が担っています。変異したウイルスに晒されても、自分の体に自然免疫があれば罹りにくく重症化しにくい。自分の体を守るには、多様性のある腸内環境が大事。発酵食品などを積極的に摂りましょう」(陰山先生)
痩せ菌って増やせるの?
「腸内のデブ菌・痩せ菌のバランスは、生活習慣で変えられます。シンバイオティクスの食生活や適度な運動などを続けましょう」(下川先生)。糖や脂肪を溜め込む菌、肥満を抑える菌の多い少ないは、腸内フローラ検査で調べることもできる。
2種類の“痩せ菌”の乳酸菌配合のタブレット。口臭予防にも。プロおやつ[30錠入り]¥7,500(医道メディカル)
抗生物質で腸内環境が変わるって本当?
「本当です。抗生物質はいい菌も悪い菌も殺してしまうので、長期投与すると腸内フローラは激変します。1、2カ月でほぼ元通りになりますが約5%は戻らないとも。必要な時以外、むやみな投与は避けるべきです」(陰山先生)
賢い人の腸内フローラを移植したら賢くなる!?
「賢い人の菌、運動神経のいい人の菌、という個々の菌の特性よりも、腸内環境をよくすることが肝心。集中力や記憶力、ストレス耐性が高まるため、勉強でも競技でもパフォーマンスが上がると考えられます」(陰山先生)
悪玉菌が喜ぶ食事って?
特に気を付けたいのは人工甘味料だそう! 「人工甘味料は善玉菌の大敵。悪玉菌が増えやすい環境になるので、控えるべき。赤身肉も悪玉菌のエサになりやすい食材ですが、栄養素も多いのであまり気にしないでOK」(下川先生)
ヨーグルトはやっぱり菌活の主役?
「やみくもに菌体を摂っても、自分に合っていなければ効果は少ないです」(陰山先生)。腸活目的でヨーグルトを摂るなら、いろいろ試して体調の変化から菌との相性をみるべし。死菌は善玉菌のエサになるので無駄にはならない。乳酸菌マッチング検査(前頁)なら自分に合う乳酸菌が判定可能。
シンバイオティクスって何?
乳酸菌やビフィズス菌など、発酵食品などから菌そのものを摂取する“プロバイオティクス”と、善玉菌のエサを摂取する“プレバイオティクス”を組み合わせること。腸にとって理想的な栄養源となる。プロとプレの両方を摂取する、シンバイオティクスな食生活を心がけて。
人生が変わる菌活
Photos: John Chan Illustration: Masami Edit & Text: Naho Sasaki