Art / Feature
時間を映し出すアートの地平 【2】オラファー・エリアソン
傷心からの復活、平和への祈り、人類と地球の問題に至るまで──。色とりどりのアプローチで時間を捉え、気付きへと誘うアートの力。みずみずしく奥深い“時間の形”を見せてくれる作品とは。『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2020年7・8月合併号の特集より、一部抜粋してご紹介。
オラファー・エリアソン、ミニック・ロージング『アイス・ウォッチ』(2014年) ロンドン、テムズ川南岸のテート・モダン周辺での展示風景(2018年) Photo: Charlie Forgham-Bailey Courtesy of the artist; neugerriemschneider, Berlin; Tanya Bonakdar Gallery, New York / Los Angeles © 2014 Olafur Eliasson
オラファー・エリアソン
『アイス・ウォッチ』
溶けゆく氷塊と残された時間
霧の彫刻や人工の滝など、自然現象を用いた作品で注目を集めるオラファー・エリアソン。地質学者のミニック・ロージングとの協働による『アイス・ウォッチ』は、氷河から切り出した氷の塊を都市の広場などに設置するプロジェクト。「人々が実際に手で触れることで気候変動の影響を感じ、行動を起こすことを願います」(小誌4月号に寄せたコメントより)。この瞬間にも変わりゆく地球環境を前に、アートができること。糸口を探る試みが、ここにある。
Edit & Text : Keita Fukasawa
Profile
オラファー・エリアソンOlafur Eliasson
1967年、デンマーク・コペンハーゲン生まれ。光や水、霧などの自然現象を新しい知覚体験として再現する作品を発表。非電化地域の人々に向けた携帯式ソーラーライト『リトルサン』など、社会的課題の取り組みにも力を注ぐ。東京都現代美術館「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」が開催中(〜9/27。最新情報は同館サイトへ)。(Photo: Brigitte Lacombe, 2016 © 2016 Olafur Eliasson)