アート×ライフ:それぞれのかたち vol.2 ギャル電
「表現することは生きること」だと人は言う。それって本当? 領域や手法の異なる4組に、新たな表現に懸ける思いを質問。それぞれの形で浮かび上がる、“アートな生き方”の楽しみとは。(『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2020年6月号掲載)
ギャル電
電子工作を実装した、渋谷ギャルの最新形態
21世紀のTOKYOに、電子工作をするギャルが現れた! レーザーカッターで部品を切り出し、電子回路にプログラムを走らせ、光るLEDデバイスを自作して夜の渋谷へ繰り出す“きょうこ”と“まお”。それにしても何故、ギャルと電子工作なのか。「出落ち感が半端ないですよね」と笑う二人に、そのいきさつを聞いた。
きょうこ「私はポールダンスをやっていて、衣装や小道具作りから電子工作に興味を持ちました。そこで気付いたのが『日本のストリートには電子工作が足りない』ということ。海外だと、パリピがクラブで目立つために光るアクセサリーを自作するのは当たり前。そんなときにまおと出会って、2016年にギャル電を結成しました」
まお「私はギャルをやりながら工学系の大学に通っています。テクノロジーを使って自分が格好いいと思うものを作ったら、絶対に面白いと思って。ちょうどIoTに注目が集まっていた頃で、うちらもデコトラみたいな電飾で光り方を制御できるキャップを作ったんです。でも地下のクラブに行ったらWi-Fiがつながらなかった。だったら技術的にショボくても、ビカビカして誰もが格好いいもののほうがいいかな、と」
彼女たちいわく、ギャルとは「人の意見を気にせず、自分がいいと思うものを推していく強い女の子」。その生き方を楽しむための武器が、電子工作というわけだ。
きょうこ「見た目のせいか、難しいものを作ると『誰かに作ってもらったんでしょ?』と言われる(怒)。だからこそ、女子中学生が友達にミサンガを作ってあげる感覚で“ストリート電子工作”の楽しさを広めたい。それがうちらのリアルだから」
まお「あと、日本のギャル文化はネオギャルで止まっているので、新しいギャル像を確立したい。他にも仲間が増えて、“光り物を着けてる女子=ギャル電”って呼ばれるようになったら、すごくワクワクする。その日を目指して、サバイブしていきたいですね」
Interview, Edit & Text : Keita Fukasawa