パン野ゆりのぶらりパン歩き 鳥取にて…「もう言葉がでません」! | Numero TOKYO
Life / Bakery Hopping

パン野ゆりのぶらりパン歩き 鳥取にて…「もう言葉がでません」!

美味しいパンを求めて世界中どこまでも! パン愛にあふれたモデル山野ゆり改め“パン野ゆり”が、話題の新店から知る人ぞ知る逸品まで、津々浦々めくるめくパンの世界を独自の視点でお届け。なんと鳥取県に高級食パン専門店が誕生! その名も「もう言葉がでません」!? その噂を確かめるべく、パン野ゆりがはるばる鳥取まで飛びました。

こんにちは! いつもパンの事を考えている、あるいは食べている、もしくは嗅いでいる。
パン野ゆりです!

大阪の記事に続き、今回も地方のパン屋さんをピックアップ!
このド迫力なネーミング…
どこかで…?

以前、私の第一回目の連載記事にて。食パン専門店「考えた人すごいわ」をお届けしたのですが、覚えていますでしょうか(笑)?

ハッとする驚くようなネーミングと独創的な耳に残る言葉遊び…名物ベーカリープロデューサーの岸本拓也さんが鳥取に食パン専門店を作ったぞ!!!ということでオープンと同時に鳥取へ行ってきました! ワクワク。

貫禄…!!!

岸本拓也さんは日本中にヘンテコな名前のパン屋さんを作る天才。(シンプルに伝えようとすると、1ミリも間違いなく本当にそうなんです!笑)。

「考えた人すごいわ」「わたし入籍します」「なま剛力スタジアム」「うん間違いないっ!」などなど…!パン屋さんのネーミングとは思えないその奇抜なセンス。「パン屋で街を元気にする」というコンセプトのもと、日々アイディアが生まれているのだそう。

岸本さん「僕はパン屋さんという決まった角度から物事を捉えたくないんだよね。音楽だったり、ファッションだったり、旅だったり…さまざまな目線からパン屋さんをデザインしたいんだ。自分がどんなパン屋さんに行きたいか? そんな風に考えているかな!」

取材中も大きく笑う岸本さん。岸本さんの笑顔にはこちらまでつられて笑ってしまうようなマジックがあります。

岸本さん「でもまぁ一番は…鳥取の皆さんに愛されるパン屋さんになって欲しいなと思っています」

貫禄のあるド派手なファッションでこんなにピュアな言葉を言いのける岸本さん。素敵だ。

オープン初日は平日の金曜日。それにも関わらず朝から長蛇の列、わずか1時間で整理券はソールドアウト。その日のパンはすべて完売…!(すでに鳥取から愛されている♡)

近所の方たちがお店に訪れては「え!? もう売り切れちゃったの!?」と驚きを隠せません。
しばらく行列は必須かも? 確実に手に入れたい方は平日のオープン前に並ぶことをオススメします。

試食

完売で手に入らないお客様に向け、試食のパンを配っていました。パンの種類は二種類。スタンダードな「なまの口どけ」と、レーズンが入った「まぼろし」。

試食のパン「なまの口どけ」を一ついただいてみたのですが‥まず、香りの立ち方が凄まじい!!!(パン屋さんの前でいただいているので「そりゃそうだ」と感じる方も多いかもしれませんが、まったく違うのです! この小さな四角形のカタマリから、甘くて鼻の奥をくすぐるような魅惑の香りが立ち込めているのです)

スーハースーハー。スースー、ハー。

一口かじると、その香りが口の中で具現化していく!

この甘み…優しさ! おいしゅう…!

2口で食べ終えてしまった私は、とにかく早く家に帰ってパンをむしゃむしゃ頬張りたい! そんな気持ちで直ぐに空港へ向かいました(実話)。

ドン!

家に帰り早速食パン観察♡

~食パン説明書~
「厳選された小麦粉と無添加の生クリーム、豊富なミネラルの雪塩、こちらも無添加の良質な国産バターを使用したこだわりの食材達。ミルクとの相性も抜群の赤糖をブレンドして優しい甘みに仕上げています」

この愛おしい濃いベージュなカタマリ…。
見ているだけで時間があっという間に過ぎてしまいますね。早速スライスしてみよう。

見て! パンの耳! うす!

袋を開けた途端に立ち込めるパンの芳しい香り…! 深呼吸が止まりません! 目を閉じると鳥取のパン屋さんの前にいるような錯覚さえ覚えます(笑)。

そしてこのパンの耳!!!
見て下さい!ウ・ス・イ!写真右側の耳の薄さわかりますか?パンの耳が苦手なお子様でも、きっとパンの耳と認識せずに食べてしまう薄さです。

食パンの寄りの中の寄り

味わいとしては決して派手なものではなく、食パンという概念通り、素朴な「ホッ♡」とする美味しさなのですが、明らかなポテンシャルの高さに圧倒されるという始末。なぜこんな丁寧で気品に満ち溢れた食パンが焼けるんだろう…?

さらに、手に持ったときの手触りが良すぎる!!
ほんのり冷たく、しっとりと水分を含んだ生地はまるで赤ちゃんの肌のように滑らかで純潔。頬擦りしたくなるようなパン…久しぶりだなぁ♡

「なまの口どけ」というネーミング通り、まずはそのまま何も付けずに食べるのをオススメしますが、もちろんトーストしてもGOOD!

きめ細やかな甘み、上品な口どけ…!

咀嚼していくと、どんどん甘みが増していきます。五感を舌に集中させていると、ついつい満足気に目をつぶっている自分…(笑)。

うっとり♡…もう、言葉がでません…♡

次の日食べたら甘さが少し落ち着いてる?気がしました。これはこれでサンドイッチにも良さそうだし、個人的にはこのパンで贅沢にフレンチトーストを作ってみたい!(このフワフワでしっとりとしたクラムをアパレイユに浸しまくった挙句、強火で両面をサッサッと焼き上げたら、ちょっと半生な感じでアイスクリームを添えて食べたい。シナモンもかけようかな。)

プロデューサー・岸本さんのお店ならでは! ド派手ショッパーも健在♡
もはや言葉がいらない食パン…鳥取に上陸!

高級食パン専門店「もう言葉がでません」

住所/鳥取県鳥取市吉成779-37
TEL/0857-51-0821
営業時間/10:00~18:00
定休日/月
※パンがなくなり次第終了

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Photos & Text: Yuri Panno Edit: Yukiko Shinto

Profile

パン野ゆりYuri Panno パンコーディネーター/パンシェルジュ。日本全国、訪れたベーカリーは数えきれないほど。年に数回は海外へも足を運び、パンを独自の視点で分析。最近では、トークショーや「世田谷パン祭り」でワークショップを開催するなど、活躍の場を広げている。モデル山野ゆりとしては、雑誌や広告、CMなど幅広く活躍中。モデルという職業を活かし、太らないパンとの付き合い方も考案中。Instagram: @yuri.yamano

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