あの人がナビゲートする、知る喜び vol.1ファッション
「それ、いいね!」という言葉が飛び出すのは、知らないことを知ったとき。その道のプロでもファンとしてでも、時代の空気感を敏感に、意識的にキャッチしている人たちに聞いた、知ってうれしい深堀りカルチャーあれこれ。vol.1は、ファッションライター・栗山愛以が真似したくなる「ファッション」。(『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2019年12月号掲載)
「自分らしく」「今」のファッションを楽しむということ
「半年に一度、パリコレクションを取材しています。皆さん気合い十分な格好ですが、全身ブランドで固めた装いには、よっぽど着こなしていない限り興味を持てません。それよりも、独自のセンスが光る人たちに目が行ってしまうんです。でも、ただ自分の好みを貫き通せばいいというものでもありません。時代の空気をわかった上でないと、ただの変な人とみなされるから。今回挙げた3人は、自分のスタイルに『今』が加味されていると思います。例えばロッタ・ヴォルコヴァはヴェトモンが一世を風靡していた頃はどっぷりそうした見た目でしたが、だんだん身を引いて、今ではガーリーなブランドに傾倒している様子。ベースは同じだけど、最終的な味付けを時代の流れとともに変化させているんです。自分のスタイルや好みを大切にしつつ、時代のムードを見極めて着地点を定めるやり方が、着る人に馴染むし、より魅力的に映るのではないでしょうか。だからこそPZオパスクサティットのように楽しみたいですね!」
Lot ta Volkova(ロッタ・ヴォルコヴァ)
スタイリスト
モードを予見! 一挙一動を見逃せない
うすうすその名は知っていたが、2016年春夏に初めてショーを見てパワフルさに圧倒されたのがヴェトモン。そのスタイリングを手がけているということで彼女の動向を追うようになった。エッジィなスタイリングだけではなく、彼女自身がどのような服装をしているかが次のモードを予見しているような気がして目が離せない。
PZ Opassuksatit(PZオパスクサティット)
アートディレクター
ヴェトモンを支えたユーモアあふれる発想
昨年までヴェトモンでアートディレクションを手がけていたことを知り、昨年パリコレ期間中に行われた、PZtoday名義でIDEA BOOKSから出版した彼女の書籍のパーティに参加。ファッションにも表れているユーモアあふれるダサさギリギリの発想と、それを楽しんでいる姿に惹かれる。バレンシアガなどを独自のバランスで着こなす。
Nina Le Diabat(ニナ・ル・ディアバット)
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パンク魂を秘めたヘアメイク
今年2月、パリで行われたY/PROJECTのショー会場で黒髪に緑の眉、というヘアメイクに目を奪われた。黒ずくめのパンキッシュな格好だったが、ゴリゴリ方向ではない絶妙な塩梅。眉に差し色を持ってくるの新しい! と、帰国後に早速カラフルな眉マスカラを取り揃えて真似した次第。今はヘアの襟足のみブルー。やり過ぎないのが◎
Illustrations:Kaoll Text:Itoi Kuriyama Edit:Chiho Inoue, Sayaka Ito, Mariko Kimbara