アニエスベーのカーディガンプレッションと川内倫子さんのこと | Numero TOKYO
Art / Editor’s Post

アニエスベーのカーディガンプレッションと川内倫子さんのこと

アニエスベー ギャラリー ブティックにて本日から開催中の川内倫子さんの写真展“When I was seven.”の内覧へお邪魔してきました。 カーディガンプレッション誕生40周年(!)とのことで、川内さんがカーディガンプレッションをテーマに撮り下ろした写真を青山店2Fのギャラリーで展示しています(〜10月20日まで)。被写体はご自身のお子さんを含む子どもたち。「子どもでいることは不自由で退屈だった」という幼少期の自分を被写体に重ねながら、現在の穏やかで愛おしい日常が切り取られています。

我が子を撮っているのにベタベタにならない距離感がさすがで、ご本人にお話を伺ってみると「意識的にそうならない写真を選んだけれど1枚だけ、悩みながらも展示したカットがある」とのこと。その1枚は会場のあるところに少しだけ控えめに飾られていました。どんな写真なのかは、ご自身の目でぜひ確かめてみてください
我が子を撮っているのにベタベタにならない距離感がさすがで、ご本人にお話を伺ってみると「意識的にそうならない写真を選んだけれど1枚だけ、悩みながらも展示したカットがある」とのこと。その1枚は会場のあるところに少しだけ控えめに飾られていました。どんな写真なのかは、ご自身の目でぜひ確かめてみてください

詳しくは写真と合わせてステートメントをぜひ読んでほしいのですが、川内さんは「時間がかかったけど、生きていてよかったと思っているよ、と、息苦しかった幼い自分に向かって伝えたい気持ちになった」と述べられていて、私の心はほぐれにほぐれ……

折に触れ自分の幼少の頃を思い出しては「生きづらさを感じることもたくさんあると思うけど、きっと大丈夫だよ」と我が子に“念”を送ってしまう、娘は自分とは別の人間なのに……という話を川内さんにしてみるととても盛り上がったりして、ますます「大人になってよかった」と思ったのでした。

敬愛する川内倫子さんを、お気に入りの一枚の前で。川内さんはいつもとても素敵なジュエリーを身につけていらして、同じピアスを持っていたり、近所でばったりお目にかかったり、子どもの年齢が近かったりして、つい前のめりになってしまう図々しい私にも気さくにお話してくださって本当に素敵です
敬愛する川内倫子さんを、お気に入りの一枚の前で。川内さんはいつもとても素敵なジュエリーを身につけていらして、同じピアスを持っていたり、近所でばったりお目にかかったり、子どもの年齢が近かったりして、つい前のめりになってしまう図々しい私にも気さくにお話してくださって本当に素敵です

アニエスベーのカーディガンプレッションはそのアイコニックなデザインと“パリ・シック”への果てしなき憧れ、そこはかとないカルチャー感、唯一無二の存在感で私たちに寄り添ってきた服なのかなという気がします。40周年絡みでは、青山店1FでHIROMIXによる展示、パリではアネット・メサジェやデヴィッド・リンチの展示もあるそうです。観たい!

ちなみに、私がフレンチに心酔していた中学生の頃に初めて購入したカーディガンプレッションは水色。よりによって水色、だったのですが、放課後は何にでもドヤ顔でその一張羅を羽織っていました。15歳のとき初めて訪れたパリで「スナップカーデ(と当時は呼んでいました)を着たリセは一体どこなのよーっ!?」とアタフタしたのはここだけの話。今年は久しぶりにカーディガンプレッションを新調してみようかな。

Profile

井上千穂Chiho Inoue フィーチャー・ディレクター。『Numero TOKYO』創刊時よりエディターとして主に特集を担当。2011年よりウェブマガジン「honeyee.com」「.fatale」の副編集長をつとめ、19年より出戻り現職。作り手の話を聞き、ものづくりの背景を知るとお財布の紐が緩みます。夜な夜な韓国ドラマに、休日は自然の中に逃避しがち。子連れ旅もお手のものな二児の母。

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