世界的デザイナー、マリアノ・フォルチュニ回顧展
20世紀初頭に登場した世界的デザイナー、マリアノ・フォルチュニの全貌をたどる「マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン」展が、東京・丸の内の三菱一号館美術館にて10月6日(日)まで開催されている。本展は、ヴェネチアにあるフォルチュニ美術館の全面協力のもと開催される、日本初の大回顧展となっている。
軽くてしなやかな「デルフォス」(繊細なプリーツを施した絹のドレス)で一躍、服飾界の寵児となったフォルチュニ。その芸術の真骨頂であり、世界のセレブリティにも愛された絹地のドレスやコートなどを中心に、絵画、版画、写真、舞台関連作品、フォルチュニが収集した日本の染め型紙を含むデザイン資料が総合的に展示されている。
1871年にスペイン南部のグラナダで生まれたフォルチュニは、3歳で父を失いパリへ移り住む。父と祖父がプラド美術館の館長を務め、母は、画家、建築家、美術評論家を輩出したスペインでも重要な芸術家一家の出身。19世紀スペイン画壇の中心的な存在で、高名なオリエンタリズムの画家でもあった父に憧れて、自身も画家を目指しパリで絵画を学んだ。
また、若くしてリヒャルト・ワーグナーの歌劇に魅せられ、舞台照明、劇場設計、舞台衣装など舞台関係の仕事を手がけるようになる。その多くを絵画にも残し、ミュンヘン国際美術展においては、ワーグナーのオペラ『パルジファル』の一場面を描いた『花の乙女たち』が金賞を受賞。ヴェネチア・ビエンナーレにも何度も絵画を出品している。フォルチュニは、服飾、染織、デザイナーであっただけでなく、画家、版画家、舞台芸術家、写真家、そして服飾作品を自ら世界に向けて発信する総合芸術家だった。
日本から輸入されたといわれる最高級の絹地を鮮やかな色彩に染め、繊細なプリーツを施した「デルフォス」、絹ベルベットにエキゾチックな模様をプリントしたマントやジャケット。それらは、水の都ヴェネチアで制作され、パリとニューヨークにおいて販売された。ごく軽くて華やかな「デルフォス」は、それまでの身体を極度に締め付けていたコルセットから女性を解放し、女性の肢体の自然な曲線を美しく飾ることとなる。
デザインやファッション、世界遺産・ヴェネチアについて学ぶことができるこの機会をどうぞお見逃しなく!
「マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン」
会期/開催中〜2019年10月6日(日)
会場/三菱一号館美術館
住所/東京都千代田区丸の内2-6-2
料金/一般¥1,700/大学・高校生¥1,000/中学・小学生¥500
※学生無料ウィーク/7月31日まで
※アフター5女子割/第2水17:00以降当日券一般(女性のみ)¥1,000
時間/10:00〜18:00
※祝日を除く金、第二水、会期最終週平日は21:30まで
休館日/月(祝・振替休日の場合、9月30日とトークフリーデーの7月29日、8月26日は開館)
URL/mimt.jp/fortuny
Text : Akiko Kinoshita